68/68
1-3-19 終章
サーラが家に戻ると、玄関には見慣れた二人の姉、アリアとリアナの姿があった。久々の再会に笑みを浮かべていた彼女たちだったが、その表情にはどこか陰が差している。
「おかえり、サーラ。本当に……よくやったわ」
アリアがそっと抱きしめる。リアナも頷きながら微笑んだが、その目の奥には、拭いきれない揺らぎが残っていた。
異変を感じ取ったサーラは、静かに問いかける。
「……何かあったの?」
アリアがわずかに口ごもる。その視線が自然とリアナへと向く。
数秒の沈黙のあと、リアナは覚悟を決めたように言った。
「外国が、攻めてきたの……もう、選定戦どころじゃないわ」
その一言は、鋭い刃のようにサーラの胸を切り裂いた。
アリアが、重い口を開く。
「……あれは、私たちの知ってる“魔法”じゃない」
新たな力を手にし、未来への一歩を踏み出したばかりのサーラに告げられた、あまりにも現実的で残酷な報せ。
胸の奥が、冷たく重く沈んでいく。
だが──そのときのサーラの反応は、これまでとはわずかに違っていた。
理屈ではなく、胸の奥から押し上げられるように、言葉が紡がれる。
「……何とかしなきゃ」
震える声が空気に溶けたとき、彼女の中で何かが静かに燃え始めていた。
その衝動だけが、現実を置いて走り出す。
第二部に続く。
ブクマでサーラたちの応援をお願いします!




