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少女と魔族の男

「何も知らない〜?そんなの、嘘だろ〜?だったら、そのネックレスは何なんだ〜?」


 変な口調の男が、捕らえられた男の大事なネックレスに触れる。

 それに捕らえられた男は怒りを露わにし、変な男の手に噛みついた。


「…そんなもの、痛くも痒くもないよ〜?無駄だから〜、このクオ様への抵抗はやめようね〜‼︎」


「ぐっ…⁉︎」


 クオと名乗った男は噛みついた男の腹を殴る。強烈な一撃なようで、男は一瞬で失神する。


「何も情報は得られなかった〜、仕方ないからクオも帰るか〜!どうせ、この魔族は動けないから死ぬし〜、置いていくか〜!」


 クオはそう言うと、翼を生やし、先程の男と同じ方へ去っていった。

 …あの男がいなくなった‼︎あの男を助けよう‼︎

 私は捕らえられている男の方へ駆け寄った。


「大丈夫か…?」


 私は男に声を掛けるが、反応がない…。気を失っているのか…。

 私は剣で男を拘束する縄を斬り裂き、男を解放する。そして男を背負い、街の方へ戻っていった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「んぐっ…⁉︎」


 男を助けてから数時間後、私達は私の泊まっている部屋にいた。

 どうやら、彼は目覚めたようだった。


「こ、ここは…⁉︎」


 男が部屋を見渡す。そして私を発見すると、私に言ってきた。


「お前か、俺を助けてくれたのは…!」


「…そう。私、たまたまあの現場にいたから、気絶していた貴方を助けたのよ。」


 男は布団から飛び起きると、こちらに土下座してきた。


「ありがとう、貴方は俺の命の恩人だ…‼︎」


 …土下座は大袈裟だ。でも、そうは言えなかった。何故だろうか…。


「何か有れば、俺を頼ってくれ‼︎命の恩人には借りを返したいからな‼︎」


 男はドンと胸を叩く。

 …この男、魔族と言っていたよね。もしかしたら…。


「じゃあ、早速聞きたいことがあるわ。その…私、アルガァ=ナイトという人を探しているの。少し事情があってね…。貴方、知らない?」


「アルガァ=ナイト様…?うーむ、三十年前に亡くなったから…それ以来は分からない。三十年前までアル様の下で働いていたんで、その膨大な魔力は覚えているんだがな…。」


 アルガァ=ナイトの下で働いた…?魔族って長生きなのか…?しかも魔力を覚えているって…?


「魔力を覚えている、それってどういうことなの…?」


「そのままの意味だ。魔族は人を見分けるために、魔力を見たり感じたりするんだ。魔力は人によって様々な性格を持っていてな、例えばアルガァ=ナイト様の場合は、魔族を守ろうとする強い意志を持っていたり、その親友であるサガ=エルドラゴ様の場合は、そのアルガァ=ナイトを守りたいと意志を持っていたぞ。幾ら変装していても、魔力を見たり、感じたりしたらすぐにバレるぞ。」


 なるほど、魔力を覚えている、か…。


「…アルガァ=ナイト様が何処にいるのは知らないが、アルガァ=ナイト様を探すことは出来るぞ。どうだ?それで借りは返せるか?」


 …まあ、共に探してくれるのなら、それで良いか。


「分かった、それで良いぞ。」


「よし、そうと決まれば…!」


 男は立ち上がると、こちらに右手を伸ばしてきた。


「俺はデンジだ。これからよろしくな。」


 彼がニヤッと笑うので、私も笑みを作り、握手した。


「私はレイ。こちらこそ、よろしく。」


 これで私とデンジは仲間となった。彼についてはまだ知らないことも多いが、長い付き合いになりそうな気がした。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「レイ、お前の装備…かなりボロボロじゃないか。」


 私とデンジが手を組み始めた次の日。デンジの怪我が良くなったので、街の中を歩いていた。


「そういえば、そうだったね…。ずっと装備を変えずに戦っていたからボロボロになるのも当然かな…。」


 現在、鎧も無く、外套も含めて全てがボロボロだ。このまま狩り等を続けていたら、命を落としかねない。


「だったら、今から装備を買いに行こうぜ。俺が払うからさ。」


「いや、私の装備だから、大丈夫よ。」


 私にとってはかなりおいしい話だが、流石に遠慮する。会って間もない人に払ってもらうなど、失礼すぎる。


「…なら、俺おすすめの店に案内するぜ。俺も通っていた店だから、贔屓してくれるはずさ。」


 ということで、私はデンジに連れられ、デンジおすすめの店に向かった。


「いらっしゃい…ってデンジじゃないか⁉︎女を連れてどうした⁉︎」


「どうも…。これには事情があってだな…。」


 デンジは店主に成り行きを話した。すると、店主は目を大きく見開き、こちらに言った。


「ほう、デンジを助けてくれたのか。感謝する。デンジを助けてくれたお礼として、貴方に似合う装備を作るぞ。」


「いやいや、私は大したことはしていない。だから、お礼も要らない。私は普通にオーダーメイドを頼みたいの。」


 私がそう言うが、店主やデンジは納得しない。


「…うむ、なかなか聞き入れてくれないな…。どうしたもんかねぇ…。」


 店主は腕を組み、目を瞑り、しばらくはそのままの状態で立っていた。

 私が壁に飾られている武器達を見ていると、突然、店主は言った。


「よし、分かった。俺の作った武器や防具の無料提供は止めよう。その代わりに、貴方の武器や防具の修復代を安くしよう‼︎それならどうだ…‼︎」


 修復代を安く…‼︎しかし、大したことをしていない私がそんなものを受けてもな…。


「レイさん、貴方がやったことは大したことなんだぞ。何せ、魔族の全滅を阻止したんだからよ。三十年くらい前のあの騒動で、世界の殆どで魔族が堕ちてしまい、現在ではもう百人に満たない程しか残っていないという。もし、あそこで貴方がデンジを助けてくれなければ、魔族の全滅は更に進行してしまう所だったんだ。…貴方がやったことは世界にとっても大きなことなんだ。俺達の礼なんてそれに比べりゃ、些細なことさ。だからさ、礼を受け止めてくれ…。」


 …そこまで言われちゃ、何も言い返せないよ。

 私は店主の話を聞き入れた。店主は喜び、早速私の装備を作り始めようとした。


「レイさん、どんな感じにしたいんだ?貴方の要望なら、出来るだけ詰めてやるぜ!」


「そ、それじゃあ…!」


 私は店主に欲しい装備、その能力を言った。

 店主は全ての要望をメモすると、私達に言った。


「よし、これなら全部実現出来そうだ。受け取りは…そうだな…承週光の日のでどうだ⁉︎」


 一週間ちょっとか…。まあ、作るのは店主だし、そこはおまかせしよう。


「はい、大丈夫です。」


「良かったぜ…。じゃ、受け取り時にこの装備達の代金を頂くからな。」


 店主はメモを持って、奥の工房へ向かう。その間にデンジが言ってきた。


「…装備が出来るまでは、店の商品でやり過ごそうぜ。ここに飾られているのもかなり良いものばかりだからな、使って損はないぜ‼︎」


 私はデンジの提案を聞き入れた。店主が戻ってくると、私は商品を購入した。また贔屓しようとしてきたので、私は遠慮しておいた。遠慮する度に困った顔をされてきたが…。

 商品を購入し、装備を交換すると、私達は店主に挨拶して店を出た。店を出ると、お金を稼ぐために私達は森の中へまた入っていった…。

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