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第42話「元勇者のアルバイト」

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 翌日……

 一旦、勇者タウンの『魔境城』へ帰還。

 ゆっくり休養し、ダンとスオメタルは転移魔法で、王都郊外の廃城近くへ跳んだ。

 

 冒険者ルウとツェツィリアの容姿と出で立ちで別人へ擬態し、受諾した冒険者ギルドのわけあり案件『廃城のガーゴイル退治』を完遂する為だ。

 

 最近行った自宅のリフォーム、街造りの為、現金を使い過ぎた。

 今後の生活の為、少し現金を稼いでおかねばならない。

 いわゆるアルバイトである。

   

 あと10分ほど歩けば、まもなく廃城。

 ネリー曰はく、廃城は川のほとりに築かれており……

 丁寧にリフォーム工事をすれば、売り別荘としては最適のロケーションになるとの事。

 所有者たるキングスレー商会も、このまま不良債権にするわけにはいかないのだろう。

 

 もっと現場の最寄りまで、転移魔法で跳んでも良かったが……

 手前で『最終のすり合わせ』をし、探索調査へ臨もうというスオメタルの提案を、ダンがOKしたのだ。


 歩きながら交わすふたりの会話は当然、他人に聞こえない心と心の会話、

 念話である。


『マスター、私ガーゴイルとは戦った事がないでございます』


『ああ、俺もガーゴイル自体との戦闘経験はない。魔王軍のゴーレムならあるけどな』


 ガーゴイルとは……

 建築物等に取り付けられた石彫りの像である。

 人々が怖れを感じるような異形の姿をしている。

 創世神を信じない者に戒めを、または邪気を退散させる魔よけの為に作られた。

 

 用途としては、表向き排水溝という趣旨である。

 だが……

 様々な魔法を使って、仕掛けを施し魔道具化。

 守護者ガーディアンとして用いる者も居る。

 今回の依頼も、以前城に住んでいた者が魔道具として造ったものが、稼働しているに違いない。


『マスター。ガーゴイルは、上級レベルの術者により守護の言霊ことだまを刻まれた半永久可動の自動人形オートマタでございますね』


『だな!』


『ゴーレムと同じく、自我を持たず、命じられた事をそのまま遂行する疑似生命体だと考えて宜しいでございますね』


『ああ、それで問題ないだろ』


『御意でございます。石像のガーゴイルは疑似生命且つ痛みを感じる身体では無い為、怖れを知らず、通常攻撃や魔法も効きにくいと聞き及んでおります』


『まあ、な』


『ですが、マスターは既に魔王軍のゴーレムを1万体以上倒しております。ガーゴイルと能力差はあり、油断は禁物でございますが、基本問題はないと思われるでございます』


『だな! 石か岩で作られているガーゴイルなら、炎や冷気は効かないかもしれん。だがスオメタル直伝、遠当ての魔法でノープロブレムだ。まあ今後に向けて良い経験になるだろ』


『御意でございます。遠当ての魔法は魔力を変換し、物理攻撃出来る優れものでございます。ちなみにマスターの使う遠当ての魔法は勇者ブーストがかかっておりますゆえ、本気を出せば、通常の100倍以上の威力がございます』


