第39話「わけありと変わり身②」
☆スクウェア・エニックス様の刊行雑誌、月刊「Gファンタジー」1月号が発売中です!
『魔法女子学園の助っ人教師』コミカライズ版最新話が掲載されております。
ぜひ読んでみてください。
東導 号 書籍化作品⛤『魔法女子学園の助っ人教師』
◎小説版《ホビージャパン様HJノベルス刊》
第1巻~7巻大好評発売中。
◎コミカライズ版《藤本桜先生作画》
スクウェア・エニックス様の雑誌月刊「Gファンタジー」に大好評連載中!
Gファンタジーコミックス
☆第4巻1/27発売予定! ※予約受付中です。ぜひご購入を!
第1巻~3巻大好評発売中!
※第1巻、第3巻は『重版』
☆書籍小説版、コミカライズ版ともども、書店様、通販サイト様でぜひお取り寄せください。
何卒宜しくお願い致します。
冒険者ギルド王都支部職員、特別渉外担当のネリーから、
いきなり『わけありクラン』と呼ばれたダンとスオメタル。
ネリーに無理やり連れていかれ、そのまま業務カウンターに座らされた。
話が、まるで見えない……
「あの~……わけありクランって……言えない事情ありとか、何か支障があるとか……すっごくネガティブイメージなんですけど、俺達ふたり、そう呼ばれているんですか?」
と、ダンが顔をしかめて聞けば、スオメタルも不満げな表情を見せる。
「ホント、勘弁して欲しいでございます、そんなふたつ名」
ふたりから問い質され、その上、凝視もされ……
ネリーは思い切り視線を外した。
目をそらしたまま、言い訳もする。
「あはは! ごめ~ん、ついさ、私の願望が口癖になって、そのまま広まっちゃった、てへ」
願望が口癖?
そのまま広まった?
どうやらネリーが『犯人』らしいが、話はまだ見えて来ない。
「なんだ、ネリーさん! 貴女が犯人ですか。でも……どうして俺達が、《わけあり》なんですかね?」
「全く分からない、理解不能でございます」
「何言ってんの? 言葉通りよ。忘れたのぉ? 半年前に貴方達が完遂した依頼の中にあったじゃな~い」
半年前に完遂した依頼?
確か半年前といえば、魔王軍討伐の最中である。
時間が空いた時に片手間でやったような気がするが……記憶が定かではない。
「半年前に俺達が完遂した依頼の中?」
「はて?」
ふたりが全く失念しているので、ネリーは焦れて叫ぶ。
「ほらぁ! キングスレー商会のわけあり依頼! つまりお祓い案件よ!」
ネリーの口から具体的な案件名が出て、ふたりはようやく思い出したらしい。
「ああ~」
「あれでございますかぁ」
「や~~っと、思い出したか!」
キングスレー商会のわけありお祓い案件とは……
ネリーが言う通り、半年前、ダンとスオメタルが完遂した依頼である。
……話の経緯はこうだ。
王都郊外の廃棄された別荘を王都の大手商会キングスレーが購入した。
立地はとても良い場所である。
だが、『うわもの』がだいぶ老朽化していた。
なので、一旦更地にし、新たにうわものを建て直し、
新築別荘として売り出したい。
だが大きな問題が残っていた。
別荘に数多の亡霊が出るのだ。
下見に行った商会の人間が何人も脅かされたり、体調不良になって、
話は進まず、難儀していた。
商会の会頭は困り果てた。
まさか軍や騎士、衛兵に出動して貰うわけにはいかない。
会頭は悩んだ末、冒険者ギルドに助けを求め、相談した。
ギルドも『依頼』として受け入れた。
別荘に亡霊を出現させないようにする。
という条件で冒険者達に依頼を出したのである。
報奨金は金貨100枚。
結果、数多のクランもしくはソロ冒険者が依頼を受けたが……
調査に入った商会の人間と同じ運命をたどった。
脅かされたり、体調不良になって「すごすご」退散したのだ。
物理的な武器や属性魔法は勿論、冒険者クランメンバーの行使する破邪の力、
葬送魔法も、別荘の亡霊たちには、何故か効かなかった。
かといって、葬送魔法が最も得意な創世神教会の神官司祭などに依頼したら。
寄付金も加わり、軽く数千にも届く金貨を支払わねばならない。
結局、誰も依頼を完遂する事が叶わず……
比例して報奨金も2倍3倍と上がって行った……
そしてこの話が偶然、「擬態してアルバイトをしていた」ダンとスオメタルの耳に入ったのである。
依頼の内容を詳しく説明した上、
恐る恐る受諾の可否を、ネリーが聞いたところ、意外にもあっさりOK。
先述した通り……
ダンは、鬼王女アンジェリーヌから散々墓守りのバイトをさせられた。
ゾンビも亡霊も全く平気となっていた。
また葬送魔法も大得意。
並の術者よりはるかに破壊力抜群な魔法を使う。
という事で、不死者退治はお手の物である。
そして悪魔と散々戦ったスオメタルも、当然ながら不死者や亡霊など怖くない。
むしろホラー大好き少女であったから、逆に大歓迎なのである。
「ああ、いいっすよ」
「楽勝でございます」
