操られた少女
0、
辛いことがある時、よく川を見に来ていた。
誰にそう教わったわけではないのだが、なんとなく水の流れる音が小さいころから好きだったのだろう。
何か嫌なことがあるとすぐに、川を見に来る癖が自分にはあった。
親と喧嘩した時も、
友達に嫌われた時も、
大好きな人と離れ離れにならなきゃいけなくなった時も、
絶対に川を見に来ていた。
そして、それを知っているのはこの世でただ1人。自分の大好きな人だけだった。
「…栞菜…」
忘れもしない過去。
海外へ行かなきゃいけないことが決まった日も、自分は川を見に来ていた。
そんな自分を心配したのだろうか。
大好きな人が心配そうな声で自分の名前を呼んでいた。
「お母さんが心配してたよ、栞菜。お家へ帰ろう」
「……やだ」
ぷいっと横を向いてしまうと、大好きな人が困ったように黙ってしまう。
好きな人を、何故こうも困らせてしまっているのだろう。
けれど、それでも嫌なことが小さいころの自分にはあって。
「やだよ、お家に帰ったら…海外へ連れてかれちゃう。…おにいちゃんと、離れなきゃいけなくなっちゃう…」
絞り出すような声でそういうと、涙が一緒にこぼれてきた。
子供の自分にはどうしようもできないことだってわかっていた。
それでも、どうしても嫌だった。
友達がいない自分にとって、その人だけが世界のすべてだったから。
「栞菜、帰ろう」
「やだ」
「…お願いだよ、栞菜…風邪ひいちゃうから…」
「やだったらやだ!」
「栞菜ッ!」
鋭い叫び声に体をびくりと震わせると、
声とは裏腹に優しい手が栞菜の頭を撫でた。
「…帰ろう」
「………うん…」
そう静かに頷くと、もう一度彼は優しく笑った。
いつだって、強情な自分の心を曲げさせるのは、――大好きなお兄ちゃんの優しいぬくもりだった。
1、
制限速度は守っていたのだろうか。
最早それを考えるのが怖いくらいに圧倒いう間に翔は目的地にたどり着いていた。
一方のカレンはというと、川の方までつくやいなやバイクでまたしてもどこかへ行ってしまった。
まぁあれだけ多忙なメイドさんだし何か用事があるのかもしれない。
『……さて、』
移ろい川、という名前の川の土手の辺りまで翔は降りていく。
近所にある川で、小さい頃こそよく遊んだもののここしばらくは来ていなかった気がする。
「…懐かしいなぁ…」
きょろきょろと辺りを見渡しながら翔はぽつりと呟いた。
自分が小さいころはもう少し子供たちでにぎやかだった気がするのだが、今ではすっかり閑散としてしまっている。
やはりこの辺にも栞菜らしき人影は見当たらなかった。…そもそもそれどことか人が見当たらない。
困ったな、と思っていると、
「……遅かったわね、天道翔くん☆」
「ッ!?」
突如、背後から聞き慣れた声が聞こえてきた。
先ほどまで誰もいなかったその場所に、いつの間にか1人の男性が立っていた。
前髪が邪魔でよく顔が見れないが、違和感はいくつかあった。
どう見ても男性だというのに、声は綺麗なソプラノボイスだということ。
そして、なによりもその声は昨日対峙した精神を司る神のものであるということだ。
「……リズさん…?」
「そー、正解☆ そいつを介してアンタにしゃべりかけてるわけ。あ、そだ。紹介しとくわよ。そいつは私のパートナーくん☆ 操って私の手駒にしちゃってるけどねーん」
「…なっ!?」
あまりに軽やかな声で告げられた現実に翔は愕然とする。
この女神は自分のパートナーすら操るというのか。
思わず驚愕の意を浮かべた翔だったが、すぐに真意に気づく。
この女神は、自分のパートナーすら操らないと信用することができないのだ。
本来背中を預けるべきはずのパートナーとこういう形をとることしか出来ないなんて、
「可哀そうな人だなぁ、なんて同情は結構よ」
