オーガキング
「…あれは⁉︎」
「…オーガキングだな。見た感じは…だが。」
オーガキング…‼︎
「それと…あれを見てくれ…‼︎」
私はデンジに言われ、デンジの指す方を見た…。
「…えっ⁉︎」
口を押さえているが、少し声が漏れてしまう…。幸い、オーガ達には気づかれなかったが、もう少し大きな声を出していれば…。
…デンジが指していたのは、オーガキングの横で縄に縛られ、動けない状態でいる…何とこの前救った筈の女の子であった…。
「あ、あの子は…この前私が救った子よ…⁉︎」
「な、何だと…⁉︎」
デンジが再度、その女の子を見つめる。
「くそッ…やるしかないのか…。」
デンジは腰にある鉄の棒を取り出すと、スイッチを押して起動させた。
「…俺が奴に突っ込む…!レイはあの女の子と、取り巻きを頼む…‼︎」
デンジはそう言うと、オーガキングに向かおうとする。しかし、私は止めた。
「どうした…?」
私を心配したのか、こちらを向いて聞いてくる。
「…私、恐れているのよ…貴方の身に何かが起きそうで…。」
デンジは、私の心配事を聞いた瞬間、大きな溜め息を吐いた。
「…レイ、俺が心配なら、少女を助けてから俺を助ければいいじゃないか?」
「…そ、そうね。」
…な、何だろう…嫌な予感がする…。それをデンジに伝えたいが、なかなか強く言い出せない…。
「じゃ、頼むぞ…‼︎」
「で…デンジ…‼︎」
私はデンジを止めようと手を伸ばすが、もう遅い。デンジは既にオーガキングに向かって走り出していた。
「うおおおおおおおおおお‼︎」
デンジが気合いを発しながら、オーガキングに近づく。
オーガキングはデンジに気がつくと、背中の大剣を左手だけで持ち、大きく振った。
デンジはその攻撃をギリギリで躱す。コートの一部が切り裂かれるが、デンジは無事だ。
デンジがオーガキングの脚を斬った。剣の切れ味は良く、脚に傷ができる。
「はあっ‼︎」
デンジはそれだけでは留まらず、更に攻撃を仕掛ける。オーガキングもデンジの攻撃を受けつつも、デンジに攻撃をお見舞いする。
デンジの戦う姿に見惚れ、しばらく見ていると、私は突然デンジから頼まれたことを思い出した。
「そうだ…あの女の子を…‼︎」
私は剣を引き抜くと、邪魔する木々を裂き、少女の方へ向かった。
「…大丈夫か?」
「…う…あ、あの時のお姉さん…‼︎」
私は少女を縛る縄を裂くと、少女は手足の自由を得た。
「あ、ありがとう…お姉さん‼︎」
「お礼はいいから…‼︎さあ、早く逃げて…‼︎」
私は少女に逃亡を催促する。少女は頷くと、ささっとこの場から離れた…。
「ぐあっ⁉︎」
少女が離れたと同時に、今度はデンジの方から声が上がった。
デンジの方を見ると、デンジがオーガキングの攻撃を受けてしまって倒れているのが見えた…。
「デンジッ‼︎」
私はデンジの方に近づき、倒れているデンジを起こした。
「大丈夫…⁉︎」
「…大丈夫だ。大した傷じゃない…‼︎」
デンジがそう言って、顔を上げた…その瞬間、目を大きく見開かせた。
「レイ…掴まれ‼︎」
「⁉︎」
デンジは私を背負い、オーガキングの横に避けた。その直後、私達のいた所にオーガキングの大剣が振り下ろされた。
大剣が持ち上げられ、振り下ろされた場所を見ると、何と大きなクレーターが出来ていた。
「な、なんて威力だ…‼︎これがオーガキングの力なのか…⁉︎」
「ともかく、この状態ではどうにもならないわね…‼︎」
私はデンジから離れ、デンジの横に立つ。
「どうする…?このまま、オーガキングを倒すか…?それとも逃げるか…?」
デンジがこちらに視線を動かし、聞いてきた。先程腰を斬られたのにも関わらず、ピンピンしているし、凄い男だ…。
「…このまま放っておくと、街の人達が危ないわ…。だから、今ここで倒そう…‼︎」
私の答えを聞き、デンジはニヤッと笑う。
「…了解した‼︎」
デンジは腰にあるもう一本の鉄の棒を取り出すと、そちらも光の刃を出現させた。
私もデンジを助ける際に納めた剣を引き抜き、走り出す姿勢をとった。
「グガアアアアアアア‼︎」
オーガキングは咆哮した。木々を大きく揺らし、地までも揺るがした。でも、覚悟を決めた私達は動じない。
「オーガキングもやる気のようだな…行くぞ‼︎」
「…ええ、倒しましょう‼︎」
私達はお互いを見て、息を合わせ、そして…オーガキングに向かって走り出した…。