勇者を利用するクロウの冒険譚
第100話記念作品!
『勇者を利用する者たちの冒険』の第2章と第3章との間の話をクロウ目線で書きました。
よろしくお願いいたします。
リリネッド、クロウが旅を始めたての頃の話。
クロウは正直に言ってこんなにも勇者に似合わない奴がいるのかと思いながら旅をしていた。
そこに一人の旅人らしき人が足を怪我して倒れていた。
「そこの人、申し訳ないのだが近くの村まで……あれ?」
リリネッドは旅人を無視して通り過ぎていく。
クロウはリリネッドの腕を掴んで止める。
「おいおいおい、勇者さん、止まらないと」
「なんで?」
「いや、普通は足を止めて助けるだろう」
クロウはワザとでもなく、嘘でもない、キョトンとした顔で見ているリリネッド。
「あのなぁ~、お前は勇者になった。それがどれだけの事かわかってるのか?」
「わかるよ~バカにしないでよ。アレだけ盛り上がっていたら」
クロウは意外な発言で少し驚いた。と同時に呆れた感情もあった。
「わかってて、見捨てるのか?」
「でも、村もすぐそこだし……」
リリネッドは旅人のズボンをめくりあげて傷付いた足に指を差して言う。
「観てよ。コレは、モンスターかな? 爪でひっかけられただけだよ。生きたかったら足を引きずってでも自分の行くよ」
「だが」
「誰かを待つ時間がるなら自分で生きる対策を考えるよ」
クロウは頭を掻きながら渋い表情をしたあと、リリネッドの頭を軽くドついてから、旅人を背をって近くの村へと歩き出した。
リリネッドは眉を細めながらもクロウの後を追う。
村の人に旅人をまかせて次の旅へと向かおうとした時に村人に依頼をまかされた。
●●●
クロウはヤレヤレと思いながら一人でその依頼に動く。
「リリネッドの奴、いつの間にか寝てやがって。人助けも勇者の仕事だろうが」
ブツブツと言いながら依頼を振り返る。
「たしか、道の真ん中におおきな岩が置いてあるとか……。アレかな?」
村から少し歩いた道のりに大きく丸い様な形の岩が置かれていた。
クロウは岩を分析する。
「自然で出来ているのならもっとゴツゴツしててもいいがこれは削っている。こんな綺麗な形にならない。誰かが意図的にやらないと」
岩には魔法の魔術を感じ取った。
「かけたのは数日前ぐらいだと4.5日間前かな。なぜこんなド田舎の村に……。まあ~いいや」
クロウは岩を粉々にする魔法を掛けて消した。
「これで依頼は終了っと」
クロウは後ろから気配を感じながら気づかないふりをして村へと戻る。
村にもどったクロウはその辺の木に下で寝ているリリネッドを見つける。
「(コイツ、身の危険を感じないのか?) おい、起きろ!」
それでもスヤスヤと眠るリリネッドの寝顔を見るクロウは鼻息をはく。
とそこに一人の冒険者が近づく。
「すみません、そこにいる方は勇者ですか?」
「ああ、そうだが」
「やっぱり」
冒険者の一人は腰の剣を抜いてリリネッドに斬りかかろう動く。クロウは杖を取り出して剣を止める。
「なんのつもりだ!」
「俺が勇者になる。邪魔をするな!」
クロウはヘラヘラした表情で冒険者の男を見る。
「これまで襲ってきた盗賊もお前ら冒険者もそんなに勇者になりたいのかあ? 大変だぞぉ~」
冒険者の男は剣を強く握り、叫ぶ。
「俺は……俺の家族の為に親友の為に…村の為に……勇者にならないとダメなんだ!!」
「へぇ~」
「邪魔をするな!!」
クロウはニヤリと笑った後杖で剣を腹のけ、足蹴りして冒険者を離す。
「勇者の剣を持つ者が勇者になる事なのか? 違うだろう? お前にどんな理由がるとか、勇者にならないとダメな事なのか? そんなことはないだろう」
クロウは指を差す。
