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まどろみ
日も高くなった土曜日の午後。まだ布団の中でまどろんでいたいが、脳内彼女はそれを許してはくれない。特に用事はないのだからと彼女に反論してみるが、せっかくの休日なのだからと、布団から這い出るよう優しく諭してきた。ケトルで湯を沸かし、インスタントコーヒーの粉末をカップの中で溶かす。スティックタイプの砂糖をふた袋注ぎいれ、激甘なホットコーヒーが出来上がった。映画でも見に行こうか……一口啜りながら予定を思案する。流行の映画を見たところで誰かに報告するわけでもなく、内容について話すこともない。充実した人生を送っている人ならばきっと、映画を見たあと喫茶店にでも入って感想会でも開くのだろう。何々がよかっただの悪かっただの。一人ひとりが評論家になって議論でもするのだろう。想像したたけで身の毛がよだつ。めんどくさ過ぎる。後味は一人でゆっくり味わいたいものだ。




