ギルドで注目されたようです
セリーと話をしながら冒険者ギルドに到着した。
中に入ると、買取カウンターにいるアレクさんが声をかけてきた。
「よぉ、来たか、ジュン!
ん?そっちの子はなんだ?まぁちょっとだけ待ってろ。」
そう言って別の職員を呼んできて、買取の買取カウンターに座らせた。
なぜか周りがざわざわしている。
ところどころで「あの子が例の…」とか「となりの子は誰だ?」みたいな声が聞こえてくる。
え、僕何かしたっけ?
すごい目立っている気がする。
ちょっと恥ずかしいな。
セリーも注目されることに慣れてないのか、僕の服を掴んで俯いている。
「よし、待たせたな。ついてこい。」
そう言ってアレクさんがギルド長室に歩き出した。
よかった、助かった。
僕とセリーは視線から逃げるようにアレクさんについていった。
「ねぇ、アレクさん、なんかすごい注目されてた気がしたんだけど何があったの?」
「こっちも聞きたいことがあるんだが…まぁいい。
お前、注目されることをした覚えはないのか?」
「え?何もしてないよ?」
本当に思い当たることがない。
「はぁ、忘れてるのか自覚がないのか…
お前なぁ、荷馬車を襲っている盗賊と、それと戦っている護衛達を一瞬にして気絶させておいて、目立つことをした覚えがないのか?」
あ、すっかり忘れてた。
そういえば口止めしてなかった。
「思い出したみたいだな。依頼から帰ってきたキーンファングの連中がお前のことをなぜか自慢げに語っていたぞ。」
「でもそれが私だってことはどうしてバレたの?」
彼らが言いふらす前は僕は全然知られていないはずだ。
「そんなのギルドに来る度に俺とギルド長室に入ってる女の子なんてお前以外にいると思うか?」
知らない間に僕のことは認知されていたみたいだ。
(アレクさんが毎回ここに連れてくるからこんなことに…
いや、僕が狩ったモンスターの素材を出したら出したで騒ぎになったか…)
「そんな顔をするな。どっちみちジュンは目立つからな。こんなことにならなくても冒険者に知れ渡るのは時間の問題だったと思うぞ?」
「目立つ?私が?どうして?」
「そりゃ、お前さんみたいな女の子がソロで冒険者やってたら有名にもなるさ。」
あー、確かにそれは目立つかもしれない。でも見た目はどうしようもないからなぁ…。
「で、そんなお前さんが連れてきたその女の子は?」
そう言ってセリーを指差した。
セリーはずっと黙って僕の後ろに隠れている。人見知りなようだ。
「この子はセリー。訳あって私の奴隷だけど、貴族らしいよ。」
「そうなのか、その子には戦わせるのか?見たところ15歳に達してはいないようだが。」
そう、それが一番の問題だ。もしかしたらセリーか15歳を超えている可能性もあるが、セリーの様子を見る限り期待はできなさそうだ。
「それでお願いなんだけどさ、ギルマス権限でどうにかならない?セリーは確かに小さいけど、強さはそこらの冒険者に負けてないよ!」
「え、ご主人様!?」
セリーが慌てた様子で僕を見る。
「大丈夫、今から説明するから。」
「…わかりました。」
「今のセリーの嬢ちゃん様子を見る限りそうは思えないが?」
「ねえ、アレクさん、奴隷使いっていうスキル知ってる?」
「ん?聞いたことないな、どこかで聞いたのか?」
ギルドマスターのアレクさんが知らないんだ、やっぱり僕しか持ってないのかもしれない。
「なんか、セリーと契約したらそのスキルを獲得したみたい。
奴隷使いの効果はお互いのステータスの半分を共有だから、僕の半分のステータスをセリーは持ってるよ。」
「なんだそのスキルは!って突っ込みたいんだが、もうお前さんのおかげで驚くことに耐性がついたみたいだ。悪いな。」
「別に驚いてほしいわけじゃないからね?」
「あぁ、それはわかっているんだがな…。
まぁ便利そうな、というか反則並のスキルじゃないか、それならセリーも十分に戦えそうだな。
お前さんのステータスの半分でも他の冒険者なんか相手にもならんさ。」
「ご主人様のステータスはどれくらいか教えていただいてもいいですか?」
「いいよ」
これから一緒に戦う予定なんだから、むしろ見ておいてもらわないと困る。
「あー、見る前にセリー、覚悟はいいか?」
僕がセリーに見せる直前、アレクさんが遮った。
「覚悟…ですか?」
「あぁ、こいつのステータスを初めて見るなら、相当覚悟しておいた方がいい。」
アレクさんの真剣な表情にセリーは頷いた。
(人を化け物みたいに…)
「…もう見せてもいい?」
「ごめんなさい、もう大丈夫です!」
2人からOKが出たので、セリーに僕のステータスを見せた。
僕のステータスを見たセリーはプルプルと震えだした。
アレクさんは「あーあ」というような顔だ。
「なんですか、このステータスはぁぁぁ!!??」
セリーは最初のアレクよりも大袈裟な反応を見せた。




