第四話
気が付けば俺は、あの日から電話が鳴るのを待っていたのかも知れない…
その証拠にあの子と出合った日、俺は彼女に別れを告げた…自分の気持ちに嘘はつきたくなかったし、二人を愛せる器用さもなかった。
いつものようにバンド仲間の一人と部屋でダラダラしてると、普段は鳴らない電話がなった…
期待もしないで電話に出たが、受話器の向こう側から聞こえる声は意外にもあの子だった。
俺は大して喜びもせず、動揺もせず、要ったって普通に…むしろ冷静に次の日に会う約束をした。
翌日、俺は待ち合わせ場所の駅に行った。
ちょっと前には夕方に電車に乗り、いつもの最終電車で帰ってくる…それだけの駅だった気がするが、あの日以来、俺にとって特別な場所になった…
この駅の裏側には有名な城跡がある、この日二人は何をする訳でもなく、くだらない話をしながら城跡を見学したり、近くの公園で時間を潰したりした。
結局、最後まで名前で呼び合う事はなく…
お互いに
「君」と 呼び合う…ただ、それだけった。
別れ際に…
「バンドって楽しい?」って聞かれた。
俺は…
「急になんだよ?」
って聞き返した。
すげぇ長い、沈黙の後に彼女は話出した。
「私の片思いは実らないの…私はただの都合の良い女だって解ってるし…でも好きだから…」
「無理だって解ってるよ…でも…近付きたいよ、彼に追いつきたいよ!
私に出来そうな事って音楽しかないよ!」
…正直、何もしてあげられないと思った…
音楽も好きだし、バンドもやってたけど、音楽性が遠すぎた。
俺はバカなパンクを愛していたのに対して彼女は当時流行っていた奥田民生やスピッツが好きだからだ。
俺は…
「バンドやってみれば?」
それしか言えなかった。




