タイムスリップ
XXXX年 X月X日 XX:XX 所在地不明
「オールシステムダウン!」
「システム復旧急げ!」
「船体にダメージなし!航行支障ありません!」
『やはぎ』CICは大混乱だった。全システムが停止するなど通常はあり得ないからだ。
「通信復旧しました!僚艦すべてと交信可能です!」
CICの先任海曹が叫ぶ。海原はそれを艦橋に報告した。
「艦長。僚艦と通信できました。全艦異常なし、とのことです。しかし、アメリカ艦との連絡は取れません。」
『そうか。ご苦労。』
艦長はそれだけ言って交信を切った。護衛艦隊司令と打ち合わせしているのだろう。
「砲雷長、にしてもすごい台風でしたね。」
若い海士が話しかけてきた。乗艦して半年。ようやく海に慣れたといった感じだ。
ちなみに台風はもう過ぎ去ったらしい。
「前のお前ならゲロゲロ言ってたのにな。」
「砲雷長〜やめてくださいよ〜」
CICは少しだが緊張がほぐれた雰囲気になった。
しかし、それも次の一報で消し飛んだ。
「正体不明艦探知!艦数6!40kmの地点!戦闘行動をとっています!」
いきなり正体不明艦の出現である。CICではすぐに全員が持ち場につき、戦闘体勢をとった。
「対空レーダー感あり!機数70!200マイルです!」
200マイルとは時速約320kmだ。海原は耳を疑った。
「200マイルだと!?そんな遅い飛行機がいるか!」
「で、ですが、事実です!」
その時だった。
「砲雷長、僚艦からの映像です!」
そこに写っていたのはまぎれもなく旧帝国海軍の一式陸攻と九七式陸攻だった。