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第三話(冷やかし)

そう、あれは入学してしばらく経った頃だった。


「俺、異世界行ってきたぜ~www」


明らかに行ってないだろうお前。


そんな雰囲気を漂わせながら来たのは隣のクラスの近藤君。

冷やかしに来たのかな…。

ていうか佐久間君も森永さんもどういう対応するんだ…?


「本当!!何時どこで行けたの?」


なかなか友好的だ。ニコニコしながら森永さんがすぐに反応する。


「家に帰る道で~車に跳ねられたwwwいつのまにか異世界に行ってたぜwww」


車に跳ねられた…大丈夫か。

異世界は異世界でも違う異世界に行きかけたとかそういう落ちなのか。


「ふむ、車と接触した時の衝撃で次元が開いたと考えれるか」


佐久間君は普通に異世界として捉えたのかそれとも、

三途の川として捉えて進んでるのかちょっと気になるんだが。


「そうだね、じゃあ帰り道ってどの辺?」


「俺の家の~公園近くの道路だぜw」


その答えだと近藤君の家知らないと分からないぞ(汗)


「もう、その答えじゃあ僕達に分かんないでしょ!君の家はどの辺なの」


ちょっと頬膨らませて言った森永さん…可愛い…って思ってしまった。

女の子同士だとあざといとか、ぶりっ子とかになるかもしれないが、

似合っててつい、それに男っていうか俺、馬鹿なんだよ。

あんな風に怒られたら、その後その行為に対して照れてたらものすごく可愛い。

脱線した…。


「そうだ佐久間!アレ出してよ」


アレ?アレって何だろう?


「ああ、ここら辺は既に10駅先までフィールドマップ作成してあるからな」


フィールドマップ作成したんだ10駅も…。

俺は2駅先の家から自転車通学してるから俺の家も載ってんのかな。

今、机に広げたのがそうなんだろうな。

何だろうどんなのか見てみたい。

そして俺の家探してみたいんだけど。


「えっ?うゎ…ぁ…こんなんまで作ってんだ…キモ」


近藤君が少し後ろに下がってぼそっと呟いた言葉で、俺のワクワクした気持ちが下がった。

ちょっ自分で絡んでおいてその科白は…。


「作ってるよ、だから何?」


森永さんの周りの空気が冷えた気がした。

笑顔なのに目が笑ってない。


「いや、別に?俺は全然、気持ち悪いな~とか思ってないってvvv勘違いwwwか・ん・ち・が・いwww」


なんか、やめてくれ。

傍から見てる俺もハラハラしてしまうだろう。


「ふ~ん?そう。か・ん・ち・が・い・かぁ…気持ち悪いなら別に僕達と無理に話さなくてもいいのにv」


森永さん怖い。何時も元気いっぱいなのに淡々と話してるせいで怖く感じる。


「それで、公園前の車に跳ねられたらしいがどのように跳ねられたんだ」


佐久間君はいつも通りで少し安心したが、空気読んでくれ。

この寒い空気の中まだ引っ張るのか。

猛スピードでずっとノートに色々書き込んでたから、もしかして今の会話聞いてなかったのかな?


「ええ~お前まだ聞くかwww」


もう喋らないでくれ、切実に。


「でも君が話しかけてきたんだよv」


「ほらあまりにも馬鹿げたこと真剣に語ってるから~魔が差しちゃったのかな?でも本当に真剣すぎて引くわwww関わった事マジで後悔してるwww」


「ふ~ん。そうなんだ♪僕も君と過ごしてるこの無駄な時間、約23分を返してほしい」


寒いな、思わず寒くて両肩をさすってしまった。

ふと周りを見るとあの3人の会話はどうやらクラス中に響いてるらしく、

皆、固唾をのんでいる。


しばらく睨み合いが続いたところで佐久間君が帰り支度を始めた。


「森永、時間の無駄なんだろう」


そういって佐久間君は何事もなかったように森永さんを連れて帰っていった。

佐久間君の態度が慣れていたので過去に色々あったのだろう。

あの空気を読まないのはあえて読まなかったのだと分かった。


それから何度か似たようなことがあったが、

しばらくして「触らぬ神に祟りなし」という暗黙の了解が出来ていた。


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