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戦艦薩摩  作者: 呉提督
13/65

方針転換

ここで太平洋戦争に至るまでの日本の歴史を整理しようと思う。


1929年、アメリカのニューヨークで株価が暴落したことよって発生した世界恐慌は、ソ連を除くほとんどの国を不景気の

どん底に叩き込んだ。

アメリカはニューディールによって、イギリスやフランスは

ブロック経済によって景気の立て直しを図ったが、経済基盤の

弱いドイツやイタリアはファシズムと呼ばれる独裁に走るしかなかった。

ヒトラー(総統閣下とは別人です)やムッソリーニの演説に人々は熱狂した。

日本は市場として、中国東北部にある満州に目をつけた。

関東軍参謀の石原莞爾主導によって満州事変が引き起こされ、

日本は国際社会から孤立していった。

さらに、首相の犬養毅が海軍軍縮条約で削減した海軍の予算を

関東軍に渡して賄賂を貰っていた疑いが浮上し(実際のところは不明)、それに激怒した海軍の一部の青年士官が5,15事件を

起こし、日本の政党政治は終わりを向かえた。

その後、海軍出身の首相に反発した一部の陸軍将校が陸軍中心の国をつくろうと2,26事件を

引き起こし、軍部の力はさらに強まった。

1937年、日中戦争勃発。当初、一年足らずで勝てると考えていた陸軍だったが、蒋介石の援将ルートによる持久戦法に苦しめられ、思うような戦果を上げることはできなかった。

1939年、第二次世界大戦勃発。破竹の勢いでフランスを降伏させたドイツは真の敵である共産主義に牙を剥いた。

一方、日本はアメリカから石油の全面輸出停止を通告される。

アメリカからの最後通帳"ハルノート"に示された条件は

"全植民地の破棄"という、日本の開国以来の努力を踏みにじる

ものだった。

1941年、10月、日本は御前会議で開戦を決断。

連合艦隊司令長官山本五十六は

「ならばハワイを攻撃し、アメリカの戦意をくじき、早期講和を目指すしかない。」

と終始言い張り、自分の辞職まで盾にして真珠湾攻撃を行った。

大成功に見えた真珠湾攻撃だったが、空母を沈められなかったこと、ドッグや燃料タンクを破壊しなかったことなど、

不手際も多かった。

さらに、大使館の失態によって真珠湾は騙し討ちとみなされ、

アメリカ国民は怒り狂った。アメリカ国民の戦意をくじこうとした山本長官の意思とは真逆の結果となってしまった。

陸軍の方はマレー半島に上陸。イギリス軍のシンガポール要塞を陥落させ、海軍はイギリス海軍の戦艦『プリンス・オブ・ウェールズ』『レパルス』を撃沈。

目標だった資源地帯の確保に成功した。


・・・・


「大和の2倍の戦艦です。」


連合艦隊司令部の参謀、海原中佐の発言に会議室は騒然とした。


「山本長官、無礼を承知で申し上げます。我々が危険を犯してまで真珠湾攻撃を行い、開戦したのはなぜでしょう?」


「それは、国体維持のためだ。」


代わりに宇垣参謀長が答えた。


「そうです。しかし、早期講和を申し出たところで、アメリカの姿勢は変わらないでしょう。アメリカが

『講和してもよい。ただし、植民地はすべて放棄しろ』

と言ってきた場合、まったく無意味な講和となります。」


「何が言いたい?」


温厚な山本長官も今度ばかりは眉をひそめた。


「大和を遥かにこえる戦艦を作り、戦線を下げて長期戦に持ち込みます。アメリカから日本までは10000キロ。いくらアメリカに力があろうと物資の輸送は至難の技です。彼らの言っていたガダルカナルをこちらで再現してやればいいのです。」


要するに攻めてきたアメリカ軍の補給路を絶ち、持久戦に

持ち込むというのだ。


「アメリカは強大な国です。空母なんてすぐに作ります。ですが、あの国は民主主義国家です。たくさんの国民が死ねば

政府の支持率はがた落ち。指導者たちは嫌でも戦争をやめざるを得ないでしょう。」


筋は通っていた。高揚したアメリカの戦意をくじくにはこれしかない。


「だが、どうやってそんな戦艦を作るのだ?この大和ですら

莫大な予算と場所が必要になったのだぞ!」


「大和型3番艦以降、そして全空母の建造を取り止めて資源を

確保します。南方との航路が潜水艦に攻撃されていない今が好機です。あと場所ですが・・・・





























旅順はいかがでしょう?」


海原中佐の顔自信に満ちていた。



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