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第30話 宣伝娘

武器屋を出るとラルが居た、正確にはなにかの荷物で武装しているラルが居た。


「あの~ラルさん?・・・なんですかその荷物は?」


「ん、おおシラハか、ちょっと手伝ってくれぬか、ちょっと荷物が多くて疲れてきたのじゃ。」


そう言って有無を許さず荷物を渡すラル。

 荷物の下はなぜか、いままで着ていた服ではなく鮮やかな白のワンピースのようなものだった。


「多いよ、つかッこれどうしたの!?確かに少し金は渡したがこんなに買える程なかったと思うんだけど?しかもなんか服が変わってる?」


「ん、ああこれか、金というのは?」


そう言ってお金が入った皮袋を白刃に渡す。


「・・・・・・えッ?ちょっと待って?金全然使ってないじゃん!?どうやって買ったのこれ?」


「ん?これかこれはなぁ、さっき道を歩いてたら声を掛けられてのう、それで、」


そうしてラルは話始めた。


『ふ~んふふふ~ん♪』


ラルは上機嫌だった。その理由は単純なものだった、それは、


『いや~シラハと契約してなかったらこんなところにはこれないからのう、それに前々から人の町には興味があったしのう、それにしても町には色々なものがあるんだのう~』


ラルは風の精霊から祝福を得た狼、ウインドウルフだ、歳はおよそ200歳、だが今は人の姿になっていて外見年齢は17,8歳の女の子だそれは回りの人から見れば、初めて町に来て喜んでいる田舎ものの美少女、だ。

 ラルが居る所は白刃が居る武器屋からは少し離れた所にある。そもそも白刃とラルが居る所はいわゆる商店街でそこの人達はどこかのドラマみたく、物凄く優しいその証拠に商店街は毎日活気に溢れている、そこかしこから笑声が聞こえ、客も店主も絶えず笑顔だ。

 それゆえ、たとえ見た目が田舎ものの何も知らない女の子でも、ぼったくってやろう、などと思わず優しくしてしまう。しかも顔は美少女だ、ついつい男の店主はおまけをしたくなる。


『おっと!そこの女の子!こっちきて見てってくれよ!』


という声がラルの耳に届いた、そちらを見ると何かの果実を売っている男が手招きをしている。それにふらっと近づいていくラル。


『これはなんじゃ?』


ラルが1つの果実を手に取って言う。

 果実の大きさはリンゴと同じくらいの大きさで、色はリンゴとはちがう黄色だ。


『これはこの地方の果実でな、ギニルって言うんだ、どうだ食べてみるか?』


そう言ってラルに果実を渡す。


『ほれ、食べてみな!』


元気な声で果実を食べるように促す。

 それを、シャクという音を出しながら食べるラル。

 

『ほ~、これはまたうまい果実じゃ』


『そいつはよかった、じゃあこれと、これと、これも持ってきな!』


『よいのか?』


『いいよ、いいよあんた可愛いからな!おっそうだ!これも持ってきな!』


そう言って果実を入れたバスケットをラルに渡す。

 と、そこで新たな声が横から聞こえた。


『おっ!なんだみずくさいなぁ、こんな可愛い子がいるならこっちにもよっていってくれよ!』


また元気の良い声だった。ラルが見るとどうやらとなりで、布を売っている女性だった。


『そうだねぇ、あんたちょっとこっち来てみな』


『なんじゃ?』


ラルが行くと、女性はなにやら色とりどりの布をラルに当てていく。


『ふん、ふんふん、ちょっとこっち来ておくれ』


ラルを連れて何やら店の奥に連れていく、そこでは服を作るような物が動いていた。


『なにをするんじゃ?』


ラルが聞くと、女性はこう答えた、


『なにって、服を作ってやろうと思ってね、なにすぐ終わるから問題ないよ、ああ後お金は取らないからまた来ておくれよ。』


これもまた元気の良い声だった。どうやら彼女は店の宣伝も兼ねてラルに服を着せたいらしい。




そのようなものがそこかしこから受けラルは商店街の宣伝娘とされてお土産やおまけをたくさんもらってきたのだ。


「凄いなラル、たった30分で有名人になっちゃったよ!?」





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