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第四話(異世界同好会)

そうだ、2人を語るには「異世界同好会」というものの説明をしないといけないな。

活動内容は色々あるのだが…とりあえず。


異世界に何時でも召喚されてもいいように、登山用のバック(ザックというらしい)

に水や食料等を学校に持ち込んでいる。

毎日毎日それを登下校時に持ち運んでいるのだから凄い。

…ちなみに二人は教科書は持ち帰り派なので鞄に体操着、ザックという感じになる。

森永さんは小柄なのにそれでぴょんぴょん跳ね回ったりする。

帰宅部の俺より絶対体力ある…。

こっそり筋トレしたり走ったりしちゃう自分がいたり。


平日は主に教室で異世界について語ったり、

他の部活に助っ人として練習していたりしていることが多い。

2人ともとにかく何をやらせても完璧にこなす為、

運動部、文化部関係なくコーチ兼マネージャー兼ライバルみたいな役割だそうだ。

なんで助っ人なんてやっているかというと。


「本当なら入部してもらいたいけど断られたんだよ。でも、もったいないな~、佐久間とバスケやってみたい!と思ってて、そうだ、入部しなくても佐久間とバスケするのは体育以外でも頼めばできるじゃん!」


とバスケ部部長の武内君が頼んだことが始まりだ。

あまりにも二人が強くて差が出てしまい結果やさぐれて解散という部活もあった。


武内君も


「自分で頼んだけどあいつ、何も所属してないくせに…馬鹿みたいに強くて、俺達こんなに練習してるのに…っ…めっちゃくちゃ悔しい!!!!もう辞めてやる!!!」


大声で叫び、スポーツ飲料が入った缶を握り締めすぎて爆発させた。


「けど…やっぱり強いやつと戦うのは楽しいんだ……そして…差し入れのジュースぶちまけてごめん。マジでごめん」


その後も謝り続けようとする武内君をどうにか宥めるのに一苦労したのが懐かしい。


武内君は良いやつだし、努力家だ。

夏の大会でインターハイまで行くことになった。

応援してて、決定打のシュートを彼が決めた時は思わず泣いた。


うちの高校の運動部が強いのは佐久間君と森永さんに良い意味でも悪い意味でも刺激を受けているからかもしれない。


(でも…もし2人がいなくても武内君はインターハイ決めてたろうな)


っと、話を「異世界同好会」に戻そう。


土日は周辺の町の散策。

入学当時にフィールドマップを10駅分作成といっていたので、

相当数出来ているかと思いきや、

範囲を広くしすぎてしまうと身近な所に気づかないかもしれないという理由の上

散策は5駅くらいで留めることにしたらしい。


また同好会メンバーは2人だけだ。

一応これまでに何人か入ったりしているのだが、結局辞めてしまう。



興味本位できて気楽に構えてると、結構ハードな事してて体力面でついていけないとか。

佐久間君も森永さんも、真剣になりすぎると相手の存在を忘れて2人だけで話してしまい、気づくと誰もいなくなるという。


2人とも来るもの拒まず、去るもの追わずなので入会するのは容易い。

しかし、もし入会しても2人について毎日真剣に異世界について話せて聞ける人でないと無理だろう。


最長は3ヶ月位かな。毎日はきついらしいので、一日間を空けて来ていたが、

段々空ける期間が長くなり来なくなったので実質は3ヶ月いかないかもしれない。


だが2人だけでもそこら辺の部活には負けない(あっ勝ち負けというより熱意か)


例えば文化祭。


展示は教室を一室使い、魔法陣が床・壁・天井に描かれ、魔法使いに召喚されたらこんな部屋を最初に見るかな?と思う作りをしていた。

細部までこだわっていて本棚の中身は異世界関係の本が並び、同じ本は一冊もなかった。


部誌は今まで2人が会話したまとめの様なもので、

全ページフルカラーイラスト付きでフィールドマップも付いてきた。

もちろん自分の家を探せるか確認し、見つけた。

思わぬ穴場もあって面白いし、緊急避難用の地図にも役立ちそうだ。


今年の文化祭で最後かと思うと寂しい。

あの2人の熱意には圧倒されるが応援したくなる。



そして、佐久間君と森永さんは疑ったり諦めたりしている様子が見えないから勘違いしそうになる。

異世界に行けたりするんじゃないかって。


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