政略結婚の相手は仮面をした皇帝陛下様!
木の小枝に袖をひっかけたまま、
私は、
今日の、
魔法実技のテストが赤点だと、悟る。
先生に結果を言われなくても、悟る。
実技…、すなわち、
今日の実技のテストは、
ホウキで空を飛ぶこと。
魔法学校の生徒なら、
出来て当たり前の、
基本中の基本のテスト。
それなのに…、
それなのに、
私は、
ホウキに跨って、
いざ、カッコよく、
マイホウキを自由自在に操縦し、
真っ直ぐ、
白く浮かぶ、
それは、
それは、大きな雲を突き抜けようとしたら、
ホウキが、
上下に、
そして、
右左、
ぐねぐね曲がるから、
私は、
目の前の木の小枝に服をひっかけ、
そして、
冒頭での私の、
この、ありさまにいたる。
私…、
私の名前は、
メレディス・セーラ。
メレディス・セーラがひとつの名前。
この皇国には、
苗字はない。
そう、名前だけ。
だから、
同じ名前があって、
区別がつきにくいから、
やたら、
長い長い名前を親は付ける。
魔法学校に通う、
魔法学校9年生の最高学年だ。
私は、16歳。
あと半年で卒業して、
一人前の魔女になる…、予定だ。
でも、
現実は甘くない。
このままでは、
卒業できない。
落第…、留年、
私の頭に、
その、文字が浮かんでは消えない。
また、9年生を、やり直すのは、イヤだ。
しかも、
私より年下の子と一緒に学ぶなんて…、
ああああ〜、あり得ないんですけど〜〜!
私が住んでいる、
ライフゥーネ皇国は、
人間、魔女、魔法使い、
その他もろもろが、
垣根なく、
お互いがお互いの存在を認め合い、
お互いないチカラは分け合い支え合いう、
そういった、
皇国だ。
近隣の、
どの皇国よりも、
海も山もあり、
領域も広大だ。
いわば、
あらゆる皇国の中心的存在。
この皇国に生まれた全ての人々は、
魔力を持って生まれる。
吸血鬼、人狼、魔物と同じだ。
これが、
ライフゥーネ皇国の
他の皇国の人々にはない特徴だ。
だから、
周りの近隣皇国、
そして、
幾多の国々がライフゥーネ皇国を恐れ、讃えるのだ。
ただ、
その魔力を使わずにして、
ごくささやかに普通に生きるか、
その魔力を使い、
魔女、魔法使いとなって生きる選択は、
己自身だ。
そして、
私は、
魔女になることを選んだ。