思っていたことを向こうに口にされて思わず翔は身構える。
そうだ、翔は見知らぬ女神に同情しにきたのではない。
「……栞菜はどこですか」
慎重に、目の前に向かって翔は問いかける。
すんなり教えてはもらえないだろう、と思っていた翔だったが、
「見えない? ここよ、こーこー☆」
すごく軽快な声と共に少年が自分の後ろをこちらへ見せてきた。
先ほどまでは確かにいなかったはずの、水色の髪の少女がそこには立っていた。
「…栞菜っ!」
「呼びかけても無駄よー。完全に意識はこっちが則っているんだから」
そんなことより、と声は続き、
「私のパートナーが持ってるものが見えないのかしら?」
栞菜にすっかり気をとられていた翔はその声で、少年の肩、腕…と視線を追っていき、彼の手へ目をやる。
そこにあるのは――切れ味のよさそうなナイフだ。
『え、ちょ、えええええええ…!?』
翔は思わず内心で愕然としてしまう。
普段料理以外で刃物を使うことのない主夫な翔は突如出てきた物騒なものに背筋を凍らせる。
この少年について少し説明しておくが、いたって彼は普通の人間である。
ナイフで刺されれば死ぬし、そもそもあれでいきなり襲い掛かってこられたらよけるだけの反射神経もおそらくはない。
「あ、あの、え、えっと…!?」
「わかってたでしょうが。パーティーっていうのはこういうものだって」
リズの無慈悲な声が翔の耳に届く。
「アンタを殺せば、前クイーンのアイは敗退。……それだけじゃなくて、また塞ぎ込んじゃうかもねぇ?」
それに、と声は続き、
「この水色の髪の女の子もこのままになるわ」
「………くっ!」
「せいぜいがんばって抵抗してみたら?」
そこで、リズの声が終わる。
目の前にいる少女と、先ほど自分を送り出してくれた少女の顔を思い出しながら、翔は前を見る。
負けられない2つの理由を確認したところで、ナイフが自分に向かって襲い掛かってきた。
2、
同時刻、廃工場にて。
目の前に倒れている少年を見て、リズはそっと目を伏せた。
間違いなく終わったな、と思った。
恐らくパーティーでの勝利条件である、強制返還が可能な状態まで持ってきただろう。
しかし、
『…別にパーティーで勝ち抜きたいってわけでもないんだよな』
そんなことを思っているうちに、どんどん床が鮮血で染まっていく。
そして、彼の綺麗な緑色の髪も同様に。
「私、あんたのこと嫌いなのよね」
返事が来ないと知りながらも、リズはそう呟く。
まぁそもそも、自分には神の中に好きな存在などほとんどいないわけなのだが。
「…甘ったるいくらいにお人好しで、熱血漢で、出来もしない綺麗ごとばかり口にする」
だからかしら、とリズは続け、
「無償に壊してやりたくなるのよね」
自分でも歪んでいるな、とは思う。
けれど、純粋な目をして信じている者や、お人好しや、綺麗ごとばかり口にする偽善者。
そういった者を見ていると、まるで幼き頃の馬鹿みたいに純粋だった自分を思い出して吐き気がする。
故に、――とことんまで壊してやりたくなる。
『こうなったのは私の先輩がアイツだったのもありそうだな、嫌になっちゃうわよほんと』
リズは右手でくるくると剣を回す。
いっそ、このまま殺してやろうか。そんな考えが脳裏をよぎった。
「……、結局アンタも弱いやつよねぇ。何度も同じ手に引っかかって」
侮蔑の声をぶつけても、返事は返ってこない。
面白くないやつだ。
そう思って、剣を振り下ろそうとしたその時、
ビュオッ! と横風が吹いて、リズが手に持つ剣をそのまま吹き飛ばしてしまった。
突如起こった事態にリズは目を丸くする。
だが、誰がそれをやったのなんか考えるまでもなかった。
自然現象の風で、剣を吹き飛ばすことなんて無理に決まっているのだから。
「……あら、まだ起き上れたの」
「…っ、へっ、お前が思っている以上に、しぶとい奴なんだよ…俺は…」
