表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/7

大嫌いなひと

第3話です。

友達が第1話を読んで「空気読め、編ちゃん」と言っていました。

では、どうぞm(__)m

最近、大学内で不穏な噂を耳にする。

一部の学生の間で作られたサークルの噂だ。

そのサークルの名は「自殺愛好会」。

自殺志願者が集うというそのサークルは、徐々に動きを見せ始めているらしい。

その話を聞いた千晃(ちあき)は、真っ先にある人物の姿を思い浮かべた。

真っ赤なドレスを纏った、異常者の姿を――。



「ひどいわね、千晃くん。冤罪よ」

なぜか毎日アパートの前で待ち伏せしている編に聞くと、そんな答えが帰ってきた。

「私は死ぬことは幸せなことだと思うけど、自殺志願者ではないわ。むしろ長生きしたいくらいよ」

「え……?」

千晃は思わず間抜けな声を出してしまう。

てっきり早く死にたがっているのだろうと思っていたのだ。

編はいつもの笑みを消し、こう説明した。

「そのサークルの会長が誰かは大体予想がつくわ。その上で一つ忠告しておくけど、アイツには関わらないほうがいいわよ」

首を傾げる千晃に、彼女は続ける。

「私を異常者レベル1とするなら、アイツはレベル10よ」

千晃がうわぁ、と呟いて顔を顰めた。

彼が渋々頷くのを見届けると、編は彼に背を向けて大通りへと歩き出す。

「自殺愛好会」の会長であろう人物――自分の大嫌いな相手のことを考えながら。



「ああは言われたけど……」

千晃は、編が会長であるという説を捨てきれなかった。

彼女以外にあんな考え方をする人間がいるとは思えなかった。

というわけで、彼は今「自殺愛好会」が集まっている部屋の前にいる。

赤刎編が会長ではないということを、この目で確かめて信じたかったのだ。

ドアの隙間から中を除き見た。

中には十人ほどの男女がいて、和やかに談笑している。

物騒なサークル名とは程遠い雰囲気だ。

しかし、その内の一人がカッターナイフを握っているのを見つけてしまい、それ以上見るのをやめた。

室内に編の姿はなかった。

本当に会長は彼女ではないのかもしれない。

千晃がその場を立ち去ろうとした、そのときだった。


加羽(かばね) 千晃くん、だったかしら」


セーラー服を着た高校生くらいの女の子が、隣から笑いかけてきた。

黒縁眼鏡がよく似合う、ストレートヘアの少女だ。

誰かにそっくりな顔だなあ、と思いつつ千晃は頷く。

「ふーん……確かに編の好きそうな子ね」

それを聞いて、ようやく気づいた。

少女は、赤刎編と瓜二つだということに。

「赤刎さんのご家族ですか……?」

「違うわ。編は私のコピーみたいなものよ」

彼女はそう言って微笑む。

その笑みは、編本人よりも強い狂気を孕んでいた。

「コピー……?」

「あんまり話すと編に怒られちゃうわ。本人に聞いて」

彼女は肩を竦める。

そして、楽しそうにこう続けた。

「貴方にお願いがあるの」

編そっくりの笑顔で。

「どうか、編を愛してあげて頂戴」


「可哀想なあの子のことを、どうか――」



いかがでしたでしょうか?

新キャラちゃんはキーマンになるかもしれません。

読んでいただきありがとうございましたm(__)m

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