最強はまさかの…五話
年上か~。
そんなことを思いながら廊下を進む。
正直、俺は年上が苦手だ。
女がダメ。
おもにトラウマのせいで。
男も少し、きつい。
小1のころいじめられた。
まあ、我慢の限界が来て、わざと怒らせて殴らせたが。
ちなみにその後大げさに吹っ飛んで頭に机をぶつけた。
血がすごく出たのを覚えている。
あと運ばれるときの救急車の中。
貴重な体験をしたな…。
と、時節思い出すときもある。
「ついたわ。心しなさい。びっくりするわよ」
「OK」
どんな人だろう。
めっちゃ毒舌はいてくるとか?
コンコンコン。
「失礼します」
「失礼します」
目の前には…
「あ、ハルちゃんおかえり~。どうだった~?」
メイド服を来た学校の後輩が居た。
うん、ちょっと待った。
「つれてきたわ」
「そうみたいね~。…あら~?楠先輩~?」
俺の後輩で名前は嵯峨 凪。
銀色の髪を肩の辺りでそろえている。
穏やかな翡翠色の目をしている。
そして現在メイド服を着用中。
「なんでメイド服?」
「可愛くないですか~?」
「いや、可愛いのは認めるが…え?最強?こいつが?廊下で転ぶようなドジっ子が?」
「なんかそう言われてますね~。絶対私より強い人が居ると思いますけど~」
「嘘言わない。十人相手に三秒で気絶させるとかした奴が何を言うか」
じゅ、十人相手に三秒?
ありえないだろう…
「え~。全員おじいさんだったんですよ~?」
「あなたが来るまで最強を争っていた人たちよ」
「え~?」
「え~じゃない」
この後輩が最強か…
「そのじいさん達がかわいそうだな…」
「いや、笑っていたわよ。『ようやくわし等を超える者が出てきたか』って」
「そんなに周りに強い奴が居なかったのか?」
「まあ、私が今現在老人抜かせば三番目だからね」
三番目…
「二番目は?」
「……………………………」
「やっぱいい」
「そうしてくれるかしら」
なにかダメなところがあるのだろう。
「と、いうかこの後はどうすればいいんだ?」
「ええ~と~。とりあえず~。研究所のほうに行ってもらえますか~」
「研究所?」
「病院みたいなものよ。身体検査とか、怪我の治療とかやってるわ」
「そこで何を?」
「新人は~そこで~魔法の使い方とか~学んだり~、前衛か~後衛か~裏方か~決めたりするんです~」
「つまり今後のことを決めると」
「はい~」
「それじゃあ、行くわよ。失礼しました」
「失礼しました」
「それじゃあ~またね~」
一応、上司…になるのか。
まあ、いいか。
「この転移ステイションは0~10まであるわ。これは10番ね。
数字が書いてあるからすぐ分かるわね。
慣れるまでは声に出して移動するといいわ。
研究所は0番よ。
0転移ってアレの真下で言いなさい」
あの10と書かれた青い玉の真下に行き言ってみる。
「0転移」
すると一瞬で視界が変わった。
「出来たわね」
「どうなってんだこれ」
気づくと目の前にハルがいた。
「この玉自体に魔力と転移魔法の陣が組まれているのよ。
初めてじゃうまく使えないからこうなっているのよ。
とりあえず説明しておくけど、
1、2が訓練場。
3が図書館。
4が男子寮、5が女子寮。それぞれ男子なら女子、女子なら男子がいないと他の寮に入れないの。
6が食堂。
7が実験室兼武器、防具などの品が売っているわ。
ちなみに薬はここ、研究所ね。
8、9はある程度の位にならないといけないわ。
一気に覚えなくてもいいわ。
とりあえず0、1、2、10の四つは覚えておきなさい」
「なんとなく分かった」
「そう、それじゃあ、行きましょうか」
主人公の名前:楠。
実は年上:ハル(朝神 春美)