敗走
その昔、シャンパーニの国に一人の天才魔導士が生まれました。
彼はその人並はずれた頭脳と魔力によりこの世のあらゆる魔術を修得し、人々の期待と尊敬を集めたいた・・・
しかし、いつしか彼は失われた太古の外法、死者を復活させる魔術「ネクロマンシー」の研究に没頭しはじめようになり
人々は次第にこの魔術師を畏れはじめた。王立魔術教会はこの者を「神に逆らい人の道に反した外道」という烙印
を押し、シャンパーニの国から永遠に追放してしまう。
それから十数年後・・・・・・・
彼は再びこのシャンパーニの国に姿を現した。自分を受け入れず、追放した者達への復讐者として・・・
「ネクロマンシー」を復活させた彼は恐るべき不死の軍団を引き連れこの国に戦いを挑んできました。
事態を重く見た国王はこの危機を脱するべく討伐隊を編成しする事にしました。
見事任務を達成した暁には破格の報酬が約束され、国の内外から多数の有志が集められたのだが・・・・・・・・・・、
「ぎゃああああ・・・・・・・・」 「ひいいいいいいぃぃぃぃ・・・・・」 そこかしこで断末魔の悲鳴が聞こえる。
あたりは一面死者の群。完全に戦意を無くし敗走する討伐隊。
レオナルド(結果は非悲惨惨たるものだった・・・)
ボクの名はレオナルド、魔術の修行の一環としてこの討伐隊に参加した15歳の魔術師見習いだ。
ゾンビ「ぐおおおおおぉぉぉ!!!」ゾンビの一匹がレオナルドに襲いかかった。
レオナルドは必死に印を組んで呪文を唱える。
レオナルド「精霊よ!! 紅き矢尻となりて敵を討て」ファイアーボール。最も初歩的な火の呪文。
一般的にアンデットは火に弱い。これが普通のゾンビなら未熟な彼の腕でも充分対処できただろう。しかし・・・
ゾンビ「ぐるるるるるぅぅぅ・・・・・」そのゾンビは火ダルマになりつつもなおもレオナルドに向かってきた。
レオナルド「うああああぁぁぁ・・・」
ゾンビの牙がレオナルドの首筋に突き立てられる直前、その骸が縦真っ二つに唐竹割にされた。
見上げると三角帽をかぶり、髪が長く、少し背の低い男(女?)が立っていた。
ローブを羽織っているところから見るとどうやら魔法使いらしい。
三角帽「やつらに半端な攻撃は逆効果だ・・一撃で脳を破壊する。これが最も確実かつ手っ取り早い戦法だ・・・」
レオナルドは腰を抜かしたまま言葉も出ない。
三角帽「お前・・同業者か?パーティー組んで戦ったことはないのか。魔法使いが前線に出るのはセオリー破りだ」
レオナルド「・・・・・・・・・」
三角帽「・・・ま、その年じゃ無理もないか」
指揮官「撤退ーーーー!!!総員撤退せよーーーーー!!!」指揮官の声が響き渡った。
指揮官「まだ生き残っている者がいたら私に続けーーー!!!ここから北東にある丘の教会に避難する!!!」
レオナルドと三角帽、それに何とか生き残った数名がその声に従い彼の後を追った。
その背後から大波のようなゾンビの人海が襲いかかる。
ほどなくして丘の上に立つ巨大な教会が見えてきた。今はもうつかわれていないらしく半分朽ちかけてはいるが、
造りは頑丈そうで背後は絶壁の海。籠城するにはもってこいの場所だ。