「お前はただ認められたいだけだろう? 勇者になって」
「ん!」
「理由は聞かないがこれだけ言って置く、勇者に選ばれないなら、選ばれなかったのなら、他にも方法はあっただろう。ここまで冒険してきて、そこまで強くなって……もったいねぇ~なぁ~」
「何も知らない癖に!!」
「知らねぇ~よ、聞きたくない。俺の仲間に手を出そうとしたお前を俺は許さない」
冒険者は悲しく表情を見せた、クロウは後ろで寝ているリリネッドを見ると、起き上がっていた。
リリネッドは冒険者の前に立ち手を広げる。
「勇者になりたいんだよね? いいよ」
クロウも冒険者も驚く。動かない冒険者を見てリリネッドは背負っている剣を捨てる。
「ほら、刺していいよ」
真っ直ぐな目で冒険者を見つめるリリネッドに足が震え武器から手を離し膝から崩れ落ちる。
「これが……勇者かぁ……。かなわないな」
リリネッドは困惑して首を傾げる。クロウは大きなため息をして頭を掻く。
●●●
翌日の旅の途中で盗賊に襲われるリリネッドとクロウ。
「最近、多いよね」
「勇者様はほぼ戦わないでしょう」
「やろうとしたらだいたいクロウが倒しちゃうじゃん」
「(その方が早いし……っていうのはいいわけか。) まあ~勇者様が手を出すほどじゃないっ敵なので」
そう言ってクロウは下級魔法で盗賊を一掃する。
クロウは旅の始まりにリリネッドから『誰も殺さない』というルールを作っていた。
その為、クロウは面倒だが下級中の下級の魔法の魔術で倒す。
「(本当は、もっとリリネッドには強くなって経験を得てくれないとなぁ~)」
「クロウは魔法使いなんだよねぇ~」
「そうだがなんだよ」
「魔力がば~かみたいにあるのに魔術の制限ありって……どうなの?」
クロウは呆れた顔でリリネッドを見る。
「魔術も使えない奴がそれを言うか。なんだっけ世界最強万能型強烈甲賀剣だっけか、それがあれば問題ないかぁ~」
「せか…ばん? なに?」
「まあいいか。じゃ~行くぞ」
「うん」
クロウはあっちこっちから来る視線や殺気を感じながらも冒険を続ける。
「(ヤレヤレ、勇者よ、危機管理をもうすこしあれば……うん?)」
どこかを見ているリリネッド。
「どうしました?」
「いや、何か感じて……気のせいかな」
「(まさか、危機管理が? まあ~少しではあるが経験が積んでいるってことか。マジで成長性が低いけど)」
と思っている間にリリネッドがお腹を押さえながらクロウに言う。
「あ、クロウ。トイレしたいからアレだして」
「はいはい」
「異次元袋~ぉ!!」
クロウは袋を取り出してどこかの青いロボットの声真似をして『個室トイレ』を取り出す。
「(なんか俺、便利キャラになってねぇ?)」
そんなことを思いながら盗賊が襲って来た。
「こっちは勇者がトイレ中でしょうがあああ!!!」
そう叫び言いながら盗賊に立ち向かうクロウ。
「あまり騒がないで」
取り出した個室トイレの中でリリネッドはボソッと言った。
●●●
数時間あるいて空が暗くなってきた。
クロウは旅をしてく中である事に気が付く。
「仲間を増やそう」
「え、いやだ」
苦い顔をするリリネッドにクロウは呆れた顔をする。
「いや、前衛は必要だろうが。それに回復する奴かポテンシャルを上げるやつも欲しいなぁ」
「面倒だからいいよ」
「誰でもいいって事じゃないんだ。目的が同じならいいかなって」
「断る!!」
リリネッドは初めてはっきりと言った。
「そこまで仲間を増やしたくないのかよ。すげえ~なぁ~」
そんな話をしながらもリリネッドとクロウは次の冒険へと歩き出す。
補完として書き足りなかった話をいまさら書きました。昔の書いた感じを思い出しながら終えました。
ありがとうございました。




