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【全年齢版】モテないと騒ぐ君が好き  作者: かたたな


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17/32

彼からの提案



 寮まで送ってもらえる?

 それって、つまり、帰るまで一緒にいられるということかしら!



 チャンスだわ……!

 でも、寮は歩いてすぐ。そんなの、あっという間に終わってしまう!



 私は瞬時に判断した。



 今日はたまたま、王都にある侯爵家の別邸に用がある事にしましょう!!!!



 そう、今決めた。



「まぁ、とても嬉しい…じゃなくて、安心できます!今日は王都の別邸に行く予定でして。…ついでに……王城の庭園へ行こうと思っていたのです。今日は一般開放の日でしょう?だから、少しお時間をいただく事になりますが…アルト様、よろしいでしょうか?」

「もちろんです。……では、馬車の待つ学園の待機所に……」

「あら!あらあら!」



 私はわざとらしく、自分の頬に手を当てて目を驚いたように開く。我ながら白々しい演技だ。



「私としたことが……うっかり、馬車を呼ぶのを忘れてしまいました。……困りましたわ、歩いて向かうことになりそうですが……よろしいですか?」



 拙い演技だけれど、理由は完璧に思えた。


 淑女のうっかりミス。これで、夕暮れの街を二人で並んで歩く「放課後徒歩デート」の権利を勝ち取りました!

 あわよくば、途中の可愛らしい雑貨屋さんに寄ったり、「あら、あそこのカフェのタルトが美味しそうですわ」なんて甘い雰囲気を作ったりして……。



 なんてね!



 期待に胸を膨らませる私に、アルト様の口から放たれたのは、あまりにも「正論」すぎる言葉。



「…正気ですか?」

「……?」

「先ほど、野鳥に襲撃されたばかりですよ? そんな状況で、あえて無防備に街中を徒歩で移動するなど許せるはずがありません」



 それはまるで生徒を諭す教師のよう。



「お迎えを忘れたのであれば、学園の馬車を借りるか、警備兵に伝令を出して侯爵家の馬車を呼び寄せるのが防犯上の定石です。なぜ『歩く』という選択肢が……」



 私は、迷わずそのお口を物理的に塞ぐことにした。


 正論でぶつけてくると言うなら、こちらは物理で行くのみ。

 私は正論を言うことに夢中になる彼に近寄り…



「はっ!なんれすか!」



 両手で彼の両頬をムニィっと引っ張る。



「ひゃっ!へへほほーはひゃま」

「あらあら、よく動くお口ですこと。」


 むにー、むにーと両手で優しく引っ張っては戻しながら、今はまともに喋れないし伝わらないと示す。


 今度は私のターンだ。

 物理で勝ち取った私のターン!



「鳥さんが、『アイツ侯爵令嬢だぜ!宝石取るんだぜ!』なんて事まで判別できるとは思えません。もし、意図的に狙っているのであれば、キラキラした宝飾品でございます。」

「ひょれは…」

「ほら、私は今、髪留めをしまっております。何もキラキラした宝飾品は身につけておりません。それに…」

「ひょれひ?…」

「あの鳥が、街にも出没しているのか…街を見る必要があると思うのです。」

「………」



 そこまで言うと、私のターンは終わりだと言わんばかりに頬から手を離した。両手でギュッと自分の手を握りしめ、アルト様の柔らかい頬の余韻に浸りながら続けて言う。



「あの鳥の存在を知るのは現時点で私達だけです。私達が、この目で確かめるのも早期対策に繋がります」



 あたかも、皆の為を装った口上。しかしその言葉には私の欲望しか詰まっていない。


 アルト様は、手を離された後もしばらく呆然と自分の頬を押さえている。痛かっただろうか。

 しかし、先ほどまでの勢いはどこへやら、耳まで真っ赤にして私を凝視している。


 家族にもこんな仕打ちされたことないのに!とか思っていたら「ごめんね?」とは思う。そんなアルト様が少し考える素振りをしてから顔を上げ、こちらを真っ直ぐ見て話してくれる。



「……確かに被害の範囲を確認するのは……急務、かもしれません。しかし、貴女のようなお方に、このような真似をさせるわけには……」

「ささっ、決まれば行くのみです!」



 彼の後ろに回り込み、背中をグイグイと押して校門へ。この有無を言わせぬ空気をさっさと感じてくださいな♪と容赦なく押す。押して押して押すのです。


 するとアルト様は観念したようだ。



「分かりました、分かりましたからっ、押すのをやめてください。」



 そう言ってから、私の方にぐるりと体を反転させ、押していた腕を優しく掴まれた。やはり男性。掴まれてしまうとこれ以上動けなかった。



「ですが、街の警備兵がいるルートで向かいますからね」

「はい!」



 いい返事を返せば、何故かアルト様が肩を震わせて笑いを堪える。


「なんすか、その、いい返事」

「元気な返事は、対話でやる気を示す為の基本ですわ」

「くっ、ははっ。…貴女って、結構強引なんすね。」



 私に対しての敬意から思いっきり笑えないのだとは思うけれど、その堪える笑顔は私の大好きなアルト様の笑顔だった。

スマホで文章作っていて、予測変換で時折とんでもない誤字するのでしっかり確認してから投稿したい。なのに、つい嬉しくなって投稿してしまいます。早く完結まで行ってしまいそう…早くとも来週の土曜日くらいに完結にしたい。

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