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第七話(此処は何処?)

やばい…死ぬ…


目を閉じ、衝撃を待っていたが…痛くない?


えっと、避けてくれたのかなと恐る恐る目を開けると…


桃色の空。

茜色とかなら見るが、こんなに淡いピンクな空は初めてだ。


ていうか先まで日が落ちて星が見えてたよね。

夜だったよね…。

そしてゆっくり視線を巡らせると、周りは野原だった。

でも色が違う。

草花は一見オレンジに見えたが違う。

思わずしゃがみこんでよく見る。


透明だ。


地面の色が橙色で透けて見えてたようだ。

クリスタルみたいなものかな?と触ってみたが柔らかい。

触り心地は普通の植物。

凄いキラキラしてて綺麗だ。


さて、アスファルトはどこだ。

あの灰色の地面は…近くのやたらリアルなタコの滑り台がある公園はどこだ。

とりあえず深呼吸してみる。

あっ何か空気が甘く清々しい。

酸素があって良かったよ、佐久間君、森永さん。


そして、王道のアレをやってみる。

右手を頬に持っていきぎゅっと抓った。


実際の夢でやれた試しないけど(汗)

自分でやると無意識に手加減してるが、地味に痛いので現実なのかな。

でも、痛みがある夢もあるしな。


それから、何とか夢だと思い込む様にしているが、分かっている。

これは現実で此処は日本ではない。

地球でもない。

もしかしたらどこかのスタジオでドッキリとか思いたいが、

一般人の俺をはめて何かあるのかな。

取り乱してみたらプレート出たりするかな。

よし、取り乱してみるか!


「こっ此処は何処なんだ!?…帰れるのか……っ」


やばい言葉に出したら凄く不安になって泣きそうだ。

取り乱してみようとか馬鹿な考え自体で思考回ってない。

どうしよう、怖い。

このまま帰れなかったら、親も心配するだろうし、

両親にも友達にも2度と会えないなんて嫌だ。

異世界トリップとか憧れあるけど、

俺の場合は必ず戻ってこれるなら行ってみたいな…なんて旅行気分のもの。

だから、2人の会話には加わる事なんて出来ないし、

近藤君に興味本位で異世界について聞けなかったのに。


そして、近藤君は大丈夫だったのかなあんなに狼狽して。

ちゃんと家に帰れたろうか、あんな状態で1人の家とか心細いと思うし…


考えに没頭して後ろの気配に気づかなかった。

左肩に手を乗せられ


(…この状態で人の心配をしているの者は珍しいな)


いきなり頭に声が響いた。


「えっ!?」


(驚かせて申し訳ないが落ち着かれよ。私達の種は口はあるが発声する事はないのだ。変わりに触れる事により意思を伝えられる)


後ろを振り向くとそこには手を繋いでこちらを見つめている2人組が…人?

人間の様に見えるが…人ではありえない青い髪で猫みたいな金の瞳、

透けるのではないかというほどの白い肌、身長は150cmくらい?で小さい。

この2人(ここはとりあえず人としとく)とも同じ姿形だ。

双子かな…?


(いいえ、私達は皆、同じ姿をしています)


ちょっと高めで女性的な声(頭に直接響いてくる音も声でいいよな)。


(此処はリャーンと呼ばれる世界。はじめまして、そして、ようこそ異世界の旅人)


最初に頭に響いた声だ。

男性的で重みがある声。


(旅人よ、気になっている答えを出そう)


気になっている答え?

