小笠原群島沖海戦 2
1942年 4月18日 07:30 小笠原群島沖
「敵機動部隊発見!敵機動部隊発見!」
真珠湾攻撃以来探し求めていた敵機動部隊をついに発見した。
ヨークタウン級航空母艦『エンタープライズ』と『ホーネット』
その周りを護衛の巡洋艦と駆逐艦が固めている。
突如艦隊防空のF4F2機が二式大艇に突っ込んできた。
「急いで離脱するぞ!」
機長は迷わず離脱を選ぶ。操縦かんを思いっきり
押し倒し、低空に降りる。
後部からは機銃の勇ましい音が聞こえてくる。
敵戦闘機の1機が黒い煙を吹き出している。
「いいぞ!よくやった!」
エンジンに被弾したのか、黒煙を吐いたF4Fは
母艦に戻っていく。
残る1機も艦隊を離れるわけにはいかないのか、
ある程度のところで帰っていった。
「よかったですね、機長。」
「急いで報告だ。『敵空母の1隻は陸上爆撃機を
積んでいた』と。」
空母に陸上爆撃機を積んで空襲するなんてアメリカも
よく考えたものだと思う。
唯一の失敗はそれを発進させる前に見つかったことだ。
「油断するなよ!警戒を厳としろ!」
機長は横須賀から出航した2航戦に敵空母撃滅を託した。
・・・・
同刻 『蒼龍』艦橋
「最大戦速だ!急げ!逃がしてはならんぞ!」
空母『蒼龍』の艦橋で叫んでいるのは2航戦司令長官山口多聞少将だ。
『人○しの多聞丸』とよばれるほど攻撃的な性格で
これまで多くの戦果と犠牲を出した。
「長官!偵察に出した97式艦攻2号機から入電!
敵空母発見!距離200海里!」
「すぐに攻撃隊を出せ!」
山口の目に写っているのは米空母のみであった。




