第4話「登録」
レルアは身体に引きづられて精神年齢が低くなっています。ご了承ください
賊を討伐してからは、特に問題はなかった。
そして現在。レルアはでかい街の門前に来ていた。そこには、一列に並んだ入国待ちの人々。荷馬車に乗った商人や、剣や槍などの武器を持った冒険者と思わしき人々などがいた。
しかし、ここにも獣人族の姿はない。
「ありゃ。こりゃ徹底して差別されているな。」
そんなことを言いつつ、耳と尻尾を隠さずに列に並ぶ。
当然あたりはざわつく。
「おいおい。狐族がいるぞ」
「ほんとだ…道理で臭うわけだ…」
「出てって欲しいわ…」
と、陰口を叩く割には、小さい村のように追い出したりはされなかった。
しかし、門番の騎士は許してはくれなかった。
「おい貴様!ここをどこだと思っている!」
「わかりませんが、でかい国だと思います。」
丁寧に答えると、騎士の顔がどんどん赤く染まっていく。
「ここは誇り高きエルナスト王国であるぞ!貴様みたいな獣が入る場所では…ぐはっ!」
少し耳障りだったので、喉を潰す。
鉄の鎧を着ていたのだが、間を縫って喉を壊したのだ。
そして、知らん顔で並び続ける。
「こ、こいつ!騎士様に攻撃しやがった!」
「エルナスト王国に楯突くつもりだ!」
「つ、捕まえろ!」
周りが騒ぎ出す。
捕まえろと商人が叫ぶが、当の本人は何もしない。
なんと人任せな人たちだろうか。
そんなことを思っていると、騎士たちが駆け寄ってきた。
数は15人。
少し目障りだ。
「俺はただ王国に入りたいだけだ。別に悪さをする訳では無い。」
殺気をばら撒きながら言う。
それだけで商人や冒険者は愚か、騎士すらも腰を抜かしていた。
「俺達獣人族は何らお前達と変わらない。一部の宗教は神が人を作ったとほざいているが、実際は長い年月をかけ、頭が良くなった猿に過ぎない。我らは元が違うだけで、根本は同じなのだ。」
諭すように人間達に言う。
「それでも、我らとお前ら猿は違うと、猿の方が偉いというのであれば、我らはお前ら猿との格の差を見せつけてやってもいいぞ」
今度は、先ほどとは比べ物にならない殺気を放ち、ここにいる全員を脅した。商人たちは全員気絶。騎士や冒険者などの武術を心得ている人間は、腰が抜けて動けなくなっていた。
そんな彼らを一瞥をして、無言でもんをくぐるのだった。
王国に入ってからというもの、軽蔑の目が激しかった。
先程から敵意しか感じられない。
「さっきのやつはちょっと不味かったかな?」
実は、圧倒的な実力を見せ、手を出されないようにするという目的があった。
なので、あのようなことをしたのだが、レルアが獣人族であることも反映して、このような状態になってしまった。
「参ったな。このままだと、宿は愚か、食べ物すら見つからないぞ…」
金は賊から取ったものがあるので大丈夫だが、使う場所がなければただの鉄の塊だ。
「まあいい。取り敢えず冒険者ギルドとやらに行こう」
実力主義の冒険者ギルドなら、ここよりはマシになるだろう。
なので、ギルドを探す。
「強さにばらつきがあるのは…あっちか」
目的地を決め、そっちに向かって歩き出した。
途中、ごろつきに襲われたのだが、どれも顎や首を強打し、即気絶させた。
それからは何度か同じことがあった後、パタリと止んだ。
恐らく、適わないと思ったのだろう。
厄介ごとがなくなり、すぐにつくことが出来た。
そこには、一際大きな建物があり、門には【冒険者ギルド】と書いてあった。
「国会議事堂ぐらいの大きさだな…」
その大きさに呆れつつ、中に入った。
入った途端、濃密なさっきを当てられた。
普通なら気絶するほどの殺気。下手したら死ぬだろう。そんな殺気を、何事もないかのように進んでいく。
「お姉さん。冒険者の登録したいんだけど、どうしたらいい?」
カウンターにいた受付であろう女性に尋ねる。
目に見えて狼狽する彼女だが、仕事はしっかりするタイプらしい。
「で、ではこちらに必要事項を記入してください。」
渡されたのは、一枚の用紙。質は荒かったが、そんなものだろうとは思っていたので、気にせず記入する。
書いたのは、名前、使用する武器のみ。
それだけなので、直ぐに書き終わり受付の女性に渡す。
「え?はやっ…あっ、冒険者についての説明は要りますか?」
「はい。お願いします」
「かしこまりました。」
そう言うと、説明をしてくれた。
まず、冒険者はどこの国にも所属しない。そのため、税金などは取られないそうだ。
しかし、国からの要請があれば動かないといけないらしい。
そして、冒険者にはランクがある。
F、E、D、C、B、A、S。
Fから始まり、クエストを受けていくと、昇格する仕組みになっている。
昇格するには大きくわけて三つの方法がある。
まずは、コツコツ依頼を受け、昇格試験に受かること。
次に、緊急クエストを受け、成功すること。
最後に、自分のランクより高いクエストを成功すること。
それ以外にもあるらしいが、正直ランクには興味無いので、覚えていない。
何より大きいのが、このカードだ。
血と魔力を登録することによって、身分証明書となるのだ。
これを見せれば、宿代30%、武器代40%割引されるのだとか。入国時の通行料も取られないらしいので、嬉しいことだらけのカードだ。
「以上です。なにか質問は?」
「いいえ、ないです。」
「かしこまりました。」
取り敢えず、クエストを受けることにした。
クエストボードを眺めていると、一つのクエストに目が止まった。
「青龍の討伐…」
ドラゴンって…男のロマンだよな!
その依頼書をもって先程の受付員さんのところへ持っていくと、心配されながらも受理してくれた。
(あのお姉さんは、差別意識が低いのかもしれないな。)
嬉しく思いながら、暗くなってきた道を歩き、青龍の元へ向かうのだった。
すみません。。また短くなってしまいました…
言い忘れてましたが、更新は19時です。
できるだけ毎日更新できるように頑張りますが、できない時は仕事が忙しいんだなと思っといて欲しいです