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第六話(聞けない、聞かない)

「久保君?」


怪訝そうな顔で近藤君が覗き込んできた。


「あっごめん」


しまった。ついつい本当に異世界へ…と考えてしまった。


「いや、別に良いんだけど…久保君が人と話してる時上の空って珍しいなって…思っただけだよwww」


近藤君は心配そうに話しつつちょっと自分らしくないかな…

と思ったのか一瞬バツの悪そうな顔をしてすぐさまテンション高めにした。

別に普通に話しても気にしないのに。

wwwって話し方だと疲れるのかたまに気だるそうになってるし。


「ありがとう。いや、昔は近藤君と友達になれるなんて思ってなかったのに、こんなに仲良くなれたなーと感慨深くなっただけ」


後、異世界本当に行った?とは聞きたいけど、聞かなかった。


「あっそうだねwww俺も久保君とこんなに仲良くなれるとは思ってなかったwww今じゃあ家に入り浸ってご飯ご馳走してもらったうえ、泊めてもらったりしてるしねwww」


近藤君は一人っ子で両親共働きの為、俺の母親が引き止めて世話をやきたがるんだよな。

まあ、お節介かなと気になったが近藤君も嬉しそうにしてるから良いか。


「だね、今日はどうする?」


「うーんwww今日は…」


帰り道。もうすぐ近藤君家のマンションにつく手前の公園になると苦虫を噛み潰した顔をする。

公園前になると何時も嫌そうだ。

森永さん達と話した時の顔になる…学校帰りの公園。



「「家に帰る道で~車に跳ねられたwwwいつのまにか異世界に行ってたぜwww」」


「「俺の家の公園近くの道路だぜw」」


…何で今日はこんなに近藤君と出会った(初めて知った)時を思い出しているんだろう。


あっそうか、ちょうど新学年がはじまってしばらく経ったこの時期…

つまり2年前、入学して間もない6月に冷やかし事件があったからかな。


でも何時もはこんなに顔を暗くしない。

嫌そうだけど、すぐ持ち直しているのに。

だから気を逸らそうと何時もは言わない話しを切り出した。


「あのさ、もし、人が全員同じ顔だったらどうする」


何でこんな質問したかと言えば、先ほどまで聞いていた佐久間君と森永さんの会話が頭に残っていたのと、

近藤君は仮定の話しになると必ず言い返してくるから。

理論に基づいた想像ならそこまで噛みつかないが、根拠もなく言うとねじ伏せ様とする。


でも、それは今回間違っていたらしい。


「なっ…ん…で…っ」


近藤君は目を見開いて、その目は恐怖を宿していた。


「近藤君?」


「いや、違う、ごめん…でも俺…ごめん」


そう言って駆け出した。

近藤君があんなに取り乱しているのは初めてで、

琴線に触れてしまったのだとすぐ気づいたがどうしたらいいのか分からない。

しかし、放って置けるはずがない。

追いかけた瞬間に目の前に車が……。


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