1-2-15 双神の神殿
「双神の神殿」への道は、試練の迷路と呼ばれる場所にあった。そこには無数の高い壁がそびえ立ち、その間には巧妙なトラップが隠されている。挑戦者たちは、迷路の出口を探しながら、次々と襲いかかる危険を切り抜けていかなければならなかった。
シオンは、この迷路に足を踏み入れた瞬間、自分のルーツである異国の「シノビの館」を思い出していた。その館も、無数の罠や隠し通路が仕掛けられ、外敵を寄せ付けない防御システムが施されていた。幼い頃、シオンはその館での訓練を受けており、注意深く周囲を観察しながら進むことが自然に身についていた。
「ここもまた、命を試す修羅の場。油断は、死を招くと心得よ」
シオンは冷静にそう呟くと、目の前にある壁をじっと見つめた。壁の表面には一見何もないように見えるが、微かに空気の流れが違っている場所があった。彼女はその場所に向かって手を伸ばし、慎重に一歩を踏み出す。途端に、隠されていた矢が壁から飛び出したが、シオンは軽やかに身をかわし、さらに先へと進む。
その一方で、フィーはまるで舞踏会で踊っているかのような華麗な動きで罠を避けていた。彼女は芸術家の家庭で育っただけあり、その身のこなしは優雅で、軽やかだった。壁から放たれる矢や落とし穴を瞬時に察知し、ひらりとかわす様子はまるで舞踊のようだった。彼女の動きには無駄がなく、常にリズムを刻んでいるかのようだった。
「舞台装置としてはちょっと古いけど、まあまあ楽しめるわ」
フィーは軽快に微笑みながら、次々と仕掛けられた罠を越えていく。彼女にとって、この迷路はあくまで自分の美しさと技術を示すためのステージに過ぎなかった。
しかし、そんな中、彼女たちを追いかける者が一人いた。第一戦で敗れたセレナが、そのまま黙って引き下がるはずもなかった。彼女もまた、この迷路に足を踏み入れ、風の力を使って先を急いでいた。セレナの特殊な才能である風の操作は、彼女にとって非常に有利だった。壁の向こう側の気配や、罠の動きを風で感じ取ることができるため、彼女は速やかに正しい道を選び進んでいった。
「失った誇りは、自分で取り戻す。ここを抜けることが、第一歩よ」
セレナは決してあきらめなかった。彼女の瞳には、再び勝機をつかむための強い決意が宿っていた。彼女の進むスピードは他の挑戦者に比べて圧倒的に早く、風の流れを読むことで次々とトラップを避けていった。
3人は互いに異なる場所から迷路を進んでいたが、決して協力することはなかった。それぞれの目的はあくまで自分自身の勝利であり、他者を助ける余裕はなかったのだ。
シオンは、迷路の中央に差し掛かったとき、急に目の前の空間が変化するのを感じた。壁が突然動き出し、道が閉ざされていく。彼女は瞬時に判断し、風の型を使って自分の速度を上げ、一気に壁が閉じる前にその隙間を通り抜けた。彼女の冷静な判断と素早い対応が、命を救った瞬間だった。
一方、フィーは華麗なステップを踏みながら、複雑に入り組んだ迷路を軽やかに進んでいた。彼女は迷路の構造そのものを一つの芸術作品のように捉え、罠を避けるたびに満足げに笑みを浮かべた。
「迷路なんて、ただの演出に過ぎないわ」
フィーの自信は揺るぎないものだった。
そしてセレナもまた、風の力を駆使しながら、迷路の出口を目指していた。彼女の風の力は、次々と現れる障害を事前に察知する助けとなり、彼女は驚異的なスピードで進んでいった。
やがて、3人はほぼ同時に「双神の神殿」の前に到達した。それぞれが持つ能力を駆使し、誰一人として協力することなく、試練の迷路を突破してきたのだ。
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