エピローグ
ヨーロッパ北部の国立図書館。
機密書庫の中にある隠し部屋の、さらなる最奥に封印された魔導書。
北欧魔法界七大秘宝『ミョルニル』、『グリンブルステイ』、『ドラウプニル』、『ユグドラシルの苗木』、『ブリーシングガメシン』、『ユミルの霊水』、『グングニル』。
世界を滅ぼしかねぬ、この禁断の魔導具を聖地に封印する。
これが総ての為なのだ。赦せ、××−−
魔導書『アスガルド』、義息子への懺悔の一節より−−
〜Draupnir〜
世の中に『魔法』なんてものは存在しない。
もしそんなものがあれば、僕は迷わずそれに飛び付いていただろうし、今頃こんな郊外で退屈な毎日を過ごしてもいないだろう。
でも、無い。
だから飛び付かないし、今が退屈なんだ。どうだい、路理整然としてるじゃないか。僕がサンタや仮面戦隊の存在を信じていた、あの純粋無垢だった頃が懐かしい。あの頃は絶対にあるしいる! と信じて、一日中『魔法』の特訓をしていたり(自分で書いた不格好な五芒星に手を置いてウンウン唸ってた)十二月二十四日は朝の三時まで起きていた。
結果、それで得た物といえば唸りすぎて出した知恵熱と、何故か時々こちらを窺う両親への猜疑心だけだった。
おかげで小学校高学年に上がる頃にはすっかり冷めた、子供らしくない子供になることができた。
両親には感謝したい。なおかげで小学校を半分終えた頃にはすっかり冷めた、子供らしくない子供になることができた。
両親には感謝したい。
あなたたちがイブの夜にバレバレな変装をして、プレゼントを手渡しでくれたから今の僕があるんだから。
けれど、『それ』は起きた。
ファンタジーはしょせん空想に過ぎないと悟ってから六年。
身も心も冷めきった虚ろな人形の前に、『それ』と『そいつ』は呼んでもないのに現れてきやがった。どうせなら六年くらい前に来て欲しかったね。
それならきっと、僕は喜んで巻き込まれてやっただろうから。
いかがでしたでしょうか。〜Draupnir〜 楽しんで貰えたなら幸いです。次回、第一話 日常をお楽しみに!