近藤君大丈夫かなって分かるのかな。


(…いえ、それは残念ながら分かりません)


2人とも申し訳なさそうにそして不思議なものを見る様な顔をした。


(本来は一番気になっているはずだ。元の世界には時が経てば戻れるぞ)


そうなんだ…帰れるんだ。


良かった。


(なぜ、すぐ信じるんだ)


「えっいやだって嘘ついてるって思えないし」


あっーうん。きっと直感。


(不思議な方ですね)


(大概の旅人は疑いを持つものだ)


「えっ何で?」


えっだって頭に声響いてびっくりしたけど、優しい感じだし。

俺の疑問すぐに答えてくれて助かってるし…

あれ、口に出して話したのってあんまりないのに何で答えが返ってくるんだ。


あっそうだ…


「先からご丁寧に解説ありがとうございます。後、俺の考えてる事もしや筒抜けですか」


こちらをまた不可思議そうにみて、


(礼を言われるとは…いや、勝手に申し訳ない。私達と繋がると意思が遮断される事はない)


(接触を止めれば繋がりは消えます。しかし旅人が口で発する言葉は此方には分からないのです)


(ああ、疎通が出来くなるので、できれば繋がっていたい。だが、放した方が良ければ放そう、気味が悪いだろう…)


「いや、大丈夫です。悪意とか感じないし、俺も言葉通じなかったらパニックになってたろうし。どんな形であれ説明が欲しかったので有り難いです」


まあ、変な事とか考えそうなら逃げよう…


(変な事?)


「あっいや、別に害を及ぼそうとか悪い事しようってなく」


お年頃なんでその、いやらしい事とか…って今こそ放すべき?


(クス、面白いお方。そして素直な方)


鈴のなるような声。

これは俺とは直接接触していない奥にいる女の人の声かな?

微笑むしぐさをこちらにしたし。


(その通り。私とつがいが繋がっている状態で旅人と繋がっていれば3人の意志は共同となる)


連鎖していくのか、伝言ゲームやりやすそうだ。


ところで、つがいってことは貴方は男性で良いんですかね?そして夫婦なんですか。


(ああ、まあ、夫婦みたいなものか)


(そうですね、一応…)


すこし困った顔で答えられた。


(夫婦というのも変な感じだがまあ、その様なものだ)


ちょっと複雑なんですね、すいません。


(いえ、ただ、身体の仕組みは変わらないので、そうですね、まったく同じ遺伝子を持っているので夫婦というより同一のようなものなのです)


(そうだな、しかし分けるのなら私は男に分類されている。隣のは私のつがいで女だ。私が男の役割をこなしているが女になることも可能だ)


「えっとじゃあ、両性具有ってことでしょうか…カタツムリとか出てきたけどそんな感じですか」


(その様な考えで間違っていないですよ)


(声も、低いか高いかで同じ音だ)


「確かに言われてみれば」


というか俺、随分落ち着いたな…、2人が対応に大分慣れてるから俺みたいなのが来たのって何度もあるんだろうな。


(ええ貴方で778人目です)


778人…8ってうわ惜しいかなり惜しい…もう少しでラッキーセブンだったのに。


(喜ばしいのか777人目は…前の旅人に伝えても喜ぶ事なく泣きながら早く帰せと怒鳴り最後まで心を開く事なく帰ったがな…)


寂しい気持ちがダイレクトに伝わってきた。


それを振り切るように首を振り、場所を変えようかとなって村に行くことになった。


村に行くとやっぱり全員同じ顔で総勢56人いるそうだ。

確かに全員そろうと圧倒されるし、怖い。

でも、慣れるとそのうち気にならなくなってきた。


とりあえず、最初に案内してくれた2人は村の代表で、一番偉いそうだ。

男性の方が…この村の人たちには名前がついていないらしいので、勝手にリーダーと呼んでいる。

女性のほうは奥さんで、そういう呼び方をしていると周囲の人からも名づけてほしいといわれて、

佐久間君、森永さんが話していた様に見分けられるように

リボン、ミサンガ、バンダナ等プレゼントしていたので、

その物の名前とか重複してるものにはその色とか柄の名前で呼ばせてもらいました。


しかし、たまにリボン交換してたりするので真の意味では見分けられないし。

リーダーと奥さんは見分けられる自身あったけど、


(ふふ、久保さん…私だ)


最初高い声で正解したかなと喜んでいたら、次にものすごく低い声で間違いを指摘されました。

見分けつかないとちょっと拗ねられる。

特にリーダーと奥さんは最初に接したからか見分けてほしいらしいが、ごめん。

普通にしてたら分かるけど、意識して入れ替われると本当に分からないです。


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