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桜四月。

作者: 三春星秋

花便りが聴こえる朝。テレビをつけると桜が満開になったと言っていた。もう四月。そんなに経っていたのかと寂しい気持ちを吐く。


今年に入って時の流れが早く感じるようになった。この部屋にはもう一人、居た。付き合っていた彼女、美代子だ。つまり同棲をしていた。が、別れてしまった。


僕の情けなさから別れることになった。彼女を幸せにしたかった。結婚して子供が居て一軒家を持って幸せな家庭を築きたかった。老いても共に腰を擦り、分かち合い。いつまでも永遠に歩んでいたかった。虚しい願望が泡のように消えて散る。


枯れてしまった机の花。一緒に育てようって君が言った。水をやるのを忘れていた。忙しくて(ないがし)ろにしていた僕が悪い。悪いのは僕である。


そう思うほど彼女は僕に尽くしてくれた。風邪で寝込んだ時も会社をクビになった時も母が亡くなった時も変わらず、美代子は居た。

美代子がいつも言う。口癖。


「大丈夫、大丈夫だから」その声の優しさに何故か安心する。ふわふわとした感覚。言葉にするのは難しいが生きてても良いんだなと、思った。彼女が居なくなってからだ。こんなにも寂しくなったのは。


朝の冷たさがまだ残る四月上旬。羽虫の翅のような白くて薄いカーテンを開けて。


窓に入る陽光が眩しい。


白の視界に思う。


あぁ、まだ朝か。

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