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第39話「わけありと変わり身②」

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 冒険者ギルド王都支部職員、特別渉外担当のネリーから、

 いきなり『わけありクラン』と呼ばれたダンとスオメタル。

 

 ネリーに無理やり連れていかれ、そのまま業務カウンターに座らされた。

 話が、まるで見えない……

 

「あの~……わけありクランって……言えない事情ありとか、何か支障があるとか……すっごくネガティブイメージなんですけど、俺達ふたり、そう呼ばれているんですか?」


 と、ダンが顔をしかめて聞けば、スオメタルも不満げな表情を見せる。


「ホント、勘弁して欲しいでございます、そんなふたつ名」


 ふたりから問い質され、その上、凝視もされ……

 ネリーは思い切り視線を外した。

 目をそらしたまま、言い訳もする。


「あはは! ごめ~ん、ついさ、私の願望が口癖になって、そのまま広まっちゃった、てへ」


 願望が口癖?

 そのまま広まった?


 どうやらネリーが『犯人』らしいが、話はまだ見えて来ない。


「なんだ、ネリーさん! 貴女が犯人ですか。でも……どうして俺達が、《わけあり》なんですかね?」

「全く分からない、理解不能でございます」


「何言ってんの? 言葉通りよ。忘れたのぉ? 半年前に貴方達が完遂した依頼の中にあったじゃな~い」


 半年前に完遂した依頼?

 確か半年前といえば、魔王軍討伐の最中である。

 時間が空いた時に片手間でやったような気がするが……記憶が定かではない。


「半年前に俺達が完遂した依頼の中?」


「はて?」


 ふたりが全く失念しているので、ネリーはれて叫ぶ。


「ほらぁ! キングスレー商会のわけあり依頼! つまりおはらい案件よ!」


 ネリーの口から具体的な案件名が出て、ふたりはようやく思い出したらしい。


「ああ~」

「あれでございますかぁ」


「や~~っと、思い出したか!」


 キングスレー商会のわけありお祓い案件とは……

 ネリーが言う通り、半年前、ダンとスオメタルが完遂した依頼である。


 ……話の経緯はこうだ。


 王都郊外の廃棄された別荘を王都の大手商会キングスレーが購入した。

 立地はとても良い場所である。

 だが、『うわもの』がだいぶ老朽化していた。

 

 なので、一旦更地にし、新たにうわものを建て直し、

 新築別荘として売り出したい。


 だが大きな問題が残っていた。

 別荘に数多の亡霊が出るのだ。


 下見に行った商会の人間が何人も脅かされたり、体調不良になって、

 話は進まず、難儀していた。


 商会の会頭は困り果てた。

 まさか軍や騎士、衛兵に出動して貰うわけにはいかない。


 会頭は悩んだ末、冒険者ギルドに助けを求め、相談した。

 ギルドも『依頼』として受け入れた。

 別荘に亡霊を出現させないようにする。

 という条件で冒険者達に依頼を出したのである。


 報奨金は金貨100枚。

 結果、数多のクランもしくはソロ冒険者が依頼を受けたが……

 調査に入った商会の人間と同じ運命をたどった。


 脅かされたり、体調不良になって「すごすご」退散したのだ。

 

 物理的な武器や属性魔法は勿論、冒険者クランメンバーの行使する破邪の力、

 葬送魔法も、別荘の亡霊たちには、何故か効かなかった。

 かといって、葬送魔法が最も得意な創世神教会の神官司祭などに依頼したら。

 寄付金も加わり、軽く数千にも届く金貨を支払わねばならない。


 結局、誰も依頼を完遂する事が叶わず……

 比例して報奨金も2倍3倍と上がって行った……


 そしてこの話が偶然、「擬態してアルバイトをしていた」ダンとスオメタルの耳に入ったのである。


 依頼の内容を詳しく説明した上、

 恐る恐る受諾の可否を、ネリーが聞いたところ、意外にもあっさりOK。


 先述した通り……

 ダンは、鬼王女アンジェリーヌから散々墓守りのバイトをさせられた。

 ゾンビも亡霊も全く平気となっていた。

 また葬送魔法も大得意。

 並の術者よりはるかに破壊力抜群な魔法を使う。

 という事で、不死者アンデッド退治はお手の物である。

 

