体のスペックがチートらしいです
魔法を初めて使います。
今まで出会ったモンスターは全て1匹だった。
今僕の前には3匹のウルフがこちらを警戒している。
僕の左右に1匹ずつ、その間の少し奥に1匹いて、気をつけないと攻撃をくらいそうだ。
バッ!!
しばらくはお互い様子をみていたが、僕から見て左にいたウルフがしびれを切らしたのかこちらに飛びかかってきた。
1匹ならば今まで何匹か倒したので身体能力任せでも余裕で対応できる。
残りの2匹のウルフに注意しつつウルフの首を落とす。
ザシュ!!
僕の視界がウルフの返り血で真っ赤になった。
(しまった!)
返り血のことは考えてなかった。
僕に飛びかかってきたってことを僕より高い位置にいるので少し気をつけていたら気付けただろう、それができなかったのは今までのモンスターは1匹だったため瞬殺できていたことからくる油断だ。
だがもう遅く、残り2匹のウルフ同時にが僕に噛みつこうと飛びかかった。
距離の関係で右のウルフが僕の目の前まで迫った。
(やられるッ!)
僕は目をつぶった。
ガンッ!!
…ん?変な音がした。
目を開けて見ると僕の右腕にウルフが噛み付いているが、自分の牙が僕の肌に通らず、困惑している様子だ。
そりゃそうだ、鎧も何もつけてないところに噛み付かれて無傷なんて誰も想像しない。
それを見たもう1匹のウルフは噛み付かず、様子を伺っている。
僕は防御力も異常に高いようだ、助かった。
でもこれじゃ革の胸当てを買った意味がないな、そんなものなくてもある程度までの攻撃は僕自身の防御力によって阻まれる。
もし僕の防御力より攻撃力が上のモンスターが出たとしても革の防具なんかじゃ役に立たない、もったいないことしたな…。
まぁあの時はこれだけ防御力が高いのなんて知らなかったから仕方ないけど。
こうなったらウルフ達に勝ち目はない。
攻撃が痛くないとわかって、僕の心にも余裕が生まれた。
落ち着いて2匹のウルフを倒した。
倒したウルフからは魔石とドロップ品らしき毛皮が残っていた。
ウルフのドロップ品は毛皮なのか、これはいろんなものに使えそうだ。
もうあんな思いするのは嫌だから油断はしないようにしよう。
いくら痛くないとわかっても、怖いものは怖い。
しばらく歩くと、ゴブリンが1匹だけいた。
ちょうどいい、魔法が使えるか試してみよう。
どうやって使えばいいかはわからないけど、向こうの攻撃は通らないし、何かあれば普通に剣で倒せる。
まずは試しにそれっぽい呪文を口に出してみよう。
僕のイメージできる魔法は火系統、水系統、土系統、風系統だ。
ここは森だから火系統の魔法を使ったら大変なことになる。
風系統の魔法を使えるか試してみるか。
風系統の初期魔法といえば「ウィンド〇〇〇」とかかな。
「ウィンドカッター!!」
手を突き出して叫んだ。
おお、手のひらからなにかが出ていっているのがわかる。
魔力みたいなものだろうか。
何も起こらない…。
僕の叫び声でこちらに気付いたゴブリンが向かってくる。
今までは向こうがこっちを認識するまでに倒していたからよく見ていなかったけど、獲物を見つけたといわんばかりに醜悪な笑みを浮かべながら走るゴブリンの姿はかなり気持ち悪く、少し怖かった。
焦った僕は剣でゴブリンを倒した。
うーん、何がいけなかったのだろうか。
魔力みたいなものが手のひらから出たのは分かったので、僕のイメージがしっかりしてなかったからかな。
叫べば勝手に相手に向かっていくのかと思っていたが違うようだ。
次は手のひらから出た魔力を刃状にして相手にぶつけるとこまでイメージしてみよう。
幸いなことに失敗したからかまだ1回しか使ってないからかわからないが、魔力が体から出たのに、全然疲れたりしてない。
これなら何回でも試せそうだ。
次に遭遇したのは4匹のゴブリンだった。
まだこちらには気づいていないようなので、魔法で先制攻撃できるか試してみよう。
当然叫んだら気づかれるだろうから、気付かれたら3匹は剣で倒して、1匹だけ残して魔法を試そう、1匹だけなら何があっても負けることはない、さっきはちょっと焦ってしまったせいで剣で倒してしまったけど、もう大丈夫だ。
もちろん、最初の魔法で倒せるのがベストだ。
「ウィンドカッター!!」
手のひらから魔力が流れ出ているのがわかる。
それを手の上にまとめるイメージだ。
……よし、まとまった。
それをゴブリンに向けて放出した。
ゴブリンはすでにこちらに気付き、醜悪な笑みをうかべながら走ってきている。
ゴオオォォォ!!!!
僕がウィンドカッターだと思いながら放ったそれは凄まじい轟音をあげながらゴブリンだけではなくその後の木々をなぎ倒した。
…うん、こんなのウィンドカッターじゃないね。
僕は、この世界の風魔法は
①ウィンドの部分に反応して、僕の魔力を風力に変換する。
②それを僕がイメージして、形を作る。
③狙いをつけてそれを放出する
という仮説を立てた。
まぁこれがあっていても間違っていても僕にも魔法が使えることがわかったので大丈夫だ。
こんな威力になったのは僕が何も考えずに魔力を出していたからだと結論付けた。
はじめに出す魔力の調節をすれば威力を抑えることができるはずだ。
毎回毎回モンスターを倒すのに後ろの木を倒すのは避けないといけないけないから、威力の調整は必ずマスターしなきゃいけない。
それからしばらくモンスターを魔法で倒した僕はある程度の威力調整をできるようになった。
辺りが暗くなり始めているから、今日はもう帰ろう。
僕なら暗闇からいきなり攻撃されても怪我をすることはないと思うけど、やっぱり心臓に悪い。
しかし身体能力も、魔法の威力もすごいな。
この体どれだけスペック高いんだよ。
僕は街に戻ろうとしたが、そういえば今までの道を覚えていない。
道は覚えていないがなぜかわからないけど、街の方角がわかった。
よかった、迷わずにすみそうだ。
なぜかわからないことは神様のせいにして街に戻った。
どうやら自分は人との会話を書くより、戦闘シーンを書く方が好きみたいです。