告白
「俺は真央の事が好きだよ。」
それは、初めて聞く、和臣君からの告白だった。
「けど、真央は俺に対して兄以上の気持ちを持って無いことも知ってる。
俺も自分の気持ちをはっきり自覚したのは2年位前位からのことだったし、自然な状態で真央が俺を好きになってくれたら・・・ってか、真央は俺を好きになるって自信があったから、焦ってはいなかった。
なーんて、一緒に暮らす事が決まったあたりから、俺の気持ちは加速してって、ちょっと持て余し気味だったんだけどね。」
少しふざけた口調。けど、視線はとってもまっすぐで和臣君が本気である事をしっかり感じさせていた。
「けど、俺なりに考えた美代子さんの精神的不安を一番解消できる方法って、これしかないっかなって思えたんだ。
真央と俺の結婚。
そうなれば、俺は美代子さんの家族になれる。
家族なら援助しても、今よりは心の負担は減るはず。
俺もそれなりに稼いでるし、本気で真央のことが好きだから。
勿論、真央の気持ちを無視して結婚するつもりは全く無いよ。
けど、嘘でも婚約を伝えれば、俺からの援助も受けやすくなるだろ?
そして、真央が俺の事を本当に好きになってくれたら、その時に結婚しよう。
勿論、真央の気持ちが俺に向かなかった時は、きっぱりとあきらめてただの兄に戻るよ。
只、どっちに転んでも、出来る限りの援助はさせて欲しい。
それがこの婚約劇を演じる唯一の条件。これは絶対に譲れない。」
和臣君の言葉一つ一つに私たちへの愛情を感じる。
こんな話、和臣君の負担になるだけ。
それでも、沢山沢山考えてくれた。私達に負担が掛らない様に。
本当は断るべきだ。
解ってる。
・・・けど、お母さんの命も掛ってる・・・。
私は頷くことも、首を振る事も出来ず、うつむいてしまった。
「ノーの返事は受け付けるつもりはない。
俺の考え以上のアイディアが無い限り。」
そんな私の頭の上で、和臣君はきっぱりと言い切った。
優しい和臣君も、こんな強引な和臣君も、私は知っている。
決断を決めた和臣君は、とても強くって。
この家で生活をする様に決めたのもやっぱり和臣君で・・・。
私はこんな状態の和臣君の決心を動かせたことは一度もない。
「とりあえず今日の夕方には美佐子さんの所に婚約の報告に行くから。
今日は学校を休んでよく考えてごらん。」
また私は頷けない。
「俺は出かける。
4時には戻るから、出かけられる準備をして待ってること。」
今度は頷いて見せる。
そんな私の肩をギュッとつかんで、私の顔を上げさせる。
「俺の負担を考えなくっていいからね。
これは俺にとって真央との関係を変えるチャンスになった。
とりあえず一週間後位には俺の両親に話すつもりだけど、それまでに俺は真央が本当に俺の婚約者になっている様に努力するよ。
手加減するつもりは無いから、そのつもりで。」
そう言うと、ふと優しい笑顔を見せた。
チュッ!
そして、そして、スッと顔を近づけて、おでこにキスをした。
「!!」
声も出ない程驚いた私に、もう一度和臣君は笑顔を見せた。
「とりあえずこれくらいの攻撃はさせてもらうよ。」
笑顔がなんだか、色っぽく見える。
こんな和臣君、私は知らない・・・・。
私は、恐ろしいほど魅力的なその笑顔から恐ろし程の威力を感じて思わず身震いをしてしまった。
とりあえず和臣のターン終了。次は和臣視点で1話。
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