表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

32/60

第32話「生き抜く知恵を」

☆スクウェア・エニックス様の刊行雑誌、月刊「Gファンタジー」1月号が発売中です!

『魔法女子学園の助っ人教師』コミカライズ版最新話が掲載されております。

ぜひ読んでみてください。


東導 号 書籍化作品⛤『魔法女子学園の助っ人教師』

◎小説版《ホビージャパン様HJノベルス刊》

第1巻~7巻大好評発売中。


◎コミカライズ版《藤本桜先生作画》

スクウェア・エニックス様の雑誌月刊「Gファンタジー」に大好評連載中!

Gファンタジーコミックス

☆第4巻1/27発売予定! ※予約受付中です。ぜひご購入を!

第1巻~3巻大好評発売中!

※第1巻、第3巻は『重版』


☆書籍小説版、コミカライズ版ともども、書店様、通販サイト様でぜひお取り寄せください。

何卒宜しくお願い致します。

 大が付くリフォームが済んだ城……

 小さな街のように生まれ変わった周辺。

 そんな新居で迎えるふたりの朝……


「おはよう」


「おはようございます、マスター」


 起床したダンとスオメタルは「始まり」のキスをした。

 多分夜には……

 「終わり」のキスをするだろう。


 昨夜は最初から一緒に寝て、今朝一緒に起きた。

 ずっとしっかり抱き合って眠っていた。

 お互いに身をゆだね、ホッとする時間を共有していた。


 これからふたりは、こうして寄り添い生きて行くに違いない。


「マスター、今日はどうするでございますか?」


「うん、今日も忙しいぞ。朝飯食べたら、スパルトイ達と畑のチェック。きりの良いタイミングで作業を任せて、俺達はランチの鱒料理の仕込み」


「お~! ランチは鱒の料理でございますか」


「おお、ランチだけじゃない。同じく鱒を使った保存食、燻製くんせいづくり諸々をやる。その後ランチを作って、午後も予定がてんこ盛りだ」


「わお! 超忙しそうですけど、面白そうでございますっ!」


「うん、面白いと思うぞ! スオメタルにもいろいろ手順を教えるから」


「わお! スオメタルは頑張って覚えるでございます。……でも」


「でも?」


「理解はしているでございますが……マスターや私が力を失い難儀する可能性は限りなく低いでございます」


 表向き、救世の勇者は引退し、辺境の地へ引っ込んだ。

 しかしダンの能力は全く失われてはいない。

 否、しがらみから解き放たれ、自由を得て……

 今までよりのびのびと思う存分、力が出せるといえよう。

 

 そしてスオメタルも、ダンに完全にレストアされ、

 否、ビルドアップされ、想い人ダンに勝るとも劣らない力を有している。

 

 スオメタルが言う通り、ふたりが全くの無力になるなど考えにくい。

 

 当然ダンも同意する。


「まあな」


 こうなると、スオメタルはダンの真意を知りたくなる。

 そしてただ尋ねるだけでなく、進言もしたくなる。


「それなのに何故、アナログでレトロなやり方を習得するのに時間をかけるのか……時間はけして無限ではなく、ごくごく限られておりますゆえ、もっと有効に使った方が宜しいかと」


「ははは、尤もな疑問と提案だ」


「はい! 例えばですが、マスターが所有する収納の腕輪は、収納すれば次元の違う内部の時間は進まない。食料は傷まない、破壊されない。それゆえ保存食は一切不要という、明確な答えが導き出されるプロセスでございます」