『うん、この前使った時より、もっともっと破壊力はアップ出来るよ』


『はい、そうだと思っておりました。他にも雷撃など攻撃の手立てはありますゆえ、もし金属性のガーゴイルが出現しても大楽勝でございます』


『ああ、追放され、勇者専用武具を返却しても、勇者の能力は全く失われず、そのままなのはありがたいや』


『はい、世間一般の方々は勘違いされております。特別な武器を使用したり、防具を装着しても、真の勇者になれるわけではございませぬ』


『まあ武具よりも、あくまで中身……だものなあ』


『御意でございます。勇者武具は外観こそ派手でございますが、見た目ほど使えない場合が多いでございます』


『だよなあ……だから返却しても全然惜しくなかった。ジャンク屋魂にも全然響かなかったよ』


『ご尤もでございます。さあ、スオメタルもフォロー致しますゆえ、今回の案件も軽くクリアするでございます』


 そんな会話をしながら、森を抜け、川のほとりに。

 ふたりは廃城前へ到着した。


 見やれば、全て石造りの外観はダンの自宅同様、純粋な城と言うより、

 砦に近い、城砦である。


 だが放棄されて100年経ち、城自体も、周囲にめぐらせた石壁も古び、

 完全に崩れ落ちていた。

 依頼主のキングスレー商会は、この古城を取り壊し、別荘か何かにするのだろう。

 

『よし、行くか!』


『レッツラゴー! いざ、バイト完遂! 生活費補填! 金貨800枚ゲット! でございます』


 顔を見合わせ、頷いたふたりは、古城へとつ、にゅうしたのである。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 軽く飛翔し、楽々と石壁を乗り越えたふたりは城内へ入った。

 『自宅』と同じ仕様で建てられたのか……

 ぼうぼうと雑草が生え、石畳が劣化したという趣きの中庭が一面に広がり、

 最奥には塔を備えた本館が見える。


 これならば、勝手が分かりやすい。

 自宅を散歩しているようなもの?

 ダンとスオメタルは再び顔を見合わせ、笑う。

 

 改めて周囲を見やれば……

 「動き出す」といわれているガーゴイルが屋根は勿論、庭のあちこちに鎮座していた。


『こいつらか。元々は魔よけを兼ねた雨どいとして造られたというが、悪魔とか、トカゲとか、蛇とかいろいろなモノがあるな。うむむ、結構シュールで良くないか?』


『はあ? マスターは、いきなり何を言うでございますか?』


『いやぁ、ギルドから許可が出てるしさ。こいつら何個か持ち帰ってウチの屋根や軒先に飾るか?』


『即、却下! さすがに御意とは言えませぬ! 絶対に駄目でございます! こんな趣味の悪い置物は断固拒否でございます。マスターのジャンク趣味を悪くするだけでございますよっ!』


 スオメタルは腕組みをし、ジト目でダンを凝視する。

 さすがのダンも、その迫力には気圧されてしまう。 


『わ、分かった! 持ち帰るのは諦める』


『当然でございます!』 


 そんな会話を交わしながら、ふたりが中庭を歩いていると、魔力を感知して動き出したのか、お約束とばかりに、ガーゴイルが動き出した。

 当然、ダンとスオメタルへ襲いかかって来る。


『早速、俺達に反応かい? ほいよっ!』

『完全破壊! でございます!』


 どっご~ん!

 どっご~ん!


 ダンとスオメタルは容赦なく、『遠当ての魔法』を発動した。

 体内魔力を練り、不可視の固い塊を作って、目標物に当てる魔法なのだが、相当な破壊力だ。

 

 並みの冒険者達が難儀したわけあり案件『動く石像』も、元勇者の前では形無しである。

 先日、人狼アルパッドの前で、石灰岩を破壊したのと全く同じ結果であった。

 向かって来るガーゴイル達は、粉々に砕け散る。


 ダンとスオメタルは、念の為、その場でしばし待った。

 しかし、粉々になった石像の残骸はそのまま……

 全く何も起こらなかった。

 どうやら、スパルトイ達のような復元能力は、ガーゴイルには備わっていないようだ。

 

『よし、さっさと終わらせて、王都へ行き、ギルドへ報告、それで今回のバイトは完遂だ』


『はい! 再びレッツラゴー! で、ございますっ!』


 ダンとスオメタルは残りのガーゴイルを片付けるべく……

 周囲を見回しながら本館へ向かい、歩き出したのである。

いつもご愛読頂きありがとうございます。


※当作品は皆様のご愛読と応援をモチベーションとして執筆しております。

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