第十五章 マイカVSフィリア
アルスとマイカは、かなり上まで来ていた。きっと屋上に近い、と思っていた時、
「!!マジックシールド。」
マイカが何かを感じ、シールドをはる。そこに黒い魔法の玉が当たり消滅。前には、一人の女性が立っていた。
「今度は私の番ね!アルス、先に行って!」
「悪い。任せた!」
アルスは一人で上へ向かう。
「さて…、いきなりとは随分卑怯ね!」
「さすがね。あんなに早く気付くなんて…。」
露出度の高いドレスを着た女がそう言いながら近づいてくる。武器は持っていない。キルと戦った少年と同じように魔法を主体とするらしい。
「そんなドレスで戦うつもり?」
マイカが銃を出す。
「心配しないで!私は援護専門だから…。ディオン!」
すると、女性の隣に、巨大なモンスターが現れる。遺跡で戦った最初のモンスターと同じ類だが、その二倍は大きい。
「なるほど!そいつが接近戦で戦うって訳ね。」
「そういうことよ。一階にいた少年も召喚魔法を使ったと思うけど、それは私が教えたのよ。」
「悪いけど、私は見てないわ。今頃は死んでるわね。」
「別に構わないわ、あんな少年。私は、レヴォルノの一人、フィリア。私の闇魔法とディオンの連携は、最強よ!」
「そう。悪いけどそんなに時間はないの!早めに終わらせてもらうわ!」
「フフ。どんなに足掻いても無駄よ。サディケル様には誰も勝てないわ。…ダークミスト!」
あたり一面が黒い霧に包まれ、視界が無くなる。
「何も見えないでしょう?でも、ディオンはあなたの居場所が匂いでわかる。さあディオン。あの女を殺しなさい!」
「ガウゥゥ。」
マイカはディオンがこっちに走って来るのを感じた。
「これで勝ったつもり?エクスティンサークル!」
「馬鹿ね。どんな魔法を使っても無駄よ。」
――バチィーン
雷の落ちたような強烈な音がする。
「キャウゥゥン!」
うめき声を発したのはディオンの方だった。
「ディオン!?何があったの!?」
慌てて、黒い霧を消すフィリア。霧も薄れて、視界も明るくなった時にフィリアが見たものは、自分の後ろまで飛ばされ、動かないディオン。そして、初めの位置から全く変わらず立っているマイカ。マイカの体の周りをくるくる廻っている魔法の輪。例えるなら土星のような感じだ。
「この技は、私に触れようとした時に現れる完璧な防御魔法。残念だったわね。そいつ、かなりの勢いで来たから、その分ダメージも大きかったみたい。」
「くっ!ディオン!!」
フィリアはディオンに駆け寄ろうとする。
「エクスプロージョン!」
マイカの銃から出てきた赤い巨大な丸い魔法。しかし、その中は、空洞のようだ。その魔法は、フィリアに当たった、と思ったら、丸い魔法の中に閉じ込めるだけであった。
「何?これは!?出して!」
フィリアはドンドン、と叩くが全く壊れる気配はない。それにマイカが近づく。
「どうやら…私が一番楽な戦闘だったみたいね。あなたなんて、そのモンスターがいなければ赤子同然よ!」
マイカは手を動かすと、巨大な魔法もフィリアを入れたまま、それに合わせ動いていく。それを天井高くに上げると、
「サヨウナラ。」
と、言って、指をパチンッ!とならす。すると、魔法の中で何十回もの爆発が起こる。逃げ場のないフィリアにはもう成すべきことはなかった。
その魔法を解除すると、フィリアの姿はなくなっていた。
ふぅ。と息を吐き、階段を登ろうとするが、フラッと倒れる。
しかし、地面に落ちることはなかった。
「大丈夫?マイカ。」
マイカを支えたのはリーナであった。
「リーナ…、うん。もう大丈夫!流石に大技二連続は疲れたよ。久々に使ったからね。」
「マイカ、エクスプロージョン使ったんだ。私も久し振りに大技使ったんだけど、それなりに使い慣れしとかないと、きついね。」
「てことは、リーナも夢幻使ったんだ!かわいそうな敵ね。」
「リーナさん、マイカさん。良かった…無事だったんですね!」
二人の会話を邪魔するようにキルが階段を登ってきた。
「キルも無事で良かったよ。その傷、大丈夫?」
マイカがキルの脇腹の血を見て言う。
「ええ。かすり傷です。」
「後は、アルス君に任せるしかないよね。」
リーナが階段の上に目をやる。
「そうですね…。でも、アルスさんなら大丈夫です。絶対に……。」
「うん。そう信じよう!私達も、どんな結果になっても、見届けるわよ。」
マイカの言葉に三人は顔を合わせ、一回頷くと階段を登って行った。
最後の戦いを見届けるために……。
おはようございます。一生懸命悩みながら書いた結果、最初に描いていた戦いとは全く違う感じになったのですが、まあこれはこれで良かったんじゃないでしょうか?さあ、マイカも余裕で勝ちました!なんかフィリア弱いんじゃないの?と思った人もいるかもしれませんが、それは相手が悪かっただけです。マイカがあのエクスティンサークルを持っていたせいなんです。キルが戦っていたら確実に負けています。次はついにアルスの出番です。どうなるのでしょうか?作者にもわかりません!それは、かなりの修正をしながら書かないといけないからです!もはや原作はストーリーの流れしか意味をなしていません!では!