薩摩VS人民開放軍 2
201X年 12月11日 20:00 東シナ海
『薩摩』が中国艦隊に接近する。
中国艦隊の各艦は対艦ミサイルをこれでもかと
撃ち込むが、『薩摩』の分厚い装甲がすべて
弾くか、当たったとしても全く効かない。
「なんなんだあいつは!」
丁は怒りを露にするが、どうにもならない。
『薩摩』は中国艦隊まで40kmまで近づいてきた。
「すぐに戦闘機をだせ!」
丁は部下に命じた。しかし、
「残念ながら我が海軍に夜間飛行ができるような
実力のある人間はおりません!」
中国空軍ならばそれなりに夜間飛行のできる
パイロットがいるのだが、海軍には夜間飛行、
ましてや夜間に空母に着艦できる人間は
いなかった。
「敵艦発砲!」
水平線上で9つの光が放たれたかと思うと、
50秒後には中国艦隊のフリーゲート艦
1隻の周囲に100mは軽く超える大きさの水柱が
できあがる。
それがおさまるころにはそのフリーゲート艦は
海面に赤い腹を晒すのみとなっていた。
「くそ、あのやろう!」
ここまで4隻の艦がやられた。
現代海軍が70年前の戦艦に負けるなどあっては
ならないことだ。
「『薩摩』どんどん近づいてきます!
距離28km!」
すると、『広東』の周りにいたミサイル駆逐艦が
我先にと逃走を始めた。
これにはさすがの丁も怒りを忘れて唖然とした。
「『薩摩』発砲!!」
ミサイル駆逐艦はほぼ逃げ出してしまった。
となれば狙われているのが『広東』であるのは
誰の目にも明らかだった。
「面舵一杯!」
艦長が回避を命じる。
だが、『広東』の舵が効き始めるのよりも
『薩摩』の砲撃が着弾するほうがコンマ何秒
早かった。
猛烈な衝撃が『広東』を襲ったかと思うと、
次の瞬間には『広東』は甲板の真ん中から
黒煙を吹き、駐留していた戦闘機が音をあげて
炎上した。
「機関室、発電室全滅!手がつけられません!」
兵士の悲痛な叫びに丁は『広東』の行く末を
感じ、椅子に腰かけて目を閉じた。
5分後、『広東』は航空燃料に誘爆して
東シナ海の深海に消えた。




