タイトル未定2024/11/09 23:43
愛子ちゃん青木老人の洗礼を受ける
・・・ジジイは眠っていた。
とても穏やかな寝息をたて、
旨そうにコールボタンをしゃぶしゃぶしながら…
そうかそんなに旨いのか…
じゃあ仕方がないなあ って
ンな訳あるかーい!
な、な、な、なんなの!?
このとんでもない状況!
拡散してやろうか?え?
動画撮って全世界に発信してやろうか?
これはバズるぞー!。
と一瞬だけ思った。が、やめた。
なぜならこの程度の出来事、
実は看護師の世界ではよくある事なのかもしれないからだ。
病院では患者さんの諸々に対する守秘義務が大変に厳しく、
違反すると看護師免許の剥奪なんてケースもある。
SNSで病院ネタが少ないのはそのせい。
我々の仲間達はとんでもネタをぐっと腹に呑み込み、
黙々と仕事をこなしているに違いないのだ。
偉いでしょう?
おうおう青木さんよぉ、
それはチュッパチャプスじゃないし、
ソフトクリームでもないかんな。
味だってせいぜい、前の患者さんの指の塩気くらいなもんだろう。
どっちがより汚いのかよく分かんないけど、
とりあえず私はジジイの口から糸を引くコールボタンを
ソッコー取り上げた。
あぶくま洞は蓋を失い、ジジイは一瞬ビクッと反応し、
ハプッと息を吐いたがまたスースーと眠ってしまった。
真夜中の2時、私はゴム手袋をし
アルコールとガーゼでコールボタンを拭きまくった。
あとから考えると、真っ先にきれいにしなければならないのは
患者さんの口のほうだったのかもしれないが、
その時の私はもう生理的にデロデロのコールボタンが許せなかった。
ちょっと興奮した私は、佐藤さんにいきさつを訴えた。
私の話を最後まで黙って聞いていた佐藤さんは、
「愛子ちゃん、患者さんを責めたりしなかったのは偉いね。
青木さん夢の中で小学生に戻って、
好きな女の子の笛でもペロペロしてたんじゃない?ふふ。
明日の夜は私が対応するから今夜だけ頑張ってみましょうよ」
と どこまでも菩薩なのだった。
が、笛ペロペロを佐藤さんから聞くとは思ってもみなかったし、
美人の佐藤さんが言うと妙にエロく聞こえてしまい、
おまけに脳裏には頭の禿げた小学生が
ランドセルを背負ってスキップしながら現れ、
頭の中が混乱してしまった。
私の勤務する病院は原則2交代で、夜勤は2日続く。
明日の番もおしゃぶりジジイの相手かぁ と気が重かったが、
救われた。ラッキー♪
佐藤さんと一緒ならなんとかなりそう かな?
次回は三日後にUP予定です。