戦闘 3
遅れてすみません!
1942年 1月25日 09:00 フィリピン沖
「ハープーン発射用意!発射弾ふた~つ。
目標敵駆逐艦!」
『やはぎ』の前部VLSにハープーンが
装填される。
レーダーによって目標にロックオンされた。
「砲雷長、ふたつで撃沈できるのですか!?」
「いや、俺に考えがある!信じろ!」
「わかりました!」
『やはぎ』クルーはこの若き砲雷長を
信頼していた。
普段は優しくユーモアに溢れ、いざというときに
頼りになる。
部下思いの理想の上司であった。
「撃て!!」
轟音と強烈な閃光と共に2発の飛行物体が
敵駆逐艦に迫った。
「命中まで25分!」
海原はCICのレーダーに光るみっつの光点を
じっと見つめた。
・・・・
『ジョンストン』CIC
「自衛隊発砲!」
「馬鹿な!!」
ついに自衛隊が牙を剥いた。
やつらに実弾を撃つ覚悟と度胸があったとは。
「だが、たかだかふたつだろ。
さっさと撃ち落とせ!」
『ジョンストン』から対空ミサイルが
飛び出す。3本の対空ミサイルは自衛隊が
発射したハープーン2本を的確に捉え、破壊した。
しかし、
「対空、対水上レーダー、ホワイトアウト!!」
乗務員の絶叫。自衛隊のハープーンには
チャフが搭載されていたのだ。
「レーダー波探知!ロックオンされました!」
自衛隊の第2射が『ジョンストン』に襲いかかる。
こうなると『ジョンストン』に残された対抗手段はひとつしかない。完全自立の2基のCIWSがミサイルを叩き落とそうと
弾幕を展開する。
が、必死の抵抗虚しくハープーンは
『ジョンストン』にまっすぐ突入した。
「ジャップゥゥゥゥゥゥゥ!!」
最後まで日本嫌いだったジェームズ艦長の
断末魔と一緒に『ジョンストン』はフィリピン
の海底1000mに消えた。
・・・・
「・・・・敵駆逐艦、撃沈・・・・。」
ハープーンを命中させたにも関わらず、
CICの空気は重い。
いつもは騒がしい海原も今度ばかりは
無言であった。