「…そうみたいね。もっとも、そういうところが嫌いなんだよ」
「気が合うな。俺もお前なんて嫌いだよ…っ」
フウはゆっくりと体を起こそうと、手に力を入れていた。
しかし、なかなか力が入らないのだろう。腕ががくがくと震えているのがリズの目にも明らかにわかった。
そんな様子を見て思わず笑みを浮かべると、
「私が起こしてやるよ」
「え?」
がんっ! とヒールのあるブーツで思いっきりフウの顎の下を蹴り飛ばした。
思いの外力が入っていたのか、自分が予想していた以上にフウが後ろに吹っ飛んでいき、そのまま地面に背中を強打した。
声にならない悲痛な叫びが、心の声としてリズの中にはっきりと響いてくる。
「おいおい、風のバリアもはれないくらい参っちまってんのかよ」
その声に、やはり返事はない。
ただ、彼はもう一度立ち上がろうと、全身に力を込めているだけだった。
「…何で…だよ…」
「あ?」
突然、返事ではなく疑問がフウから投げかけられる。
応答すると、フウは掠れた声のまま、まっすぐにリズを見て、
「…なんで、俺を強制返還しねぇんだ…」
「………、別に私はパーティーで勝ち抜きたいわけじゃねぇんだよ」
「じゃあ何がしたいんだお前は…っ」
げほっ、と咳き込むと同時にフウの手に血がついたのがリズの位置からでも視認できた。
もうだいぶダメージが蓄積しているはずなのにまだ無茶をするのかこの少年は。
とことんまであきらめない、そんな馬鹿馬鹿しい姿にリズはため息をつく。
「私自身にもわかんねーよ。何がしたいかなんて」
「…精神の神なのにか…?」
「強いて言えば、お前とか、そういう甘ったれた奴に絶望を見せてやりたい…ってところかね。さっきも言った通り、私はお前が嫌いなんだ」
そうか…、とそこで一旦フウの問いかけは終わった。
いよいよ喋ることすらキツくなってきたのだろうかと思ったリズだったが、
「じゃあ質問を変える。…お前は…どうしてそんなに他人を恨んでんだよ…」
ぴくり、と。
今度はリズが少し表情を歪める番だった。
「…誰より人や自然や動物を愛していたのは…、紛れもないお前じゃないのかよ…」
そう。それは確かだ。
小さいころ、どの神よりも自然や動物や人間や…全ての者を惜しみなく愛していた。
それはやはり、精神を司るという属性柄だったのだろう。
しかし、逆にその属性柄故に今のようになってしまったわけでもあって。
「皮肉なものよねぇ」
「……あ?」
「精神を司るからこそ、全ての人を幸福にできると思っていた私が、精神を司るが故に、私たちにはそんな救いようなんかないってわかっちまったんだから」
精神を司っているからこそ、痛みを理解できて助けたいと思った。
しかし、精神を司っているからこそ、彼らを助ける価値はないと思った。
「人間も、天使も、神も、どいつもこいつも化けの皮をはがせばただの薄汚いことしか考えない、そんなやつらばかりだ」
以前、自分に近づいてきた天使のように。
本心では何を考えているのかなんてわかったものではない。
仲良くしようよといって近づいてきたやつが本当は裏切り者だったり。
敬っているように接しておきながら腹の中では見下して恨みの言葉を述べてばかりだったり。
普段仲良しな振りをしておきながらいざ命が惜しくなると相手のことを売ったり。
「そんな奴らを幸福にしたい、なんて思ってた昔の自分がバカバカしくてねぇ」
「そんなこと、」
「ほら、そういうとこよ。そうやってすぐに綺麗ごとを述べようとする。……だからアンタが嫌いなんだっつの」
何故かこの状況にも関わらず、フウは少し笑っていた。
憐れなやつだとでも思っているのかもしれない。
だが、リズはこの考え方を曲げる気はない。
どいつもこいつも腹の底では何を考えているかわからない。
信用なんてできない。