 そして悪魔と散々戦ったスオメタルも、当然ながら不死者や亡霊など怖くない。

 むしろホラー大好き少女であったから、逆に大歓迎なのである。 


「ああ、いいっすよ」

「楽勝でございます」


「ホントに? ホントに引き受けてくれるの? でも普通の葬送魔法が効かない強力な亡霊だよ」


「多分、大丈夫っしょ」

「ノープロブレムでございます」


 そんな感じで軽く依頼を引き受けたダンとスオメタルは、

 翌日の昼、飄々(ひょうひょう)として、報告に来たのだ。


「完遂したっす」

「終了でございます」


 心身とも全くノーダメージというふたりを見て、

 ネリーはポカンとしてしまった。


「は、はあ……本当に依頼完遂?」


「はあ……大丈夫ですよ」

「もうお化けは出ないでございます」


「で、でも! 万が一亡霊が再出現したら、倍の違約金が発生しますけど」


「もしも出たら、俺達が払いますって」

「倍返しでございますが、多分払う事はないでございますよ」 


 会話はある意味平行線。

 こうなったら、論より証拠。


 ダン達にその場で待って貰い、ネリーは早速キングスレー商会に連絡。

 商会も速攻で、別荘へ確認に向かった……


 結果、ダンの言う通り、亡霊の『ぼ』の字も出なかった。

 依頼は見事に完遂されていたのである。

 見事、ダンとスオメタルは、値上がりした報奨金の金貨500枚を受け取ったのである。


 こうして……

 ダンとスオメタルは、このような未解決の『わけあり依頼』なら、

 ピッタシ要員。

 

 つまりネリーが言いだし、ギルド職員間に隠語として浸透した

『わけありクラン』となったのである。


 しかし高難度のわけあり依頼は、完遂される事はなかった。

 何故なら、冒険者はダン達の裏の顔で臨時のアルバイト。

 

 あくまでも魔王討伐が最優先だから、鍛錬たんれんと実戦で、

 ギルドには殆ど顔を出せなかった。

 その上、別人に擬態していたから所在不明、行方も不明。


 その間、わけあり依頼の発注は増え続け……

 比例して、完遂不可能な『わけあり依頼』が溜まって行った……

 ネリーは上司のギルドマスターから毎日、「ねちねち」と責められていた。


 そのうち、一緒に責められていたギルドマスターがとうとうぶち切れる。

 ダンとスオメタル、つまりだルウ《仮名》とツェツィリア《仮名》の、

 『わけありクラン』を必ず探し出すようにと、ネリーへ厳命したのだ。


 その為ネリーは、ダンとスオメタルに微妙なふたつ名を公開して、

 探し回っていたという次第……


「わあああああああああああ~~ん! よ、良かったぁ~! ふたりとも! また引き受けてくれるよねぇ! 実はね! すんご~~い超厄介なのが、ひとつあるのよ~!」


 経緯説明が終わったネリーが、いきなり号泣。


「いや、あまり超厄介とか、時間がかかるのはパスしたい……楽な短期バイトが希望なんで……」


 あまりの迫力に、ヤバイ気配?を感じたダンが、思わずドン引きしたが……

 スオメタルは、ネリーの泣き顔を見て「気の毒だ」と感じたらしい。


「ルウ様、可哀そうでございます。引き受けてあげるのが宜しいかと思うでございます」


「そ、そうか、ツェツィリアがそう言うのなら、受けますよ、依頼」


「ホント? ホントにホント? やったぁ!! 祝!! わけありクランが、ギルド念願の、超わけあり依頼受諾決定!!」


 瞬間!

 

 ネリーの涙は速攻で止まっていた。

 否、既に目には一粒も無かった……

 完全に『嘘泣き』である。


「はあ……ネリーさん、すんごい変わり身の早さ」

「……つい彼女に同情して……大失敗でございます」


 ダンとスオメタルは顔を見合わせ……

 苦笑しながら頷いたのである。

いつもご愛読頂きありがとうございます。


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