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第50話「働き方改革②」

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 ダンとスオメタルが提案した『働き方改革』は大成功を収めた。


 スオメタルが見込んだ通り、

 スパルトイ軍団は指導者としても、極めて有能であったからだ。


 ほんの少しだけ先輩の人狼族は、鋭敏な嗅覚、スタミナ抜群の長所を活かすという事で、スパルトイリーダーは領内のパトロールを提案。

 得意な狩猟とともに広範囲のエリアをカバーする事が可能となった。


 片や新参のオーガ族はダンが提案した土木工事や運搬以外、

 スパルトイリーダーは畑仕事も提案した。


 オーガ族は良く言えば大まか、細かい作業に向いてはいない。

 呑み込みも遅い。


 しかし根気よく、分かりやすくがスパルトイのモットー。

 懇切丁寧な指導で、道路工事と運搬の力仕事は勿論、オーガ達は徐々に畑仕事の細かな作業もこなせるようになった。


 また、仕事の内容は全く違えど……

 宿命のライバルたる『犬と猿』


 スパルトイリーダーの秘策、『双方の成果の見せ合い』をさせた事も功を奏した。

 互いのライバル心に猛烈に火が点き、良き相乗効果を生んだのである。


 こうなると……

 最古参? 亡霊魔法少女タバサの立ち位置が微妙となる。

 これだけ周りのやる気に煽られては……

 さすがのタバサも、平気で『食っちゃ~寝~』で居られるほど神経は図太くなかったのだ。


 そんなある日の事……

 城の大広間に居るダンとスオメタルの下へ、タバサが神妙な表情で訪ねて来た。


『あの~』


『何だい? タバサ』


『ダン様とスオメタル様にご相談が……』


 いつものタバサの口調とは全く違う。

 殊勝な態度で、上から目線も皆無である。


 ここでダンが軽く突っ込む。

 タバサの気持ちを確かめる為である。

 

『おう、何、遂に天へ還る気になった?』


 更に、スオメタルも続く。


『マスターの言う通り、とうとう成仏する気になったでございますか?』


『そ、そんな! ぶええええええ~~ん!』 

 

 ダンとスオメタルの言葉に心が折れたか……

 タバサは泣き出してしまった。

 ……どうやら嘘泣きではなさそうだ。


 さすがにダンとスオメタルはタバサを労わる。


『ごめん、ごめん、冗談だよ』

『ジャストアジョークでございます』


『……て、天へ還るとか! じょ、成仏って! 酷い~~!! うううううう~~』


『すまんすまん、タバサ、お前、他の奴らに刺激を受けたから、何か仕事がしたいんだろ』

『そこまで感情が乱れるのは、本気で真面目に、且つ頑張る気になったでございますね』


『……………』


『でも、一体何をしたら良いか、分からない、見当もつかないって事だろ』

『いまだ魔法も、半人前でございますからね』


『……………』


『安心しろ、タバサ。もうスオメタルと話してあるよ。近々お前と相談しようと思ってた』

『もうマスターと相談済みでございます』


『ホントに?』


『ああ、だがひとつだけ条件がある』

『はい、これは必ず守って貰いたいでございます』


『条件? 必ず守って貰いたい?』


『おう、スパルトイ達と仲良くする事』

『絶対条件でございます』


 タバサとスパルトイ達は出会った時から、またこの土地へ来てからも、

 良く『言い合い』をしていた。

 人狼族とオーガ族のように、犬猿の仲に近かった。

 真面目なスパルトイ達は、タバサの傍若無人な態度が許せなかったのだ。


 タバサは考え、黙り込む。


『……………』


『どうだ?』

『守れるでございますか?』


 数分間の沈黙……

 「背に腹は代えられぬ」と考えたに違いない。


 タバサの返事は……

 OKだった。


『……はい、約束します』


『よっし! じゃあ順を追って話す』

『良く聞くでございます』


 ダンとスオメタルから自分の仕事に関して、大切な話があると理解し、

 タバサは空中で居住まいを正した。


『はい、お願い致します』


『お前には、スパルトイリーダーの下について貰う』

『得意な水属性魔法を活かして貰うでございます』


 スオメタルによる魔法のレッスンで、タバサには水属性魔法の適性がある事が分かっていた。

 しかしまだまだ半人前。

 発動も制御も、合格点にはほど遠かった。


 それにしてもスパルトイリーダーの下につけとは?

 どのような意味だろう。


『スパルトイリーダーの部下? 得意な水属性魔法を活かして貰う?』


『ああ、今度、城外にひらく農園の責任者になって欲しい』

『いえす! スパルトイリーダーと共に、オーガ達を管理監督して貰うでございます』


『の、農園の責任者? オーガ達を管理監督? で、でも私、農業は全然素人なんですが……管理監督なんかもした事ないし……』


『分かってるさ! お前には魔法の勉強と一緒に、農業の勉強もして貰う。そして部下をまとめる立場になるんだ』

『習得した水の魔法を自在に使い、農作物を立派に育てるでございます。これから、勉強も魔法以外にもいろいろ増えて大変になるでございますよ』


『……………』


『それともうひとつ』

『そうそう、まだあるでございます』


『もうひとつ? まだある?』


『うん、何かの折に、お前は花が好きだと言っていたよな』

『私も憶えているでございます。タバサはお花が好きだと』


 確かダンとスオメタルの3人で雑談した時、そんな話もした気がする。

 でも……

 すっかり忘れていた。


『……ええ、確かに子供の頃からお花は大好きです。だけど、育てた事はないです』


『問題ない。スパルトイリーダーは前世で戦士と共に農民もこなしていた。花もたくさん作っていたと聞いている。彼にいろいろ習うと良い』

『農園には、マスターの言う通り、お花畑も作るでございます。それもただ作るだけじゃないでございます。他の農作物同様に、王都のお店へ売るでございますよ』


『えええええっ! 農作物とお花を売り物にぃ!!』


『おう、タバサには、俺達の食卓と副収入も担って貰う。励みになるだろ』

『美味しい野菜や、大好きな花をでるのは、やりがいMAXでございますよ。その上、タバサの育てた野菜と花が大勢の人々を喜ばせるのでございます』


 タバサに任される仕事は……

 あるじの生活も支える想定外の大仕事であった。

 

 全くの農業未経験に加え、半人前の魔法使いがやる仕事ではない。


『う~っ、そんなプレッシャー……』


『ははははは、大丈夫! まず俺がスパルトイリーダーに執り成す。その後もスオメタルと全面的に協力するよ。一緒に頑張ろう』

『マスターと私も、タバサと一緒に、農園で働くでございますよ』


『一緒に……頑張る……一緒に働く……ダン様とスオメタル様が、私と一緒に!?』


『ああ、タバサ、3人で一緒に頑張ろう!』

『3人で美味しい野菜と、綺麗なお花を育て作るのが、本当に楽しみでございます!』


『うううう、嬉しいですうう!! わああああああああああああああん!!!』


 普段は漫才のような掛け合いをしながら……

 『おいた』をしたら、『髪もしゃもしゃ』のお仕置きをしながら……


 ダンとスオメタルは、タバサの事を真剣に考えてくれていた。

 

 感極まったタバサは……

 亡霊なのに、涙があふれ、止まらなかったのである。

いつもご愛読頂きありがとうございます。


※当作品は皆様のご愛読と応援をモチベーションとして執筆しております。

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