デスゲーム
ノーボディ「物理的に考えて欲しい・・・ゾンビが2本の脚で立ち、人を襲うのは分かる。可成り萎縮しているとはいえヤツらには筋力がまだ残っているそれを身体に命令する脳も。しかし完全な白骨が自立して人を襲うなんてあり得ない・・・・・・・何か外部からの力でも加わっていない限り」
一同「・・・・・・・・・・・・・・・・???」
ノーボディ「つまりはこういうことだ、スケルトンはゾンビと違い自らの意志(?)で動いてはいない・・・何者かの手によってマリオネットのように操られているという事だ。そして人間の動きは複雑だ、これだけの数の骸骨を操ろうと思えば・・・・・どうしても近くで操作せざるをえなくなる」
鬼山「・・・?・・ってことはつまり・・・??」
ノーボディ「そう・・・・つまりネクロマンサーは
私 た ち の う ち の 誰 か だ ! ! ! 」
一同「・・・・・・・!!!!?」戦慄が走った。
レオナルド「ということはつまり・・ヤツは僕たちに犯人(自分)探しをさせようというのですね?」
ノーボディ「微妙に違うだろうね・・・」
鬼山「それよりネクロマンサーは魔法使いなんだろう・・!だったらお前かレオナルドが・・・」
ノーボディ「それも違う・・・皆も知っているだろう。魔法使いの見かけほど当てにならないものはないとな・・・」
レオナルド「確かに・・変身術は魔法の初歩。やろうと思えば誰にだって化けられる・・・」
一同「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」一同の中に不穏な空気が漂った・・・・
バレンタイン「ヲイヲイそれこそオタクら(魔法使い)の得意分野で何とかならねーのか?」
ノーボディ「無理だね・・魔法だからって何でも出来るわけじゃないわ。」
声「う・・・っ うぅ・・・・・っ」嗚咽が聞こえた。
見るとナイチンゲールが蹲って泣いていた。
ナイチンゲール「何のためにこんな事を・・・・?」
ノーボディ「おそらく我々の動揺を・・・・特等席で観るためだ。ヒロユキが言ってたろう、ヤツは愉しんでるのさ」
ナイチンゲール「何とか・・・何とかしてネクロマンサーを見分ける方法はないのですか!!?
見たところ貴方は相当腕の立つ魔法使いのようです。貴方の力で何とか・・・・っ!」
彼女はヒステリックに叫んだ。
ノーボディ「私は魔法使いだが神様ではない・・・それに私をこのメンバーに加えたこと自体ヤツの計算通りなのだろう・・・ある程度魔法に詳しい者が、ルールを説明させるという役を担う為に」
突然鬼山が立ち上がった。
鬼山「誰がネクロマンサーかはわからねえが、生き残る方法なら一つある・・・・・・・それは!!!」
刹那、鬼山の鉄球がうなった!!!
バレンタインは超人的な反射神経でその場から跳ね、鉄球の一撃をかわした。ドガンと床が抜け落ち、衝撃の強さを物語っている・・・
鬼山「俺以外の全員をぶっ殺す事!!!」
元賞金首と賞金稼ぎ、立場は違えど同じ世界に生きてきた彼等は考えることも大体同じなのだ。バレンタインにはそろそろこういう事態が起きるのではないかというある程度の予測はしていたのだ。
彼はナイフを構えた。
臨戦態勢の2人の間に例によってレオナルドが割って入った。
レオナルド「ちょ・・・ちょっと待って下さいよ!僕たちが争ってどうするんですか、それより何とかしてネクロマンサーを見つけ出す方法を・・・・・」
バレンタイン「確かにこの状況で俺達が荒そうなんざあ愚の骨頂だ・・・だがな」
ドォン!!! 突然轟音が鳴り響いた。
何かもの凄い力がレオナルドの身体を吹き飛ばし、彼は壁に叩きつけられた。
バレンタイン「実は俺も同じ事を考えてたんだよ・・・・・・」バレンタインの手には煙を放つ奇妙な筒状の物が握られていた。
偶然壁際にいたノーボディが飛ばされたレオナルドの胸に耳を当てた。
ノーボディ「・・・・・・・・死んだよ、彼」静かに呟いた。
バレンタイン「チィ・・外れか。悪いことしちまったな・・・・・・・・普通こういう場合は一番犯人らしくない奴が犯人だと思ったんだが・・・・・・・・間違いだったか」
彼は筒状の武器を今度は鬼山に向かって突き出した。
バレンタイン「お前は何故いきなり俺を狙った・・・」
鬼山「別に意味なんかねえ・・・ただお前は職業がら商売敵だ」
ノーボディ「変わった物もってるね・・・」ノーボディは横から口を挟んだ。
バレンタイン「ああ・・最近開発された“銃”っていう武器だ。呪文の詠唱を必要としない分、使い方とタイミング次第で魔法より強力だ・・・・」
鬼山「ハンッ・・・・・」鬼山は鼻で笑った。
鬼山「知ってるぜそれくらい・・・フリントロック式だから弾は一発しか出ない事もな!!!」
バレンタイン「クソッ・・ばれたか!」彼は銃を引っ込めた。
飛んできた鉄球をかわし際に数本のナイフを飛ばす。鬼山も負けじとそれを鎖ではじいて2人は間合いをとって構えた。
生き残ったメンバーの中では接近戦にかけて最強の2人が対峙したのだ・・・。
ノーボディ「・・・ネクロマンサーが私たちに仕掛けたゲームは犯人探しなんかじゃない・・・・・・・・・殺し合いだ」
互いに殺し合う2人を前に、ナイチンゲールは惚けたような表情を浮かべ、ノーボディは相変わらず死んだ魚の様な目で見つめていた。