「そんなに難しいか? 誰かを信じるのは」
「………!」
一瞬、
自分の心の声を呼んでいたのではないかと思うくらいピンポイントな問いかけだった。
リズは少々驚いた顔をしてから、すぐにふっと笑みを浮かべ、
「難しいわねぇ。私が信じられるのは自分が完璧に能力を行使し、完全に自分の制御下においた奴のみよ」
「そりゃアイや俺と気が合わねぇわけだぜ」
返事はしなかったが、そうだろうなとリズは思った。
アイもフウも、根本的に誰かを信じている。
パートナーを信じ、はたまたお互いを信じ、そうやって戦っている。
「…私からすりゃ考えられねぇよ同盟なんて。…どっちかがいつ裏をかいて背中から刺すかもしれないっていうのに」
「そうだなぁ。…けど、アイがそんなことするわけないって俺はわかってるし、もしされたとしても…」
フウはにやりと口元に笑みを浮かべながら、
「最後まで信じ切った自分に満足しちまうタイプの馬鹿なんだよ、俺は」
とんだ綺麗ごとだ、とリズは思った。
けれど、精神を司る神ゆえにわかる。
フウは今の言葉を、本当に本心から述べている、ということに。
「アンタの言うことは素晴らしくご立派なことだと思うわよ」
けど、とリズは続け、
「アンタの考え方を私に押し付けることはできないし、それに対して私は自分の考えを曲げる気はない。…誰も信じないわ」
「……信じないなんじゃなくて、信じられないんじゃないのか」
その言葉に、リズは真紅の瞳をぱちくりとさせる。
あまりにもその言葉が予想外すぎだ。
信じないじゃなくて、信じられない。
いや、言われてみればすぐにわかることだった。
天使に裏切られ、自分が完璧な精神を司る神になったあの日から――、
リズは誰も、何も信じることができなくなった。
信じたくても。信じることができなくなってしまった。
「…だったら何なのよ」
段々と、
リズの心の奥底から何かが沸々と湧き上がってくるのを感じた。
「ええ、そう。私は信じないんじゃなくて信じられない。何もかも。…で、だとしたらなんだっつーんだ」
「…いや、そんなの辛いだろうと、」
「わかったような口聞いてんじゃねぇぞクソガキ」
ぶるっ、と。
その場の空気が振動するのがわかった。
唐突に声色が変わった自分を見て、目の前のフウも少々驚いた表情になっている。
「お前らはいつもそうだ。辛いだなんだ見せかけの言葉で甘い言葉をかけて私に近づいてくる。……そうして最後には裏切って去っていく! そうだろ!」
「…っ、そんなこと…」
「もうそんな甘ったるい言葉には騙されない! …期待して裏切られるなら、最初から期待しないほうがいいに決まっている!」
あれ、とリズは思った。
自分は何を言っているのだろうか。
何故、激昂しているのだろうか。
ただ静かに、精神属性を駆使して相手を倒す。それが…望んでいた完璧な姿だというのに。
リズはちっ、と舌打ちをするともう一度手に握る剣に力を込めた。
「久々にかき乱されたわよクソガキ」
だから、と続け、
「その口、もう喋れねえように切り落とさせろ」
3、
正直、避けられたのは奇跡だったと思う。
ぶんっ、と虚空をナイフが通っていくのが分かった翔は瞬時に冷や汗を流した。
尻餅をつく形で翔はナイフの斬撃を避けることができた。
『あ……、』
あっぶねー…! と翔は冷や汗を流しながら内心で叫ぶ。
心臓の拍動が早くなっているのが凄くよくわかった。
とりあえず、翔はすぐさま起き上がると少年から距離を置くように後ろへと下がった。
彼のパートナーは精神をつかさどる神だ。
以前の電光を司る神のように、遠方から雷をぶっ放してくる、といったことはできない。
それならばまずは距離をとるのが命を守るための得策だ。
『けど、いつまでもこのままじゃ栞菜は…』
とはいえ、この少年を倒しても栞菜を元に戻せるわけではない。
