【第21話】始祖龍殺しのセレス
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「セレス様が……生き返りました」
「生き返った? そんなこと……」
「事実です……」
しかし、その姿は人間とは到底呼べないものだった。
黒い翼から白い光が漏れ、腕は黒く肥大化し、龍のそれと遜色ない形をしている。
「見てください……」
「始祖龍……討伐しました」
あまりにも一瞬の出来事だった。
戦いを主な活動としていない私にとって、目で確認できるような速度ではなかった。
「討伐……したのか?」
「怪物だ……」
「……奥から何者かが……」
人間でありながら、人の形をしていない者がひとり。
情報の渦に頭が追いつかず、思考が麻痺しかける。
「奥から人が……今、シュレイドって言いましたよ? それは何ですか?」
「昔、滅んだ国だ。まさか……今も存在するのか?」
話を聞く限り、どうやら仲間の勧誘らしい。
「……セレス様が敵陣に回ったと解釈していいのですか?」
「いや、どこかに飛び去った……つまり、王国……我が国に? そう考えれば辻褄が合う」
王国の襲撃――。
王国の襲撃は、死亡者は出なかったものの、損害としては国ひとつを揺るがすほど甚大なものだった。
もしセレスが敵となるのなら……誰がこの怪物に立ち向かうというのか?
「……それで、間違いない、と」
「今すぐに報告しましょう」
「そうしよう。我々はまだここで記録を取る。この報告書を王宮に届けてくれ」
「ハッ!」
書き溜めた記録を手渡し、数名の兵士が王宮へと急行した。
「捕獲依頼は出しているが……まさか、セレスが敵国と関与していると?」
「12神の生存者は、セレス様を含めて4名のみです! こんな状況で勝てるわけが……」
「そんなもの、やってみなければ分からん」
「……捕獲依頼の懸賞金を、2500万から10億に引き上げる」
「10億……!? 40倍ですよ? 国王、それは国家予算に相当します……そんな金額……」
「規模を考えれば、それでも安いくらいだ」
「なんせ……始祖龍を殺した存在だ。問題は、この依頼を受ける者がいるかどうか、だが……」
後日、クエストボードには一際目立つ巨大な紙が貼られていた。
「始祖龍を殺したのはセレス様だったのか…」
「聞いたか? セレス様が……闇堕ちしたらしい」
「そんな……どうして……?」
そのボードに人が群がり、辺り一帯で意見が飛び交う。
「詳細は分からないが、懸賞金10億だぞ? こんな数字、見たことあるか?」
「しかも……受注資格、Aランク以上? 難易度の割に、妙に低いな……」
「場所は……始祖龍の洞穴か……」
更新されたクエストには、明確な座標が指定されていた。




