第47話「クレーム大猿①」
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ある日の朝……
まだ夜が明けないうちの事である……
がああおおおおおおおおおおおっ!!
ぐおおおおおおおおおおおおおっ!!
いきなり!
ダンとスオメタルは、魔族らしき咆哮により叩き起こされた。
手をつなぎ眠っていたふたりは、大きくため息を吐き、半身を起こした。
魔導時計の短針は、向かって右側のほぼ半分を指していた。
『おいおい、まだ午前3時前だぞ。王宮でのいじめ……いや! しごきからは解放されたんだ。こんなに早起きしたくねぇ』
『なんでございますかね? この咆哮は、多分オーガどもでございます』
がああおおおおおおおおおおおっ!!
ぐおおおおおおおおおおおおおっ!!
耳を澄ませたふたりは、眉間にしわを寄せる。
『あれ? オーガの奴、何か怒ってるみたいだ』
『もしかして、この前マスターが転移魔法で強制移動させたのがバレたでございますかね?』
がああおおおおおおおおおおおっ!!
ぐおおおおおおおおおおおおおっ!!
だが……
魔王軍と散々戦い、勝利したふたりにとって所詮眷属のオーガなど敵ではない。
なので、緊迫感は全くなかった。
『いや~、バレてないと思うけど。興奮しすぎていて相変わらず念話が読めね~や』
『オーガはガラが悪そうなので、極力避けたかったでございますが、種族間万能翻訳機能を使うでございます』
がああおおおおおおおおおおおっ!!
ぐおおおおおおおおおおおおおっ!!
と、ここでスパルトイリーダーから、
念話で連絡が来た。
だがこちらも緊迫感はない。
彼等自身が持つ不死の強みは勿論、
加えて、ダンが張り巡らした魔法障壁が、
しっかりと外敵の侵入を拒んでいるらしかった。
『ダン様』
『おう、どうした?』
『いきなりオーガの群れが押しかけて来まして』
『みたいだな』
『ダン様の魔法障壁は万全です。但し騒音がえらく迷惑かと……』
『だな!』
『我々、不死者も睡眠は、召される以外、唯一安息の時ですので、出来れば静かにして欲しいと……』
スパルトイ達は、普段良く仕えてくれている。
報いなくてはならない。
『了解、すぐ行く』
『申しわけありません』
ここで口を開いたのはスオメタルだ。
『マスター』
『おう!』
『翻訳致しましたら、オーガの怒りの原因は、人狼族らしいでございます』
『はあ? ヴィオラ達が、何かやらかしたか!』
『はい!』
『しょうがない。また転移魔法で送っちまうと、この前のしわざも俺だとバレるから……一旦、オーガどもを眠らせよう!』
『御意でございます』
ダンとスオメタルは起き上がり、鎧を羽織ると、
部屋を飛び出して行った。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
翌朝6時……
人狼女王ヴィオラは、実弟3人と、護衛役10人ほどを引き連れ現れた。
『勇者様! スオメタル様! おっはよ~ございま~す』
この時間は、朝食中のはずのダンとスオメタルが、珍しく起きていた。
障壁の境界線に立ち、ヴィオラへ対し、冷たい眼差しを投げかけ、
腕組みまでしている。
『こら、ヴィオラ! おっはよ~じゃ、ねぇ』
『何か、ありました? げっ!』
『見ろ、憶えがないとは言わせねぇぞ』
ダンが指さした辺りにはオーガの死骸が累々と……
否、ダンの魔法により、前後不覚に眠らされたオーガが積み重なっていた。
以前人狼族とオーガ族が対峙する際、ダンとスオメタルが見かけた群れの殆どが来ていたようである。
ヴィオラは、「ぶんぶん」首を横に振った。
『お、憶え? こんな猿もどきの気色悪い奴らの憶えなんて! あ、ありませんよ』
『真赤な嘘をつくな! 調べはついてる! お前がこいつらの巣の周りでおしっこしまくったのはバレてんだ』
『お、お、おしっこ? レ、レディに対して、し、失礼な』
『何がレディだ。じゃあ、言い直してやる。マーキングしまくりやがって』
ダンが「びしっ」と告げれば、ヴィオラは観念したらしい。
ちなみにマーキングとは、一般的には、しるしや標識を付ける事。
だが、ここでいうマーキングとは、動物が自分の縄張りなどを示す為にしるしを付ける事である。
分泌物を付ける、ふんや尿を残す、爪あとをつけるなどの方法があげられる。
そして人狼女王ヴィオラは示威行為の為、敵対関係にあるオーガの巣へマーキングしたのである。
『じ、実は宰相タバサ様が!』
『タバサ、あいつ、まだ宰相なんて言ってんのか! ……おいタバサすぐ来い! 来ないと葬送魔法で天へ速攻送ってやる!』
ダンの念話呼び出しから、凄まじい怒りの波動を感じ、タバサがすっ飛んで来た。
そしてヴィオラを指さし、叫ぶ。
『あ~、コイツちくったぁ!』
『い~え、タバサ様が、我ら人狼族のバックに勇者様が居るから、こいつらの巣へ思い切りマーキングしても、全然オッケーだって仰ったんですっ!』
『ほうほう、ヴィオラ、成る程。それで?』
『は~い、だから、いざとなればダン様が御出馬すると思い、憎きこいつらへざまあ! 言って、マックスレベルの、マーキングを行いましたぁ』
やはり……
裏でタバサが糸を引いていた。
ダンが『事件』の概要を説明する。
『ヴィオラ、俺を勝手にケツ持ちにしたのか?』
『は、はい。まあ、そういう事になります。でもタバサ様の許可を頂きまして』
『そんなこったろうと思った。自分の巣の周りで、えれぇ悪臭がするって、こいつら怒鳴り込んで来たんだよ。それも関係ない俺ん所へな』
『あ、悪臭!? レ、レディに対して、し、失礼な』
抗議するヴィオラ。
……だったが、これ以上ダンとスオメタルを怒らせると、
さすがにヤバイと感じたに違いない。
タバサが事態収拾にかかる。
『シャラップ人狼女子。えっと、ダン様、それで私にどうしろと?』
『簡単だ、タバサ。責任を取れ』
『責任? 美少女の私が責任取ってダン様と結婚しろって事ですかぁ? 仕方がないなあ』
『バカモノ! 違う! 全く違う!! お前に消臭の魔法を教えてやるから、ヴィオラと一緒に行って、掃除! クリーンにして来い。話はそれから』
『『え~!』』
しかしここで鶴のひと声。
スオメタルの怒りの波動が、タバサとヴィオラを襲う。
『グズグズしてると、タバサは速攻、天へ送るでございます! ヴィオラは永久出禁の刑!』
『い、いえっさ~! 消臭の魔法ご、ご教授願いま~す』
『りょ、了解! タバサ様と、大至急掃除行ってきま~す』
タバサとスオメタルは即座に、直立不動で敬礼したのであった。
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最後に、連載中である
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「絶縁した幼馴染! 追放された導き継ぐ者ディーノの不思議な冒険譚」
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