薩摩VS人民開放軍 3
201X年 12月12日 06:00 上海
中国空軍の航空基地には既に多数のパイロットが
集められていた。
「これから貴様らが攻撃するのは『大日本帝国海軍』をなのる愚かな戦艦だ。やつは我が国の
領海に居座っている。
時代遅れの戦艦に引導を渡してやれ!」
司令が声を張り上げる。
パイロットたちは大きな返事をすると、
愛機へと駆け出していった。
・・・・
『薩摩』は魚釣島の日本の領海と公海の境界線に
静かに停船している。
佐世保から海上自衛隊の護衛艦DDG『こんごう』とDD『あきづき』が調査のために
急行しており、那覇からは海上保安庁の
巡視船3隻が向かっていた。
そんな中、中国空軍の戦闘爆撃機が『薩摩』に
接近する。
その様子を『こんごう』CICは捉えていた。
「中国空軍の戦闘爆撃機10機、『薩摩』に
接近!」
「艦長、撃墜しましょう!」
若い海士が叫ぶ。
「馬鹿を言うな!我々は帝国海軍の後継者では
あるが、帝国海軍ではない!しかも、『薩摩』
などという戦艦は帝国海軍にはなかったの
だぞ!」
実を言えば、明治から大正にかけての時代に
『薩摩』という名の戦艦がいた。
しかし、現在彼らの前方40kmのところにいる
『薩摩』は明らかに帝国海軍にあった戦艦では
ない。
ならば、なぜ帝国海軍を名乗るのか。
日本を世界の悪者にしたいのか。
それとも・・・・
「中国空軍ミサイル発射!!」
中国空軍の戦闘爆撃機がミサイルを放ったのは
艦長が海士に叱咤したのとほぼ同時だった。




