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第三話

高校を卒業してから初めての夏を迎えた。




この夏、俺は運命の出会いをした…


23時25分、いつも最終電車に乗り、窓越しに彼女を見送った、見慣れた町に着く頃、時計は0時40分だ。



90年代のあの頃は携帯電話なんてまだまだ先の話で、俺達の時代はポケベルだった。

公衆電話にはベルを打つために若い奴等が溜まってるのは、日常的な光景だ。



駅から家に歩き出すと、すぐ近くの公衆電話の横で高校生位の女の子が下を向いて座っていた。


「何やってんだ!?」なんて思いながら通り過ぎようとしたら…


「!?」


「泣き声!?」


「まぁ関係ねぇや!」


そお自分に言い聞かせて通り過ぎた。


俺が言うのもおかしいけど(笑)

よくよく周りを見て見ると柄の悪そうな奴ばっかだった。


俺は吸ってた煙草をなげすてて、その子の所まで戻ってこう言った。

「早く家に帰りなよ!親、心配してるよ!?」



「大丈夫です…一人暮らしなんで…」って泣きながら返事が返ってきた。


それから俺達は話し込んだ、泣いてる理由が片思いの奴と会う約束をしてたけど来てくれなかった事。


ポケベルを打ったのに返事が来ない事。


その男がバンドマンだって事。


その男には彼女がいるって事。


都合の良い女でも良いって事。


この子の頭の中は悲しい記憶でいっぱいだった。それが理由かは解らないが、下を向いて泣いてばかりだった…

まるで広い海で溺れているようだ…

俺はその溺れている人に浮輪を投げるように…この子を慰め続けた。


名前は石原 亜矢、俺と同じ18才、俺と同じ母子家庭育ちで、俺と同じ音楽好きだった。


気が付けばすっかり朝になっていた、何も言わずに帰るつもりでいたが、どうしてもって頼まれたので、自宅の電話番号を教えた…


「今日はありがとう!絶対に電話すから!」



俺は返事に困った…


「おやすみ」



それだけ言って家に向かって歩き出した、考えながらしばらく歩いた…



時計を見た…


5時32分…俺は恋をした

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