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【第3話】12神と始祖龍③地獄絵図と化したこのフィールドで、魔法少女は人の形を捨てました。

主人公・・・12神序列7番

魔法少女であり、ヘリオスのサポート全般を行い、国にあるほぼ全ての魔法が使える。メルヘンにも関わらず口が荒い。


ヘリオス・・・12神序列3番

国内最強の魔法少女、博識で常に知識を欲している。最近は女性同士の恋愛(禁書)についての研究を行う。


アスケラ・・・12神序列4番 国内最強の女騎士、レグルスとパーティーを組んでおり、その甲冑と気の強さ故近寄り難く思われるが実はポンコツ。


レグルス・・・12神序列2番 国内最強の剣豪

感覚派で説明が非常に下手。剣術は1級品で、気がつけば戦いが終わっている。


ハウト・・・12神序列12番

氷魔術を極めた魔道士。水のある環境であれば全ての形を氷で作成し自分の意思で動かすことが出来る

既に12神が3人姿を消した。特に囚人が消えている訳でもないと考えると、その重要さが分からない?もうこうなると1分と稼げるかすら危うく、生きて帰るのは不可能に近そうだ。


「ヘリオスお願い」


「宙に生ける我等、天搖くこの我に断罪を許したもう力を、」


12神特級詠唱魔法『エターナルサン』人の命と膨大な魔力を引き換えに疑似太陽を生成しぶつける。対象の敵の髪ひとつ残さない王国12神の適正者のみが使える回避不可の大技。囚人が空高く上り肉体の破片で球体が作られていく。その白く輝く物体は、重力を歪ませ、周りのものを吸い込み黒く膨張し始める。


「ここは俺たちがどうにかする。お前達はあいつとヘリオスの援護を」


唱え終わるのに約40秒、その無防備な体制のヘリオスを私たち魔法少女とその見習いが守るのが。


「ア・クヌ・アリバ」


ヘリオスのバリアを貫通し、身を溶かすほど紅かった詠唱魔法も白い光となって消え、左半身を吹き飛ばした。


「ヘリオス!!!!!!!!!!」


空から落ちてくるヘリオスを掴むとあるはずの肩がなく、生暖かい血と臓器が手に張り付いた。


「ヒーラー!!!!」


必死に叫んだが、その外傷は酷く、誰が見ても助かるものでは無かった。即死と言われる攻撃でも2度耐えるそのバリアを易々と破る魔法など聞いたことがない。始祖龍か、あるいは別か、死を受け入れることはできなく、体が1つ無くなったような喪失感に陥る。10年間孤児院で〝生き残った〟私たちだ。


「あぁ…あっけ」


「喋るな!今助ける!!!」


「もうだめみたい、あのね」


脈が落ち着かず、脳に脈動と耳鳴りが私を襲い視界がホワイトアウトする。意識が遠のくその間に彼女の体から臓器が漏れ、徐々に軽くなっていく。ヒーラーは近寄らず、始祖竜の攻撃が始まり、ヘリオスが攻撃を受けないように岩の間に置いた。ヒーラーはいつものように回復をしない。始祖龍はエターナルさんにより首が吹き飛んだにもかかわらず、修復し、手が顔へと進化した。攻撃は構う暇もなく始祖龍に攻撃を続けるも、バリアをしているにもかかわらずそれを突き抜けて、蒸発しそうなほど体が暑い。





「」





「は?」


自分の意思とは関係なく、変身が解かれた。手持ちの杖も消え、衣装も消え、無防備のまま中に置かれた。身動きも取れず、即座に動くことも出来ない。ヒーラーは変身が解かれておらず、その中心には先程の黒紫の円陣が広がっていた。理解が追いついた気がする。彼女らの意思かは定かでは無いが、強制解除も彼女らの誰がだろう。そしてあの防御を貫通する魔法も、12神が消えたのも、仕組まれたんだ私たちは。理解の追いついたところでただ落ちて、避けることも出来ない攻撃で右腕を持ってかれた。たった一つの攻撃でも生身の人間となれば必然だろう。


「ミサ!やめて!」


「私だって!!!!」


ミサ…打った本人か?相手は始祖龍、そもそも王国に選ばれた12神のみが受けられるクエストに、100傑にも満たない特級の魔法少女が群がったところで勝てるはずが無い。あの見知らぬ魔法で何か策はあるのか。


「うぉぉぉぉぉぉ」


見知らぬ魔法を放ったであろう少女の掛け声に、彼女達はそれに続いて始祖龍に突撃した。あろうことかヒーラーの役目である彼女らにはそのような攻撃に特化した魔法を身につけるような力がどこにあろうか。まるでハエたたきをされたハエのように2人、3人と白い光を放ち地に落ちていく。声のひとつも発せない私にとって、それをただ見ることしか出来なかった。洞窟の中に入った12神は全員壊滅、私たちはどこで間違えた。


ブレスの1回で半分以上の魔法少女が黒い塊となり空に落ちていった。なぜ私たち12神のみに始祖龍討伐を告知されたのか理解出来るはず。人数は増やすべきではなかった。あの黒い魔法を使った者は何なのか、その先は地獄絵図と化した。幸いにも始祖竜の後ろに落ちたため青いブレスは受けなかったが、全員が即死だろう。




どうして、私たちがこんな目に。私たちがこんなことになったのは始祖龍じゃない、殺す。なんでもいい、殺す、私が私じゃなくなっても。


その地下からエネルギーが溢れる、私の体に巡る。望みを叶えるかのように、私の手は黒い煙幕のような形となり取り戻した。翼が生え、まるで脱皮を行う昆虫のように、今までの自分が殻となる。どうやら人ではなくなってしまったようだ。


「こんなん…勝てるわけない」


焼かれたはずの炎から、ミサインが姿を現した。黒く灰になった仲間を見て何を思うのか、自分が殺したと思うのか、それとも出番が回ってこなかった王国のせいにするのか。この殺意は誰に向けるべきだろうか、この子か、それとも始祖竜か。


「ア・タロク:オン」


知らない言語知らない魔法を知っているかのように唱える。私一人だけが動ける空間、時間停止魔法だろうか。後でこの少女を縛り尋問する。


「ア・ガマ・セヌカ」

杖が変容し、幾千の槍となり始祖竜を無尽蔵に切り裂く。原型を保持しながら、その剣は四肢を、胴体を貫いた。


「ア・タロク:オフ」


始祖竜の肉片が塊となり下に落ちる。血飛沫を起こしながら全体に崩れ、やがて波のように床全体に散らばった。

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