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第27話「SOS!!」

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 ダンとスオメタルから破壊力抜群な古代魔法『遠当て』を見せつけられ……

 ふたりを尾行して来た人狼は、完全に戦意を失ってしまった。


 脱力し、項垂うなだれる人狼……


 汚名返上、名誉回復の使命を……

 兄者達とやらから一方的に押し付けられたこの人狼は……

 ダンを倒せなかった不手際を、『巣』へ帰還したら、

 酷く叱責されるのではないか……

 

 そう考えたダンは、この『末っ子人狼』がほんの少しだけだが、

 哀れになり、フォローする事にした。

 だからと言って、自ら人狼族の奴隷になるとか、

 全面的に降伏するわけではない。


 まずは束縛の魔法を解いてやった。

 苦痛を訴え、呻きながら、人狼は何とか起き上がる。


『おい、お前にこれをやる。全部で20尾ある』


 ダンがそう言って、収納の腕輪から取り出したのは、

 先ほどスオメタルと一緒に、湖で釣った『鱒』である。

 

 この鱒は体全体が茶褐色。

 型も良く、全て40cm近くある。

 朱点がやたら多い丸々太った美味しそうな鱒であった。


 ダンが使う収納の腕輪は、空間魔法の応用で亜空間につないである。

 亜空間では時間が経過しない。

 なので、鱒は新鮮なままである。

 そして人狼が運搬出来るように、植物を編んで作った『かご』も取り出した。


 ダンの行為を見て、スオメタルが不満そうな表情を見せた。


『マスター、いけませぬ! それはさっき、マスターと私が湖で釣った新鮮な鱒でございますよ。こんなストーカーの最低野郎にくれてやるのは、勿体ないでございます』


『いやいや、ノープロブレム! スオメタル、また釣れば良いさ。場所ポイントは分かってるし』


『は、はい……マスターがそう仰るのなら、了解でございます』


 仕方なくという感じで了解はしたが…… 

 まだ怒りが収まらず口を尖らせるスオメタル。

 

 苦笑したダンは、人狼へ向き直る。

 

『ひとつ聞きたい事がある。教えてくれ』


『な、何だ?』


『俺は以前、ある冒険者から、北の狼族はサケを好んで食べると聞いた事がある。お前達、魔境に住まう人狼はこの鱒を食えるのか?』


 ダンの問いに対し、人狼はおずおずと頷いた。


『あ、ああ、お前が言う通り、この鱒は相当なご馳走だ。滅多に食べられない……』


『ならば、丁度良い。お前が人化し、このかごに入れて持って帰れ。お前の兄達へ、人間の俺とスオメタルからの友好のあかし……だと伝えてくれ』


『人間から友好の証? ま、まさか!? ホントか? この鱒を、く、くれるのか!』


 ダンの厚意を聞き、人狼は驚いたようだ。


『ああ、本当だ。持って帰れ! 俺は少し前までいくさの中に居た。戦いに明け暮れていた』


『え? お前が? 戦の中に?』


『ああ、やむにやまれぬ理由があったにせよ、憎しみ合い、殺し合う戦は虚しい。だから余計な争い事の原因をわざわざ作ろうと、俺は思わん。魔族とだって、仲良く出来るなら、仲良くしたい』


 ダンがそう言うと、人狼は何かを思い出したようにハッとする。


『お、おい! 人間! そ、そういえば! お、お前の名を聞いてなかった! ぜ、ぜひ聞かせてくれ!』


『OK! 俺の名はダン、ダン・シリウス。彼女の名はスオメタルだ。そういうお前は?』


『お、お、俺の名は……アルパッドだ! 人狼族の第三王子だ! ま、待てよ!? ダンにスオメタルか……どこかで聞いたような気が……ま!? まさかぁっ!!』


 人狼――アルパッドがダン達の名に驚いたその時!


 おおおおおおおおおおお~~んん!!

 おおおおおおおおおおお~~んん!!


 振り絞るような声で、狼の咆哮が、二度聞こえた。


 わおおおおおおおおん!

 わおおおおおおおおん!


 対して、アルパッドも応えるように、すぐ二回咆哮した。

 そして慌てふためいた表情で、


『ヤバイ! て! 敵襲だ! ダ、ダン、スオメタル! ま、また会おう! あ、改めて話そうぜ~!』


 二回轟いた咆哮は人狼達の巣から発せられた『SOS』の合図らしかった。

 

 アルパッドは、ひと時の別れを告げると……

 凄まじい速度で走り去ってしまった。

 ……鱒を受け取る事は失念したらしい。


 スオメタルは苦笑し、大きくため息を吐く。


『ふう、という事になりましたが……どうします、マスター。……このまま帰りますでございますか』


『う~ん……あいつ、アルパッドの奴は、俺達とまた会おうって言ってたよな?』


『はい、マスター、御意でございます』


『う~ん、仕方ねぇ、あいつの言葉通りにするかぁ』


『宜しいかと思います。その前にやる事がございますよね?』


『ああ、ささっとやっちまおう』


『はい、まずは鱒を一旦仕舞う。そして転移魔法を……発動するでございます』


『了解! 鱒をまた腕輪へ戻し、アレを障壁のすぐ外へ送っちまおう』


『うふふ、さすが、マスターでございます。私の意図をすぐ察して頂き、嬉しいでございます』


『あはは、速攻で分かったよ』


 ふたりが笑って指さしたのは、先ほど遠当ての魔法で砕いた大岩である。

 白い大岩は……石灰岩だったのだ。

 石灰岩から、石灰を作れば先日話に出た土壌改良剤のとなる。

 

 スオメタルは石灰岩を見て、今後必要な石灰を得る事を、瞬時に思い付いた。

 それにダンも追随したのだ。


『あれを……石灰岩を精製すれば……石灰になるでございますよね』


『うん、俺も作った事はないが、俺達のモットーは、トライアンドエラー。どんどん挑戦してみようぜ。それに石灰は漆喰の原料にもなるしな』 


 ダンはそう言うと、ピンと指を鳴らした。

 すると!

 まず出していた鱒が消えた。

 収納の腕輪へ一旦、戻したのである。


 更にダンは指を鳴らす。

 今度は、砕かれた大岩が一瞬で消え失せた。

 

 重ねて数回鳴らすと、大岩の残骸は全て消え失せた。

 城の傍へ送られたのである。


 こうして、作業は完了した。


『よし、行こう! あいつを追うぞ!』


『レッツラゴーでございます。少し速度をあげればすぐ追いつくです。但し追い越し注意……でございます』


『了解!』 


 ダンとスオメタルは「ぶわっ」と急上昇。

 30mほど上がると、そのまま空中で静止する。

 飛翔魔法で、アルパッドを追おうというのだ。


『マスター、アルパッドから発せられる魔力の気配をたどり、追尾するでございます』


『了解!』


 やはりダンとスオメタルの息はツーと言えばカー。

 「ぴたり」と合っている。

 

 びゅん!

 凄まじい風を切る音が起こった。


 と、同時にダンとスオメタルの姿は、かき消すようになくなっていたのである。

いつもご愛読頂きありがとうございます。


※当作品は皆様のご愛読と応援をモチベーションとして執筆しております。

宜しければ、下方にあるブックマーク及び、

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