「うん、スオメタルの意見は確かに正論だな。じゃあ、教えようか、答えはふたつある」


「おお、答えはふたつでございますか?」


「ああ、ひとつは俺達が力を失う可能性がゼロではない事、そして使っている魔道具が使用不能になる可能性も同じく全くのゼロではない事だ」


「ふむふむ、すなわち魔法やスキルを失う……魔道具が使用不能となる。つまり現在有するアドバンテージを全く失う事でございますね、納得したでございます」


「うん! もうひとつは俺とスオメタルの子供の為だ」


 ダンがきっぱりと言い切れば、スオメタルは面白いくらいに動揺する。

 顔がトマトのように赤くなる。


「はああっ!? わわわわわ、私とぉ! マ、マスターのぉ! こ、こ、こ、子供の為ぇ!!」


「おいおい、すっげぇ噛んでるぞ」


「うう、マスターがいきなりびっくりさせる事言うでございますから、いけないのでございますよぉ」


「落ち着いて聞いてくれるか?」


「は、はい……す~は~……だ、大丈夫、お、落ち着いたでございます」


「よし、じゃあ話すぞ。想像して欲しい。俺とスオメタルの子に力がない場合、魔法やスキルが使えない場合、魔道具が壊れて使えない場合……」


「ふむふむ……とりあえず想像したでございます」


「つまりだな、場末のジャンク屋だった元の俺みたいに、常人でも幸せに生き抜いて貰う為、アナログでレトロなやり方を習得するのさ」


「私達の子に……力がない場合、魔法やスキルが使えない場合、魔道具が壊れて使えない場合、常人でも幸せに生き抜いて貰う為、アナログでレトロなやり方を習得する……」


「ああ、そうさ! とび抜けた魔法やスキル能力がない普通の人間として生まれた場合、生き抜く知恵を身につけさせるんだ」


「普通の子には生き抜く知恵を……私やマスターは普通ではない……という事でございますね。……それは確かに納得でございます」


「おう! だからまず俺達が生き抜く知恵を万全に習得し、使いこなせないと、我が子へは、生き抜く知恵がちゃんと教授出来ない、話にならないだろ?」


 ダンの説明はとても分かりやすい。

 スオメタルも全くの同意である。

 

 ふたりの間に生まれた愛する子供が、もしも飛び抜けた力がないのであれば、常人として一人前になるまで守るのが両親たるダンとスオメタルの務めである。

 当然、我が子へいろいろな事を、生き抜く知恵を伝え、教えなくてはいけない。

 その為には、強さや魔法以外のスキルを自身が習得する事も必須なのだ。


「おお! とてもとても納得でございます! さすがはマスターです! 先の事を! 私達の未来を、起こりうる可能性を考えての深謀遠慮でございますねっ!」


「そうさ! お前の言う通り、先々の為の深謀遠慮だ」


「御意でございます」


「うん! 頑張ろうぜ、スオメタル、俺達の幸せと未来の為に! 生まれて来る子供達の幸せと未来の為に! お前の本当の身体も、なる早やで絶対に探し出してやるぜ!」


「はいっ、マスター!」


 朝一番で、絆を深め合ったダンとスオメタルは……

 改めて『おはよう』のキスをしたのである。

いつもご愛読頂きありがとうございます。


※当作品は皆様のご愛読と応援をモチベーションとして執筆しております。

宜しければ、下方にあるブックマーク及び、

☆☆☆☆☆による応援をお願い致します。


東導号の各作品を宜しくお願い致します。


⛤『魔法女子学園の助っ人教師』

◎小説版第1巻~7巻

(ホビージャパン様HJノベルス)

大好評発売中!


◎コミカライズ版コミックス

(スクウェア・エニックス様Gファンタジーコミックス)

☆第4巻発売決定! 2021年1月27日発売予定! ※予約受付中! 何卒宜しくお願い致します。

第1巻、第3巻重版!

※月刊Gファンタジー大好評連載中《作画;藤本桜先生》

12月18日発売の月刊Gファンタジー1月号に『最新話』が掲載されております。

一見超ドライですが、本当は優しいルウ、可憐なヒロイン達の新たな魅力をどうぞお楽しみください。


また「Gファンタジー」公式HP内には特設サイトもあります。

コミカライズ版第1話の試し読みも出来ます。

WEB版、小説書籍版と共に、存分に『魔法女子』の世界をお楽しみくださいませ。


マンガアプリ「マンガUP!」様でもコミカライズ版が好評連載中です。

毎週月曜日更新予定です。

お持ちのスマホでお気軽に読めますのでいかがでしょう。


最後に、連載中である

「帰る故郷はスローライフな異世界!レベル99のふるさと勇者」《連載再開しました!》

「絶縁した幼馴染! 追放された導き継ぐ者ディーノの不思議な冒険譚」


も何卒宜しくお願い致します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