ひとまず栞菜を安全な手元に戻して、その後でリズ自身によって洗脳をといてもらわなくてはならないのだ。
それにしても、
『急にリズさんの介入がなくなったけど…』
もしかすると、リズはリズで今こちらをかまってやれる余裕がないのかもしれない。
ここまでくればわかる。後ろの廃工場にリズ、そしてフウがいる。
『…ぴりぴりと…なんか感じるんだよな力のようなものを…。これが普段フウくんが読み取ってる気配とやらなのかな…?』
初めての不思議な感覚に戸惑いながらも翔はまっすぐに相手を見据える。
今、フウは頑張ってリズを倒そうとしているはずだ。
ならば翔とてこんなところで怖気づいている場合ではない。
早いところこっちの問題を片づけて、フウを助太刀しなくては。
いかんせん昨日は全く役に立つことができなかったのだから。
『しかし…急に動きが止まったけどどうしたんだろう…?』
それは目の前にいるナイフを持った少年への言葉だった。
最初は勢いよく襲い掛かってきていたくせに急に動きが止まったのだ。
いつ来るかわからない恐怖に翔がびくびくしていると、
「……おにいちゃん」
不意に、栞菜の口から言葉が紡がれた。
久々に聞くことが出来たその声に安堵する翔だったが、それもほんの一瞬のことだった。
「私を裏切ったよね、おにいちゃん」
その言葉に、翔は疑問を抱く。
まるで、定められたことを淡々とこなす機械のように、彼女は喋り続けていく。
「ねぇ、おにいちゃん。私が今こんな風に操られたのはね、」
彼女は、
ここまで一切何の表情の変化も見せなかった栞菜は、ここにきて口元をにやりと歪ませて、
「お兄ちゃんのせいなんだよ?」
初めて、力のこもった声でそう言われて、翔はぴたりと動きを止めてしまう。
自分のせい?
もう一度、栞菜の言った言葉を吟味してみるがその意図が翔には読み取れない。
「…栞菜、それは一体…」
「お兄ちゃん、私の気持ち知ってたのに…あの女のこと抱きしめてたでしょ」
「………!」
つい昨日のことを思い出して、翔は驚愕の表情を浮かべる。
そうか、ようやく意味が理解できた。
栞菜は見てしまったのだ。あの日、翔がアイを抱きしめているシーンを。
普段あれだけ自分に対して好意を口にしている彼女だ。
そりゃ、ショックを受けないわけはなくて。
無論、翔は栞菜と付き合っているわけではないし、それは決して悪いことではないのだ。
しかし、栞菜の心にダメージを与えて、洗脳されるまでにしてしまった原因をつくったのは、
『紛れもなく僕だ……』
そういえばリズも、おめーが傷つけた幼馴染の意識を則っただけ、といった発言をしていた気がする。
あれもそういう意味だったのだ。
初めて状況を理解して、翔は唇を噛みしめる。
だとしたら猶更、栞菜を助けないわけにはいかない。
自分のせいでこうなってしまった少女を放っておくわけにはいかないのだ。
「お兄ちゃん、別に私を助けようとなんてしなくていいんだよ」
相変わらず、機械のような口調で喋りながら栞菜はゆっくりと翔に近づいてくる。
そして、翔の目の前までくると、にこりと微笑んで、
「その代り、私の目の前から消えてほしいな」
「……え?」
呆気にとられていると、栞菜は今までに見たこともないほどの素早い動きで翔の後ろに回り込み、後ろから羽交い絞めにしてくる。
なっ、と驚いている暇すらなかった。
「バイバイ、お兄ちゃん」
その声と共に、目の前からナイフを握った少年が翔へ向かって突っ込んできた。
――翔の視界が、赤く染まった。
久々更新!
一ヶ月たってなくてよかった、リラです!
師走というだけあって忙しいですが、更新にも精を出していきますよ(*´∀`)
これが今年最後の更新にならないよう頑張ります。笑 目指すは年内風編完結…!
…キツイかな、いや、がんばろ←




