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成長を続ける少女

「…はあっ‼︎…やっ‼︎…せいっ‼︎」


 第六魔王暦31年五月起週雷の日。オーガと戦ってから六日後のことだ。私は再び森の中でゴブリン、オークを狩っていた。

 あの日、私は自身の力不足を思い知った。だから目覚めた昨日はゆっくり休み、今日は早朝から狩りを始めている。


「グギャアアアア‼︎」


 背後にいたゴブリンが襲ってきた。目の前にいるゴブリンを対処しているので、後ろから襲われるのは苦しい。しかも、私の左腕は消え失せているのでかなり辛い。


「はあああ‼︎」


 私は右脚で目の前のゴブリンの脚を引っ掛け、ゴブリンのバランスを崩す。そしてそのゴブリンを踏み台にして、後ろのゴブリンの攻撃を避けた。


「ハァ…ハァ…ハァ…」


 今は白竜十一の時。早朝から狩っているので流石に疲れてきている。いや、ゴブリンやオークを朝から狩っただけではこうはならない。あの時に目覚めた力を常時使用しているから、私は疲弊しているのだ。

 あの時に私が目覚めた物は<覚醒>というスキルみたいな物らしく、自身のあらゆる力を底上げしてくれる。かなりメリットのある物だが、それに対するデメリットも大きい。

 <覚醒>のデメリット…それは体力、魔力の消耗が激しいことだ。あの時数分間<覚醒>を発動させ、オーガを倒しただけで、私は直ぐに気を失ってしまった。このことからも消耗が激しいことが分かる。

 しかし私は、<覚醒>は使っていくうちに身体が慣れ、体への負担が減っていくのを知ってしまった。これは私を診てくれた医者が教えてくれたのだ。

 私はそれを聞いた瞬間、次の日から<覚醒>の訓練を行うと決めた。それが、今私がゴブリンやオークを狩っている理由だ。


「ふっ!」


 ゴブリンの攻撃を避けた私は斬り上げ攻撃で、二体のゴブリンを同時に殺す。どうやら、この二体が最後のようで、もう周りには何も居なかった。


「大分、<覚醒>に慣れてきたかな…。最初に比べ、身体が軽い…。」


 私はそう言いながら、剣を仕舞い、腕を失った左肩を触る。私が弱い証拠であるその肩に触れることで、私はいつも強くなろうと思えるのだ。


「これで最後の一本…。」


 私は魔力を急激に回復させる、ポーションというものを飲んだ。これにより、私の魔力が回復する。

 最初は数分に一本飲んでいたポーションだが、時間が経つにつれ、十分に一本、三十分に一本、そして今では一時間に一本で済むようになった。これも身体が<覚醒>に慣れた影響だろう。


「さあて…後一時間したら、街に戻ろうか。」


 私は再度剣を抜くと、森の中を駆け始めた。<覚醒>のお陰で速く移動が出来、そのお陰で私の能力も上がり、素材も大量に集まっている。これらを売れば、少しはマシな装備を買うことが出来るだろうか。

 今の私はあの時と殆ど同じ装備…なので、所々解れや破れがある。ただ、鎧は砕け散ったので存在していないし、剣も新調している。そこが数日前の違いか…。


「ギギャッ‼︎」


 …ゴブリンの声だ。声のあった方に視線を動かせば、そこには大量のゴブリンがいた。


「セイッ‼︎」


 私はそのゴブリンの群れに突っ込んだ。いきなり私に襲われたゴブリンの一匹は、私に真っ二つに裂かれ、絶命する。


「グ、グギャアアアア‼︎」


 仲間を殺されたのを見た、周りのゴブリンが一斉にこちらにやってくる。

 私は剣を構え、そのゴブリンの群れを相手しようとする。

 まず、先頭のゴブリンの振り下ろし攻撃を避け、相手の首を切り裂く。次に隙をついて襲ってくる棍を剣で断ち、切り返しでゴブリンまでも断つ。二体が同時にやってくるので、片方は脚で押し倒し、片方は真っ二つにする。そして転んで残った方も首を刈り取る。

 倒れてゆくゴブリンの悲鳴により、更なるゴブリンの大群が現れる。私は剣を構え、先頭のゴブリンを踏み台にし、上からゴブリンを斬り裂いていった。

 数分後、私は少し大きなゴブリンを発見したので、襲いかかる。


「…はっ‼︎」


 私は少し大きなゴブリンの心臓を突き刺し、絶命させる。気がつけば、もう周りには生きたゴブリンは存在していなかった。


「あれ…いつの間に全滅した…。」


 私はとりあえず、ゴブリンの死体から必要な物を採取し、ポーチに仕舞っていく。

 採取していると、何処からか話し声が聞こえてきた。私は採取を終えると、剣に付いた血を振り払い、その声のあった方へ向かった。


「マスタ〜?捕らえたこの男はどうします〜?」


「…情報を吐かせて下さい。なにしろ、この男は魔族です。魔族について、何か知っているかもしれませんよ。」


「了解〜!」


 魔族…?確か、元魔王様や女神様が魔族だったような…。


「さて、私は魔王城へ戻らねば…せっかくの休日なのに、呼ばれるとは…まったく、酷い話です。」


 男はそう言うと、翼を生やし、北の方へ去っていった。

 …あの男、只者ではなかった。あの男を見ただけで、私にプレッシャーがかかり、立っているのも辛かった。

 男が消えたことで、私にかかった重圧も消えた。私は何とか立て直し、先程居なくなった者の方へ向かった。


「魔族の小僧〜さっさと情報を吐きな〜‼︎吐かなきゃ、君が大事そうに持っていたネックレスを奪い取ってやるぞ〜?」


「…だから、俺は何も知らないと言っているだろう!」


 …先の男の声が聞こえた。静かに近づき、その様子を見ると、何と、黒髪の男が捕らえられていた…。

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