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第52話「魔法帝国研究所②」

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 遺跡の『最寄り』まで転移魔法で跳び、更に飛翔。

 ダンとスオメタルは探索する『現場』からは少しだけ離れた深い森の中へ降り立った。


 このような深い森は見通しが悪く、あまり視界が良くない。

 樹々が生い茂っていて敵が身を隠し易く、奇襲を受ける確率が高い場所だ。


 しかし、ダンとスオメタルは相手が放つ波動により、気配を読む技に長けている。

 襲おうと迫る殺気に近い気配で、次に取る行動のおおよそは分かるのだ。

 

 しかし、相手が心の波動を読ませない特殊な魔法を使う場合もある。

 なので油断は出来ない。

 実際、魔王軍には高位悪魔を始め、気配を消す奴がごろごろいたからだ。

 

 いきなり敵襲を受けないよう、索敵をしながら……

 ダンとスオメタルは慎重に遺跡の入り口へ近付いて行く。


 敵が居ないのを確かめた上で……

 障害物の岩をスオメタルが遠当ての魔法により砕き、

 行く手を阻むように生い茂った植物の遮蔽物は、風の魔法をまとった手刀でダンが切り開いて行った。


 結局、敵襲や妨害はなく、ふたりは無事、遺跡の入り口へたどり着いた。

 時たま鳥の声が遠くに聞こえるだけ、辺りは静かであった。


 肝心の遺跡入り口は縦5m横3mの古びた分厚い石扉である。

 石扉は……固く閉ざされていた。

 さすがに自動で開く様子はない。


『パッと見は大昔に廃棄され、打ち捨てられた小さな迷宮の入り口って感じだな』


『御意でございます。でも、マスター、扉が……ぴったりがっちり閉まっているでございます』


『成る程。いろいろ扉に傷やら何やらあるな』


『御意でございます。何とかこじ開けようとした、涙ぐましい努力の跡というところでございましょうか』


『だけど……結局開かなかったんだろうな。ここを発見した奴らもお手上げだったらしい』


『開けるのに少々難儀するでございますかね。嫌らしい罠が仕掛けられている可能性も否定出来ませぬ』


『確かに。それと後々の事を考えれば遠当ての魔法とかで扉を破壊したくはない。鍵穴もないし、魔法で開錠するしかないかぁ』


『御意でござ……』


 いつものようにスオメタルが同意を言いかけた時である。


 ぴいいいいいいいいいいいいいいいいいいいんんん!!!


 耳に刺さるような鋭い金属音が鳴り響き、

 「ぱああっ」とスオメタルの身体が発光した。


『おい、大丈夫か、スオメタル』


 ダンが心配して声をかけた。

 スオメタルの身体は一瞬強く光ると、徐々に輝きが収まっていた。


『私は……大丈夫でございます』


『おいおい!』


 更にダンが声をかけた時。


 ごごごごごごごご……


 重い音を立て、石扉がゆっくりと開いて行く。


『マスター、扉が開くでございます』


『うん、スオメタルの放つ波動か身体がキーとなり、反応したのか。我が身内が来たから入ってOKだぞという事かな?』


『はい、そのようでございます』


『おっと、つい忘れてた。スオメタル! 身体は! 大丈夫か!』


『ありがとうございます。ご心配して頂いて嬉しいでございます』


『そうか! 治癒魔法を、いや魔力を補充してやろうか』


 ダンが手を伸ばし、労わると、スオメタルは首を横に振った。

 柔らかく微笑む。


『大丈夫でございますよ。それより、どきどき致します。もしかしたら、私の生身の身体が保存されてるかもしれないでございます』


『分かった! 何か不調だったらすぐ言ってくれ。……注意しながら、慎重に探索しよう』


『お気遣い頂きありがとうございます。御意でございます』


『よし、行こう!』

『はい!』


 ぽっかり開いた遺跡の入り口から何かが飛び出したり、

 ダンとスオメタルへ攻撃が加えられる気配はない。


 ふたりは頷き合い、遺跡へ入るべく一歩足を踏み出したのである。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 ダンは、勇者補正で夜目が利く。

 スオメタルもガルドルドの魔導瞳に暗視機能があるので、真っ暗闇でも平気だ。


 中へ入ると、広大なドーム型の洞窟が広がっていた。

 それも自然の造形ではなく、人工的に彫られた形跡がある。

 

 そして何と!

 ドーム内は真っ暗闇ではなく、灯りがあった。

 

 光源は不明。

 だが蒼い魔導灯らしき光がぼんやりとドーム内を照らしていた。


 改めて周囲を見やれば…… 

 あちこちに奇妙な形をしたキノコのような植物が群生している。

 壁には無数にひび割れが入り、これまた青色の苔が密生していた。


 不思議というか、地上とは全く違う奇妙な世界であった。


 突き当りが通路らしく、長方形の穴がぽっかり開いている。


 その先は、ふたりが目を凝らしても奥までは見通せなかった。

 先が相当に長そうだ。


 ふたりはしばらくその場で待機したが……

 動くものはない。

 周囲を見渡したふたりは、敵の気配を感じない為、

 魔法で灯りを点ける事にした。


 ダンが指を「ピン!」と鳴らすと、淡い光球が4つ出現した。

 再度ダンが指を鳴らすと、光球は前後左右に移動する。


 冒険者が良く使う『探照灯の魔法』である。

 一般市民が生活の際、または商人や旅行者も夜旅で使う初歩的な魔法といえる。

 

 『探照灯の魔法』で呼び出す光球は通常ひとつである。

 照度もダンが呼び出した光球よりずっと暗いし、持続時間も極めて短い。


 しかし、さすがは元勇者、ダンの使う『探照灯の魔法』は光球が4つ。

 照度も自在に調整可能で、持続時間も半永久的である。


 ふたりは光球に照らされた『ドーム』をもう一度見回した。


『どうやら……敵は居ないようでございますね』


『ああ、でも油断するな。こういう場所には守護者ガーディアンが居るもんだ』


 守護者とは自動ゴーレムの一種である。

 秘密や財宝を守る為に、配置される事が多い。 


『おっしゃる通りでございます。マスターと私の魔力を感じ、侵入者排除の為、動き出す魔道具でございますよね』


『ああ、そうだ。魔王デスヘルガイザーの城で、嫌というほど戦ったな』


『はい、守護者ガーディアンとは、散々戦いましたでございますよ』


『おう! 魔王軍のモノと姿形は多少違うだろうが、性能は似たようなものだろう。囮作戦で行くぞ。不意打ちだけ気を付けよう』


『御意でございます。マスター、万全を期して、スオメタルは更に簡易な魔法障壁を提案致します』


『了解! 安全の為、念には念を入れよう。囮として呼び出した光球を先に行かせる』


『御意でございます。探照灯用と罠用……ふたつを兼ねるのでございますね』


『そ~いう事』


 ダンが追い払うように手を動かすと、前方に数mの位置に在った光球がゆっくりと前方に動き始める。

 

 更に肉眼では見えない小さな魔法障壁がふたりを取り囲んだ。


『これでよし! さあ』


 ダンは手を伸ばした。

 更に万全を期して魔力補給の為、スオメタルと手をつなぐのである。

 

『はい!』


 スオメタルも今度は遠慮せず、笑顔で応え、手を伸ばした。

 

 手をつなぐのは、魔力補給以外にも、目的はある。

 それは心をケアする為、または絆を深める為……


 ふたりはしっかりと手をつなぎ、ゆっくりと歩き出したのである。

いつもご愛読頂きありがとうございます。


※当作品は皆様のご愛読と応援をモチベーションとして執筆しております。

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