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戦艦薩摩  作者: 呉提督
31/65

なすべきこと

1942年 4月20日 10:00 ホワイトハウス


「大統領、失礼いたします。海軍からの報告が着ました。」


静寂に包まれたホワイトハウス。

朝食を食べ終え、コーヒーを飲んでいた32代米大統領

ルーズベルトの表情はそれを見てみるみる恐ろしくなった。


「日本本土空襲、失敗。

我が海軍は空母1隻喪失、1隻大破だと!?

私は絶対に空母を失うことはないと聞いていたから

GOを出したのだ!なのになんだこの結果は!?

司令官は解雇してやる!!」



日本本土空襲を敢行した米空母の1隻『ホーネット』が

沈没し、護衛していた『エンタープライズ』も大破した。

航空機も多数を喪失し、パイロットも大勢死んだ。

発進したB25もほとんどが撃墜され、無事中国大陸に

たどり着けたのはわずか2機だった。



「新型空母の就役を急げ。あと1年、あと1年耐えれば

我々は勝てる。」



だが、彼はこの時知らなかった。

日本が絶対に撃沈不可能な超巨大戦艦をつくっていることを・・・・。




・・・・

同日同刻 旅順


「牧野造船少将、進み具合はどうですか?」


「いたって順調ですよ、海原参謀。」


海原参謀は少将となった『薩摩』(この時はまだ命名されて

いなかったが)設計責任者、牧野の元を訪ねていた。

海原は肩書きは連合艦隊参謀だが、旅順に出向と

なっているので、実際は旅順の監督だ。

旅順にはさらに造船所、修理ドックが作られ、

国内の鎮守府と同じ機能を有していた。

総督には大艦巨砲主義者の宇垣纏中将が着任した。


連合艦隊の参謀長には黒島参謀が昇格している。



「先日、宇垣中将と料亭で話していたんですがね、

中将おっしゃっていましたよ。

『海軍は変わった』と。」


実際、海軍は大きく変わった。

今まではただ【米空母撃滅】これだけを目標に

戦争していた。しかし、ここに来て日本海軍は

戦略を変えた。


まず、ニューギニアやラバウルまで伸びていた戦線を

縮小。海軍の本拠地であるトラックすらも放棄した。

陸軍は元々海軍の補給を考えない戦略に異論を唱えていた

ため、すぐにこれに賛同した。


これで終わりではない。

南太平洋に散らばった戦力をサイパンに集中。

ここを要塞化している。


さらに機動部隊の空母『赤城』『蒼龍』『飛龍』を

中核とする艦隊でオーストラリア沿岸部を空襲、

これによりオーストラリア政府はアメリカに助けを求める

だろう。

太平洋戦線でオーストラリアから多大な援助を受けているアメリカはこれを無視できない。

アメリカ艦隊は準備不足のままサイパンに来るしかないのだ。


そして、準備不足で出てきたアメリカ艦隊を新型戦艦を

中心とした連合艦隊で叩きのめす。

これで講和への道が開けるはずだ。


海原参謀の頭に負けの二文字はなかった。

彼にあるのは絶対成功するという自信だけだった。





・・・・

同日同刻 ブルネイ



海上自衛隊の海原は、ブリッジでたたずむ艦長に声をかけた。


「艦長、少しよろしいですか?」


「砲雷長、どうした?」


「ずっと疑問に思っていることがあります。

なぜ私達はこの時代に飛ばされたのでしょう?

意味もなく飛ばされたわけではないと思うんです。

私達にはやるべきことがあるのではないですか?」


「やるべきこと、か。」



艦長もなにか考えているようだった。

海原は自分の知識を掘り起こしながら、自分達に

できることを模索するのだった。


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