小笠原群島沖海戦 1
1942年 4月3日 戦艦大和連合艦隊司令部
日本が開戦してから4ヶ月が経過しようとしている。
ここで日本の現在の戦況を整理する。
海軍は突然の乱入者により空母『加賀』が撃沈されたが、
それ以外の主力艦はすべてが健在で、その力を残していた。
陸軍はマレー半島をすばやく占領するとポートモレスビーへと
進撃。ポートモレスビーを防衛する、アメリカ、オーストラリア
の連合軍と激突した。
海軍はラバウルから航空隊、さらにはMO攻略艦隊を
繰り出してこれを支援した。
だが、アメリカ、オーストラリアの意志は固く、
双方が激しい消耗を続けた。
史実なら海軍は機動部隊をインド洋に派遣し、
セイロン沖海戦が勃発しているところだが、
今回はそれはない。
理由は簡単だ。米空母が出てくるからである。
開戦から連戦連敗の米海軍は士気を高めるべく
奇想天外な作戦を考案した。
それは陸軍のB25を海軍の空母に乗せて日本本土を
空襲しようと考えたのだ。
そのことを知っている日本海軍はそれを阻止し、
米空母を撃滅すべく哨戒線を張り巡らして
待機している。
「どうだ?計画は順調か?」
久しぶりに司令部に戻るないなや海原は山本長官に
こんなことを聞かれた。
「はい。『加賀』の沈没は予想外でしたが、それ以外は
計画通りです。最新戦艦も1日に起工いたしました。
あとは主砲と機関の開発を終わらせるのみです。
米空母に対する哨戒線もかなり厳しくしております。
本土を空爆されることはまずないでしょう。」
「米空母は沈めることができるかね?」
山本が一番気にしているのがそこだった。
空爆されなくても米空母を沈められなければ意味がない。
「難しいでしょう。海戦とは相手にも戦う意志がないと
損害を与えるのは難しいのです。ですが、精一杯のことは
します。」
山本はそれを聞くと、「そうか。」と言って黙ってしまった。
・・・・
1942年 4月18日 07:00 小笠原群島沖
「なんだあれは!?」
二式大艇を使って定時哨戒をしていた彼らは
いきなり現れた艦隊に目を丸くした。
「マストに星条旗!米艦隊です!!」
見張りが声を張り上げる。
「急いで司令部に報告しろ!」
機長は機体を滑らせながら部下に命じた。
『07:00、小笠原群島より南東に150キロの地点で
米艦隊見ゆ。空母2を含む。』




