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第14話「またまた! ど~して?」

 翌朝……

 ここは国王リシャールから譲られて『ダンの自宅』となった、魔境付近に在る廃城である。

 巣食っていた元魔王軍らしいノーライフキング一体と、数多の亡霊達を天へ還したダン、スオメタルではあったが……

 何故か「成仏」せず残っていた不思議ちゃんの亡霊メイド少女タバサ、

 そして復活した不死者アンデッド、スパルトイ軍団を従える結果となってしまった。


 その後、とりあえず城の中で、一夜を過ごしたダンとスオメタルは……

 大いに首を傾げていた。


『ううむ。またまたど~して……こうなったかな? 俺とスオメタルのふたりで、のんびり暮らそうと思っていたのに』


『いろいろ原因はあると思いますが……やはりマスターと私の判断によるところが大きいでございますね』


 歴史は繰り返される。

 というか……

 ダンとスオメタルは全く同じやり取りを繰り返していた。


 今ダンとスオメタルのふたりは、外のベンチに腰掛けている。


 ベンチに座った、ダンとスオメタルの視線の先には、

 雑草がぼうぼう生い茂り、荒れ果てていた畑が、綺麗に整地されており……

 結構な数の者が忙しそうに立ち働いていた。


 しかし違和感がある。

 立ち働いているのは人間ではなかった。


 何と!

 骸骨である。

 そう、付き従った不死身のスパルトイ達50体余りがまめまめしく畑仕事をしているのだ。

 

 立ち働くスパルトイ達は、意外にも!

 畑仕事に手慣れていた。


 彼等の前世は半農半士だったらしい。

 

 ちなみに半農半士とは……通常は農村等に居住、農林業に励み、

 緊急時には出動体制をとる戦士の事だ。

 なので、戦うだけではなく、いろいろ生活に密着した優れた技術を持っているらしいのだ。

 知識も豊富らしく、ダンとスオメタルは嬉しい誤算というか、良き配下を得た事となった。

 

 それにしても骸骨の農夫とは……

 他者が見たら「何という、シュールな光景だ」と言われそうではある。


 やがて、その内のひとりがぎくしゃくしながらも、

 素早い動きでダンとスオメタルの下へ歩み寄って来た。

 

 このスパルトイが恭順の意思を示した、

 彼等のまとめ役『スパルトイリーダー』である。

 

 ダンへ向かい、「びっ!」と敬礼をする。


『ダン様、城内の清掃と片付けが終了。その後の畑の草むしりと整地、そろそろ終わります』


『おいおい、良く働くなあ……城内の掃除と片付けは俺達でやると言ったのに……ありがとう。そしてごくろ~さん、じゃあ休んで良いよ』


『いえ、我々スパルトイは疲れないので休みは不要です。 何か仕事を申し付けてください』


 と、そこへ……

 黒ゴスロリメイド服姿の亡霊少女がひとり、「びゅっ」と飛んで来た。


 亡霊少女はダンとスオメタルが座るベンチの背後に浮かんでいる。

 こちらは……

 ほぼ無理やりついて来たタバサであった。


『ね~ね~、ダーン様ぁ。城でまったりするのも飽きちゃったぁ。ノーライフキングが持ってた魔導書読むのも昼寝するのもぜ~んぶ飽きちゃったよぉ~~、何とかして~! 暇だったら相手してよ、ね~~!』


 超が付く怠惰なセリフにむかついたのか……

 スパルトイリーダーが「がちゃっ」と骨を鳴らし、

 タバサを威嚇する。


『こら!』


『わう、びっくりした、いきなり脅かさないでよぉ、骨吉ぃ!』


『何が骨吉だ! 無礼者!』


 スパルトイリーダーはタバサを睨むと、ダンとスオメタルに向き直る。


『ダン様、スオメタル様、こ~いう役立たずの怠惰な性悪ゴーストは我々の敵です。すぐに解雇すべきだと思います』


 対して、タバサも負けていない。


『何だとぉ、肉体労働しか能がない骨野郎。あ、笑っちゃう~。骨だけでぇ、肝心の肉体がね~でやんの』


『黙れ、クソ怠け者!』


『うるせ~、馬鹿ワーカホリック!』


 骸骨と亡霊の、不毛な争いが激化して来た。

 なのでダンとスオメタルはふたりを分断する。


 ダンはスパルトイリーダーへ告げる。


『ほらほら君達は、そこの空き地でストレス発散に武道訓練でもして来なさい』


『了解致しました、ダン様』


 そしてスオメタルはタバサをなだめる。


『タバサには今夜、魔法を教授するでございます。だから予習として、与えた部屋で魔導書じっくり読むでございます』


『ホント? イエッサーです、スオメタル様』


 結果、スパルトイリーダーは仲間達と荒れ地の整地を始めた。

 一方、タバサの姿はあっという間に消えていた。

 自分の部屋へ戻ったらしい。


『困ったもんだ』

『でも居候達も、適性と立ち位置が見えて来たでございますよ』


『だな! まあ俺とスオメタルのふたりだけだったから、城の住人が増えたと思えば良いか』

『御意でございます』


『という事で、朝メシにしようか。昨日、王都で買った弁当が収納腕輪に入れてある』

『御意でございま~す』


 ダンとスオメタルは顔を見合わせ、苦笑すると……

 仲睦まじく、城へ歩いて行った。

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