第十一章 デストロイドの力
この章では残虐な描写があります。御了承下さい。
―――五課―――
楽しい休日を過ごした次の日。
大きなモニターがあるメインルームに四人は来ていた。何が起こってもすぐに向かえるように、準備は万全の様子でソファーに座りコーヒーを飲んでいた。
そこでは数人のオペレーターの女性がコンピューターをカタカタとかまっている。
三十分は経っただろうか、その時―オペレーターの女性が声を荒げる。
「マイカ隊長、リーナ隊長。大変です!」
「どうしたの?」
マイカが立ち上がる。
「グレイダール地方の平野で、レヴォルノのメンバーと思われる六名と、管轄している二課の八名が戦闘中とのことです。どうやら、最後のルーイン・ストーンを見つけたらしく、持っていた人物には逃げられたようです!」
「戦闘状況は?」
「戦闘状況、モニターに出します!」
リーナの声で、カタカタとコンピューターをかまい、モニターに表れる。
そこでは、隊長であろう三人が、二人相手で苦戦していた。二課の、残りの五人は既に、戦闘できない様子で苦しんでいた。レヴォルノの他の四人は、笑いながら戦闘を見ている。
「すぐに俺達が向かう!それまで粘れと伝えろ!」
アルスはオペレーターの女性に言うと、戦闘機が準備されている場所へと向かう。三人もアルスの後をついていった。
平野に着くと、三人の隊長達はまだ頑張っていたがアルス達に気付くと、敵から距離をとり、後ろへ下がる。レヴォルノの六人も(以下A〜)それに気付き、アルス達の数メートル前まで来た。
「お前達がサディケル様の邪魔をするものか…。ここらで死んでもらうぞ!」
Aがそう言い武器を構えると、他も戦闘モードになった。
「さすがに厳しそうだけど、戦うしかないね!」
「いや、みんなは下がっててくれ。こんな所で時間を使う訳にはいかない。」
アルスはリーナを制する。それをマイカが驚く。
「さすがのアルスでも、独りじゃ無理だよ!」
「そうですよ、アルスさん!」
「心配するな。いいものを見せてやるよ!」
三人を宥めると、今度は、レヴォルノの六人に言う。
「一応、忠告しとく!死にたくなかったら今すぐ引け。」
それを聞いたA達は、心底笑う。
「おい!あの馬鹿は何言ってんだ?頭おかしくなったのか?」
「しかも、一人でやる気らしいぜ!」
全く聞く耳を持たないA達。
「はぁ。全員、死がお望みか。しょうがない!」
アルスは、自分がもっている魔力を解放した。物凄い程の魔力をアルスは持っていた。それをみた六人は顔色を変え、後ずさる。
「二代神龍、デストロイド!」
そう叫ぶと、アルスの体から光が放出され、空に巨大な玉となった。それが弾けると、そこには十メートルを超えるドラゴンが現れた。
そのドラゴンは、翼をたたみ、スーッと、アルスの隣に降りた。
「久しぶりだな。デストロイド!」
「ああ。それにしても四年前とは比べものにならない魔力だな!正直、驚いたよ。」
「まあ、あれからいろいろあったからな!それより…時が近い。」
「そうか。そのためのウォーミングアップか?」
「そんなとこだ。それより、あいつら全員死にたいらしい…。任せていいか?」
「当然だ!」
デストロイドは高く飛び上がり、六人に向かって急降下する。必死に逃げるが、無駄な行為だった。
まず、一人目に噛みつき、身体を腰から千切る。上半身をペッと捨てると、二人目の首を長い爪で切り落とす。三人目は足で潰し、四人目は爪で串刺しに。残りの二人は遠くに逃げていたが、デストロイドは空高く飛んだ。そして、口を大きく空けると、魔力のレーザーを出した。それは、見事に二人に当たり、核爆弾並の爆発が起こる。
デストロイドは直ぐにアルスの元に降り立った。
「こんなもんでいいか?」
「馬鹿…。やりすぎだ。あっ、そうだ!仲間を紹介するよ。右で唖然としているのがキルで、真ん中で唖然としているのがマイカ、左で唖然としているのがリーナだ。」
「ちょっとアルス!なによその紹介は!?」
真っ先に、正気に戻ったマイカが怒る。
「悪い、悪い。それで皆!こいつがデストロイドだ。」
デストロイドがコクッと礼をする。
「それにしても、凄いですね。これならサディケルも余裕ですね!」
キルは喜ぶが、デストロイドが口を割る。
「そんな簡単にはいかん!やつも私と同じ二代神龍を従えているからな。必ず死闘になる!」
「でも、勝ってみせるさ」
アルスはデストロイドを戻すと、五課に戻ろう、と言って、二課の人達を戦闘機へ運び、戻って行った。
おはようございます。本当は、アルス達自身で戦わせようと思っていたのですが精神的に無理だったので、デストロイドに手伝ってもらいました。次は最終ステージの場所が判明します。いきなり出てくる建物で申し訳ありませんが、多めに見て下さい。では!