第九章 四人の決意
アルスは、静寂な空気の中、真実を知ったときの過去を、簡潔に話した。その話を、バルパレスの人達は悲痛な思いで聞いていた。
「そんな事があったんですね…」
キルは、そんな中でも自分を助けてくれたアルスに、心から感謝した。
アルスにとっては、何でも屋を始めたのも、何も掴めなかったサディケルの情報が入ってくるかもしれない、ということでだったが、キルと一緒にいると、そんな事も忘れてしまうほど楽しかった。アルスも、キルに対し、密かに感謝していた。
「アルス君も、辛い過去を生きてきたんじゃな。我々も、出来る限り協力しよう!」
ランティス総指令官はゆっくりと立ち上がった。
「いいんですか!?」
アルスの驚く声に、ランティスは微笑む。
「人類の危機に陥っている時に、リューズベル一の組織が何もしない訳にはいくまい。」
「…ありがとうございます!」 アルスは立ち上がり頭を下げた。
それにランティスは笑顔で頷く。そして前に出で、この部屋にいるバルパレス部隊に向かって声をあげた。
「バルパレス諸君!これは人類の滅亡を賭けた戦いになる!そのためにも、我々で残り一つのルーイン・ストーンの捜索とサディケルの居場所をみつけるのじゃ!」
『はっ!』
それに全員が立ち上がり敬礼をする。そして慌ただしく出ていった。
「クリス君は、今持っているルーイン・ストーンを厳重に守ってくれ!」
「わかりました!」
クリスも敬礼する。
そして,ランティスはアルスの方を見る。
「しかし、今の話が本当であるなら、サディケルにかなう者は今のバルパレスにはおらん。」
「分かっています。サディケルは俺が倒します。…命をかけて、この星の未来を守ります!」
「アルスさん!僕も行きますよ。僕はアルスさんの相棒ですから!」
それにアルスは笑顔で頷く。
「マイカ、リーナ。君達も彼等に協力してあげなさい!バルパレス一の力を持つ者なんじゃからな。」
「分かっています。ランティスさん。」
「私達も、そのつもりですから。」
二人は立ち上がり、敬礼する。
それに、満足そうに微笑むと、紙を渡した。それは、Sランク以上の魔法の許可証だった。
「どうじゃ、アルス君。キル君。この戦いが終わったら、バルパレスに来てみないかのう?初めて侵入したということで、人気もあるようじゃし…。」
「…ハハ、やっぱり知ってらしたんですね。」
キルは頭を押さえる。
「当たり前じゃ!総指令官じゃからな。まあ返事は無事にこの戦いが終わってからでいい。四人とも疲れているじゃろう。明日はゆっくりと休むがいい」
そう言うと、ランティスは部屋を出ていった。
四人は顔を合わせ、クスっと笑った。
ここまでよんで下さってありがとうございます。このランティスさんはいい人なんです。人望も高く、頼りにされている人です。だから、マイカとリーナがランティスさん!と言っても怒りません。逆に、嬉しいらしいです。話もいよいよ後半戦に入ってきました。次の話は一日もらった休日の中の平和なお話です。