「ホントに? ホントに引き受けてくれるの? でも普通の葬送魔法が効かない強力な亡霊だよ」
「多分、大丈夫っしょ」
「ノープロブレムでございます」
そんな感じで軽く依頼を引き受けたダンとスオメタルは、
翌日の昼、飄々として、報告に来たのだ。
「完遂したっす」
「終了でございます」
心身とも全くノーダメージというふたりを見て、
ネリーはポカンとしてしまった。
「は、はあ……本当に依頼完遂?」
「はあ……大丈夫ですよ」
「もうお化けは出ないでございます」
「で、でも! 万が一亡霊が再出現したら、倍の違約金が発生しますけど」
「もしも出たら、俺達が払いますって」
「倍返しでございますが、多分払う事はないでございますよ」
会話はある意味平行線。
こうなったら、論より証拠。
ダン達にその場で待って貰い、ネリーは早速キングスレー商会に連絡。
商会も速攻で、別荘へ確認に向かった……
結果、ダンの言う通り、亡霊の『ぼ』の字も出なかった。
依頼は見事に完遂されていたのである。
見事、ダンとスオメタルは、値上がりした報奨金の金貨500枚を受け取ったのである。
こうして……
ダンとスオメタルは、このような未解決の『わけあり依頼』なら、
ピッタシ要員。
つまりネリーが言いだし、ギルド職員間に隠語として浸透した
『わけありクラン』となったのである。
しかし高難度のわけあり依頼は、完遂される事はなかった。
何故なら、冒険者はダン達の裏の顔で臨時のアルバイト。
あくまでも魔王討伐が最優先だから、鍛錬と実戦で、
ギルドには殆ど顔を出せなかった。
その上、別人に擬態していたから所在不明、行方も不明。
その間、わけあり依頼の発注は増え続け……
比例して、完遂不可能な『わけあり依頼』が溜まって行った……
ネリーは上司のギルドマスターから毎日、「ねちねち」と責められていた。
そのうち、一緒に責められていたギルドマスターがとうとうぶち切れる。
ダンとスオメタル、つまりだルウ《仮名》とツェツィリア《仮名》の、
『わけありクラン』を必ず探し出すようにと、ネリーへ厳命したのだ。
その為ネリーは、ダンとスオメタルに微妙なふたつ名を公開して、
探し回っていたという次第……
「わあああああああああああ~~ん! よ、良かったぁ~! ふたりとも! また引き受けてくれるよねぇ! 実はね! すんご~~い超厄介なのが、ひとつあるのよ~!」
経緯説明が終わったネリーが、いきなり号泣。
「いや、あまり超厄介とか、時間がかかるのはパスしたい……楽な短期バイトが希望なんで……」
あまりの迫力に、ヤバイ気配?を感じたダンが、思わずドン引きしたが……
スオメタルは、ネリーの泣き顔を見て「気の毒だ」と感じたらしい。
「ルウ様、可哀そうでございます。引き受けてあげるのが宜しいかと思うでございます」
「そ、そうか、ツェツィリアがそう言うのなら、受けますよ、依頼」
「ホント? ホントにホント? やったぁ!! 祝!! わけありクランが、ギルド念願の、超わけあり依頼受諾決定!!」
瞬間!
ネリーの涙は速攻で止まっていた。
否、既に目には一粒も無かった……
完全に『嘘泣き』である。
「はあ……ネリーさん、すんごい変わり身の早さ」
「……つい彼女に同情して……大失敗でございます」
ダンとスオメタルは顔を見合わせ……
苦笑しながら頷いたのである。
いつもご愛読頂きありがとうございます。
※当作品は皆様のご愛読と応援をモチベーションとして執筆しております。
宜しければ、下方にあるブックマーク及び、
☆☆☆☆☆による応援をお願い致します。
東導号の各作品を宜しくお願い致します。
⛤『魔法女子学園の助っ人教師』
◎小説版第1巻~7巻
(ホビージャパン様HJノベルス)
大好評発売中!
◎コミカライズ版コミックス
(スクウェア・エニックス様Gファンタジーコミックス)
☆第4巻発売決定! 2021年1月27日発売予定! ※予約受付中! 何卒宜しくお願い致します。
第1巻、第3巻重版!
※月刊Gファンタジー大好評連載中《作画;藤本桜先生》
12月18日発売の月刊Gファンタジー1月号に『最新話』が掲載されております。
一見超ドライですが、本当は優しいルウ、可憐なヒロイン達の新たな魅力をどうぞお楽しみください。
また「Gファンタジー」公式HP内には特設サイトもあります。
コミカライズ版第1話の試し読みも出来ます。
WEB版、小説書籍版と共に、存分に『魔法女子』の世界をお楽しみくださいませ。
マンガアプリ「マンガUP!」様でもコミカライズ版が好評連載中です。
毎週月曜日更新予定です。
お持ちのスマホでお気軽に読めますのでいかがでしょう。
最後に、連載中である
「帰る故郷はスローライフな異世界!レベル99のふるさと勇者」《連載再開しました!》
「絶縁した幼馴染! 追放された導き継ぐ者ディーノの不思議な冒険譚」
も何卒宜しくお願い致します。




