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バイト

今日は、前話していたバイトの初日だ。


私達は真奈さんに連れられて、彼女の経営する駅前のカフェにやってきた。


「うんうん、二人とも似合ってるよぉ」


真奈さんが私達を見て何度も頷く。


「エプロンに似合うとかあるんですか?」


「あるある、めっちゃある」


彼女はそう言うとまた頷いた。


私達が今着ているのは、このカフェの制服だ。

白いブラウスに黒いスカートをはき、ベージュのエプロンを身に着けている。


シンプルでおしゃれなデザインだ。

カフェを開く人は皆センスが良いのだろうか。


そんな事を考えていると、真奈さんが「ちょっと待ってて」と言って鞄からスマホを取り出した。


「お二人さん、写真撮っていいかい?」


「え、なんでですか?」


楓が尋ねると、真奈さんはスマホの画面をこちらに見せた。


「これうちのカフェのアカウントなんだけど、二人の写真を載せたいなーって。顔は隠すからさ。いいかな?」


画面にはこのカフェの名前のSNSアカウントが表示されていた。


「顔を隠すんだったら、まぁ良いですけど……」


「楓ちゃんは?」


「大丈夫です」


「ありがとね。じゃあさっそく」


そうして真奈さんが私達をカメラを向ける。


「はいっ、笑って笑ってー」


「え、顔隠すんですよね?」


「後で撮った写真二人に送ってあげるから、それ用」


返ってきた回答に納得して、笑顔をつくる。


数回シャッター音が響いて、真奈さんのカメラが下ろされる。


「おっけー、良い感じ。投稿用の写真できたら一緒に送るよ」


「わかりました」


「よしっ、じゃあバイト初日ってことではりきっていこう!」





「はい、二人ともお疲れ様でした」


18時頃から三時間ほど働いて、無事今日のバイトが終わった。


「今日はとりあえずキッチンの方手伝ってもらったけど、次からはホールも出てもらおうかな」


「了解です」


「あ、そうだ。もう遅いし、まかないあるけど食べてく?」


お腹も空いていたので、二人で食べていくことにした。


まかないは、メニューにあったサンドイッチだ。

お客さんに出すものとは違って、食パンの耳の部分が使われている。


「どう?おいしい?」


「おいしいです」


楓が明るい声で答える。



あっという間に食べ終わって、帰りの支度をする。


「二人とも今日はありがとう。次回もよろしくね」


「はい、ありがとうございました」


「お疲れ様でした」


「じゃあねー」



真奈さんのカフェから、楓と一緒に家に帰る。


帰る途中、真奈さんから今日撮った写真が送られてきた。

そして、一緒に「この写真載せるけど良いかな?」と画像が送られてくる。


もう一枚の画像では、ちゃんと薄ピンクのハートで私達の顔が隠れていた。

これなら私達を知る人達にも気付かれないだろう。


楓にも確認して、「大丈夫です」と送った。


「瑠海、結構バイト楽しかったね」


「うん、初めてのバイトだったけど、続けられそう」


「まかないおいしいしね」


「だよねっ」


かくして二人の日常生活に、バイトの時間が加わった。

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